奴らにとって災厄が現れた。
上級都市名も無き都市の上空に鎮座する上級階級の住まう煌びやかな都。ここは一時の快楽のためにネオと共存し力なき者を貶める悲しみの都。そこに現れたのは三人の白いローブの人物達。
「やれやれ……差別だの選民思想だの反吐が出るな」
リーダー格の男は手から流麗な水のような刀を召喚すると同時に静かに告げる。
「殺しはせんさ、宣戦布告をさせてもらおう」
そう言うと同時に両隣から巨大な地響きと巨大な暴風が出現する。
「……だりー、太一、どうすんの?」
「大金持ちの馬鹿はお前に任せる」
「りょーかい」
「私はどうするでござる?」
「話の通じるネオを探してくれ……俺はボスに直接会うよ」
両隣に居るロクスウェルとバルバトイにそう告げると主犯格の男……雪村太一はにやり嗤うと同時に姿を消した。
「やれやれ、派手なことだ」
巨大な教会の中で神父服に身を包む坊主頭の男と太一は向き合う。
「細波誠一郎さんか」
「そうだね、君達の言うネオの頭目となるかな」
細波はにこりと笑う。
「……話はわかりそうだな」
「わかるつもりではあるね、このLEVEL制も私自身やめようとしている」
教会の中で木製の椅子に座りながらにこりと笑う。
「……幹部も概ね私の意向に賛同している、後は馬鹿げた人間共に思想を理解させるつもりだったんだが……一人面倒な奴がいてね」
「矢崎か」
「ああ、あの男は狂気を非常に楽しんでいる、共存こそ奴の回避すべき懸念事項だろう」
「……だからレベル5の子らを?」
「……ああ、あの子達の母親には悪いことをした、皆私を愛してくれ、そして信じてくれた……私の細胞が産んだ瞬間死を齎すものと知っていても」
細波は懺悔するかのように告げる。
「……んで、依頼は?」
「話が早くて助かる……ミラージュ=エストの捕縛、ならびに幹部四人の身柄確保だ」
「……一人足らないな、まあいいか、とびきりの奴を呼ぼう」
そう言うと太一はにやりと笑った。
「……ん?呼び出しか」
陸の孤島……黒いスーツを纏い黒い双刀を腰に携えた黒いハットの男は静かに告げる。
「……ネオの捕縛ね、やれやれ先輩も無茶を言う」
すらりとした長身の男は静かに呟く。
「……世界機関エージェント№5……[災厄]のウェイブ=スペクター参るってな」
軽々しく言う男の足元には巨大な魔獣達の屍が山となって重なっていた。




