白き剣士と黒き剣士
「……さてあんたの目的はなんだ?」
「君ならわかると思うけどね、そういう魔法も習得してるんだろ?」
灰色のブランドスーツに身を包んだ矢崎はにこりと微笑む。少しだけ感情を動かすようになった太一も肩を竦める。
「……経験上そういう輩は何か隠し玉をもっているものだ」
「……やれやれさすがだね」
矢崎は肩を竦める。
「それは異世界人としての危機回避能力かな?」
「それはお前もだろう?魂を探ってみたが魂の因子の中に地球のものが混ざっているぞ」
矢崎は肩を竦める
「そうだね、僕等も最初はゼロからはじまったわけじゃない、正しくは異世界人だったものの魂から僕が受け継いだという事かな?」
「……まあ面倒な問答はよそう、お前はネオである矢崎ではないな?」
「そうだね、基本的に異世界召喚の方の男かな?まあ名前なんて覚えてないし、勇者でああった男の残留思念が矢崎として存在しているだけさ」
「……ふむ、強大な力を持っている以上は使わずにはいられないというわけか」
「そういう事だね、全くふざけているよ、強大な力で何かを為せるならば自由気ままに生きるべきなんだ」
「自制してことこそ力は十全に扱えると思うが」
「まあいいよ、君と僕とは考え方の違いがはっきりわかれている、僕は混沌と望み、君は秩序を望む」
矢崎は黒い稲光と共に黒の甲冑に似た姿に変身をし巨大な剣を構える。
「……残留思念も残りすぎれば害にしかならないな」
太一は剣を構える。




