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とある異世界にて狩人は笑う  作者: 作者不明
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♯12人商会




12人の実力者である商人達が束ねる世界屈指の商会。その本拠地があるのはスチームクリミナル共和国より遥か東方島国の連なる世界に数あるうちの一本世界樹の根元にある。世界樹の意志と交渉し実りとこちらの世界の情報と魔力の定期的な提供、そしてこの世界の異端でもある太一との個人的な世界樹の精霊としての個人契約を契約とし居を構えることを許されている。従ってこの地域は世界樹の清廉な加護とその維持をするため現世にある人間の作製したものは一切持ち込まれず、世界樹が編んだ服や創りだした家などが会議に使用されている。太一個人しかまだ見た事はないようだが世界樹の精霊は素晴らしい美人らしい。言葉だけでは説明しづらいものがあるので各々想像することしかできないが。




「頭」



黒い毛並みの穏やかな瞳の長身の狼男が帰還してきた太一を出迎える。



「やあ、ララヴァン皆は?」



「商魂たくましくそれぞれの地域で働いてるよ、俺とキャミーだけだ」



「何、二人集まれば十分さ、丁度吸魔の腕輪も渡してきたところだ、皆には通信を後で入れればいい」




「了解した」



12人商会の面々は各々が各国に絶大な影響力を持つ人物達のため12人が揃う事は滅多にない。勿論太一が呼べば即座に集まることもあろうが、それは太一は積極的にはしない、彼等は探偵業とは違い、ただ自分が頭というだけの同志に過ぎないのだから。



「パパお帰り」



「ただいまキャミー」



幼い黒髪の黒いドレスを着た美しい少女が笑顔で出迎える。彼女は魔族と人とのハーフであり、ハーフが忌み子とされる地域で孤独死を迎えようとしたところ太一に救われ幼女となる。正体は人を愛した魔王と人を愛した勇者とのハーフであり、それが迫害対象となっていた。まだ6歳という幼い年ながらも内包する魔力はとても強大だ。すでに太一達の家族とも顔を合わせ仲良くしている。幼い時からの教育として太一の補佐としてこちらに居る事が多い。



「さて議題に入ろうか、邪神関連はどうなっている?」



長の椅子に座るなり目の前のララヴァンに声をかける。近年旧魔族……この世界のはじまりの時代に台頭していた現存する魔族よりもより強大な力を持った魔族達が造りだしたとされる生体兵器[邪神]神を模した魔なる兵器は世界を焼き多くの生命を地獄の業火で焼き払った。人類の総人口が9割を切ったところに異世界召喚にて勇者が召喚され世界は救われたとされる。だが現在滅びたはずの旧魔族が復活の兆しを見せていると聞いている。



「2体を特務部隊が捕縛抹消しています、そして旧魔族と思わしき魔人と類する魔族の出現、二つの村の村民を殺し咀嚼しています。推察するに生命力を魔力に転換するという事ではないかと、生き残りは手厚く保護し、村の方は神父を派遣して祈りの儀式をしました」



「……もう少し練度を上げる必要があるな」



「ええ、まだ商会としての戦力を認知させるには時間がかかるかと、高レベルの魔物を個人で倒せる技量を持つ私設兵団は脅威にもとられます」



「……そればかりは時間をかけるしかないか、俺の声だけで決めるわけにはいかない、世界の危機は」



「ええ、頭の力は恐らく世界を平和に導くでしょう、ですが過分な英雄はやがて」



「脅威となる、そうだな、俺も実感しているよ」



言葉にはしないが太一もまた自身を恐怖に見る目を感じてきた。与えられた才が今や自分と同化し、更なる高みへと至っている事も、だからこそこの力を自制し、今こそ……。



「団結する力が必要だ、そして脅威が去った後も平穏の世界になれるように」



「……未だかつて為し得なかった覇道ですな」



「歴代の勇者の夢もおわらせないさ」



「夢想家であるからこそ頭は頭足り得るのです」



「ああ、現実にするぞ、ララヴァン」



「仰せのままに」



黒い狼は頭をさげる。



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