バルバトイ先生
スチームクリミナル共和国
そこにいつものやる気なさげな少年がいた。
彼の名はバルバトイ。
この国に住む龍王の家族の内の一体だ。
その彼が
「なんでこうなってんだろね」
「「バルバトイ先生!!」」
共和国の幼稚園で臨時の先生をしていた。
世の中が新種の化け物が出たとかなんとか騒ぎが起きる中でいつもの飲み屋で酒を飲むバルバトイ。
「最近物騒だよなあ」
いつもの安居酒屋のテレビを見ながらバルバトイはビールをのみ呟く。
「バルちゃんが戦えばもんだいないっしょ!」
「えーしらないやつと戦うのめんどくせー」
日雇いの仕事でよくつるむ仲間とぐだをまきながら話すのが、日課になっていた。
バルバトイが好むのは高い店なんかではなく大衆居酒屋のような焼き鳥などを出してくれる店であり、仲間達と常日頃飲むのが好きなのだ。
女性と飲むのも悪くはないが、割り勘が気安くできるのも大きいだろう。
そんなわけで基本的に日雇いという働き方はあっており、家族もいることから有意義に過ごしていたのだが。
「いい若いもんがしゃーないのう」
突然声をかけてきた、スーツ姿の老人にバルバトイは首をかしげる。
「なんだじいちゃん?」
「アギエルも甘いの身内に、せっかくの才能がのう」
「なんだよ!」
「ん、なに、ワシはおんしの兄貴に頼まれて面倒みてくれといわれたただのじじいじゃよ」
「は?」
そうして意識は暗転して
「んで、何故か先生に」
「最近開園したうちの幼稚園じゃ、先生がいなくてのう」
「どこの世界に意識なくして先生に仕立てあげるやつがいんだよ」
「ここにおる、仲間には事情話したし、問題ないぞ」
「んで、兄貴の知り合いなんか?」
「お前らの祖父の知り合いじゃな、オウケンにも心配されとったぞ」
子供をあやしながら眉間に皺を寄せるバルバトイ。
「まじかよ、あんた何者?」
「ただのじじいじゃ」
じじいと名乗るスーツの老人はにやにやと笑う。
「あのおじいさまにバルバトイくんは翻弄されそうね」
ラグナは料理をしながらアギエルに声をかける。
「あのじいさんはうちのじいさんよりもやるからな」
「あのおじいさまの名前は?」
「さあ、名前は知らないんだ、だがじいさんはよくいってたのが」
悪戯神ーー。




