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双子

兄と彼女が共に消えた後、私は父に呼ばれ、お前がレリーシャ家の次期当主だ、と言われました。


兄と彼女を殺した家を継ぐつもりはありませんでしたが、ある条件のもと、私は父の言葉に従いました。


兄と彼女を同じ墓に入れること。


この世で共に過ごせなかった二人には、それぐらいしかしてあげられません。

父は、渋々承諾しました。


そして、私はレリーシャ家を継ぎ、結婚をしました。

もちろん、政略結婚ですので、愛なんて存在しません。

兄と彼女のような夫婦になりたいと思っていたけれど、そんな夢、叶うはずがありませんでした。


愛は無いけれど、子供は誕生しました。


生まれた子は双子で、男の子と女の子でした。

男の子は、兄にそっくりでした。

そして、女の子は、彼女そっくりでした。

トルーア王国では、双子は、大変珍しいものです。


兄と彼女が生まれ変わって、私の元に来てくれた。

そう思うと、涙が止まりませんでした。

今度は、しっかりと2人を守る。

そう、決意を込めて、兄と彼女の名前をつけました。


双子は、健やかに育っていきました。

ただ、一つだけ不安な事がありました。


双子は、まるで恋人のように相手を扱うのです。


それを見たとき、嬉しさと悲しさが生まれました。

今の彼女は、レリーシャ家の子供なので、差別をうけることはありません。

けれど、双子は、兄妹は結ばれることは出来ないのです。

今度の二人は、私の子供たちは、死なせたくない。

その想いのもと、必死に二人を離させようとしました。

けれど、一日でも彼らを離すと、どちらかが必ず体調を崩すのです。

双子が共にいることは、運命で決められたようでした。


こっそりと、双子を結婚させてしまおうか。

そう思ったのは一度や二度ではありません。

けれど、『レリーシャ家の双子』は、有名な存在でした。

社交界に出られる歳になると、二人への婚約の打診が、山のように来始めました。

二人とも、整った容姿をしていましたから。


けれど、双子は変わらずお互いのことしか目に入らないようでした。

兄と彼女にしか見えなくなってきた私は、もう何も言えなくなっていました。 

双子のどちらかが結婚して子供ができなければ、レリーシャ家は双子の代で終わりです。

そんなことは、どうでもよかった。

本当ならば、私の代がレリーシャ家の最後だったはずでした。

兄と彼女のために継いだだけです。


私の可愛い子供たちの未来は、子供たち自身に決めさせる。


そう決めたばかりの日のことです。

裕福なだけが取り柄の家から、レリーシャ家へ婿入りした、愛さえ感じない名ばかりの夫が、勝手に縁談を持ってきたのは。


夫は、自分の家の親戚へ双子のどちらかを婚約者として差し出す、という約束を勝手にしてきました。


「俺にも、面子というものがある。」

「レリーシャ家の当主はお前、というのは結婚したときから気に入らなかったんだ。」

「俺の子供のどちらかが、俺の親戚と縁を結べば、お前より俺の方が偉くなれる。」


愛がないどころか、憎しみさえ感じました。

兄と彼女の生まれ変わりであるはずの子供たちを、同じような運命に導こうとしている。

そのことだけで、離縁の理由になるはずだと思いました。


もちろん、断るつもりでした。

けれど、その時私は初めて知りました。

夫が存在するのに、女が一族の当主として君臨していることを周りがどう思っていたのかを。


「ネア様、この機会に旦那様へ当主の座をお譲りしたらいかがてしょうか?」

「やはり、女の方がそのような地位におられるのはどうかと…。」

「この縁談で、まだ婚約されていない双子様にも、お相手が見つかるではありませんか。」


兄の時と、何も変わっていない。そう、絶望感しかありませんでした。

あれよあれよと言う間に、女の子の方が婚約するという話になってしまいました。


止めなくては。今度こそは守る。

そう、思ったのに。

レリーシャ家の当主ですらあったのに。


やはり、公に発表する前に二人は消えてしまいました。

また、手を握りしめていました。

双子は一緒に眠らせました。

私はまた、この世で彼らを幸せにしてあげることができなかったのです。


夫とは、双子が消えた時に離縁しました。

双子が死んだのは、お前のせいだ、と言って。


兄と彼女は消えました。

私の元に、双子として帰ってきた二人も消えました。



◯ ◯ ◯ ◯ ◯  ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ 



これで、わたしの兄の話は終わりです。

…え、双子が生まれ変わりかもしれないのは私の主観だろう、ですか?


確かに、そうかもしれませんね。

けれど、男の子は兄に、女の子は彼女に、本当に似ていました。

それに、双子と、兄と彼女は、二人でいるときの仕草が全く同じだったのです。

それは、私にしか分からないことです。


兄と彼女の時は、身分差と差別に。

双子の時は、兄妹であるということに。


美しい恋人たちは、世界に殺されたのです。


もしも、身分差がない世界だったら?

もしも、差別がない世界だったら?

もしも、双子だったら結ばれる世界だったら?


もしも、の話をしても過ぎたことはどうにもならないことは分かっています。

それに、世界から彼女の受けていた差別や、身分を消すことは難しいでしょう。


でも、双子が結ばれること。これだけは、法律を変えれば、変える事ができるのです。


禁忌だということは、分かっています。

けれど、このトルーア王国には、双子は大変珍しい存在です。

そんな彼らが、自分たちで望むのであれば、結ばれることはよいことではないでしょうか?

兄妹を結ばせろ、と言っているわけではありません。


どうか、お願いです。

兄と彼女がまた生まれ変わる時、双子かもしれない。

その時、私の子供たちみたいな結末にはしたくないのです。


どうか、双子が望むのであれば、結ばれることのできる法律を作っては頂けないでしょうか。


双子同士の恋愛をすすめる描写がありますが、作者がすすめているわけではありません。

あくまで、この世界での描写です。

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