邪神
とある嘆きが彼の者達を呼び出した。邪神、かつての創造神が産み出した醜悪にして狂暴なる兵器、その燃料となるのはあらゆる負の欲望。
女が欲しいーーーー。
ならば奪えーーーー。
金が欲しいーーーー。
ならば奪えーーーー。
力が欲しいーーーー。
ならば与えようーーーー。
「ふむ、世界の匂いが変わったね」
とある森、長い長髪を後ろに束ねた美しい金色の瞳を持つ道着服を着た男。
「アギエル達は平気かしら」
「心配ないさ、僕らの子だもの」
白く長い髪を団子頭にした美しく紅い瞳を持ったチャイナドレスの女が言うと、道着服の男、混沌を総べる龍王ゼロスは妻である全能を総べる龍王カオスに告げた。
「それにあの男も動いているからね」
ゼロスは二人の同門の二人を思い出しながら笑った。
「さてどう思うね、ロンレン」
隻眼の破壊を司る龍王リンレンは隣にいる黒いスーツに黒いバンダナをつけた筋肉質な男に声をかける、人懐こそうな笑顔にどこかアンバランスな好戦的な瞳、彼は再生を司る龍王ロンレン、偉大なる老竜オウケンに鍛えられし龍。
「恐らくシムナークの目覚めだね、オウケン先生の言う通りだな」
「さて我ら龍王の責務は?」
「この世界を護る事だ」
「では行くしかあるまいよ」
「まったくだ」
二人の龍王は巨大な龍の姿に変わり空を飛んだ。
「僕は僕は僕は!!」
とある国の王子は自分の手についた血を見て笑っていた。王族でありながら王の側室の子として生まれ、王位継承権もない末子として居ない者とされていた。人並の野心はあったが誰にも相手にはされずにこのまま芽も出さずに終わる所だった。だが
「ほうら、力あるじゃないすか」
そこに現れたのは黒いスーツの男、ダン=ブラック
「貴方は選ばれた神の力に」
「神の力」
「貴方の力で貴方を見下していたものに知らしめてやりなさい」
「ああ!!今度こそ僕が王になる!!」
「それでよろしい、貴方の力は世界を総べるにふさわしい」
この日より名もない小国は名だたる大国を倒しながら進軍をはじめた。
「さて、どうする?雪村太一、これより俺達は表舞台にあがる、抗うか、攻めるか」
ダン=ブラックは煙草に火をつけてクスクス笑う




