君に構ってほしくて
男の子視点で書いています。
男の子のヤキモチって、どんな時にするのか分からずに書きました。こんな感じかな? と思いながら書いていたので、矛盾しているところが多いと思います。
ヤキモチ。してるけど、平気なふりーー。
好きな人がいたら、毎日が楽しくてドキドキする。友達に言いたくなるし、協力してほしくなる。友達と好きな人が同じでなければ、だ。君の友達は、君と俺をくっつけようとしてる。君は照れているけれど。今日も、君に会えると思うとワクワクしてにやけて。自分に呆れてしまったりする。君の姿を見て、安心するし幸せだなあ、ってなる。今日はなんてからかおう? どんなことをしたら楽しんでくれる? 君の笑顔が見たいし、笑顔にさせたい。なにをしたら笑ってくれるのか。君のことを考えるだけで幸せだし楽しいんだ。本人に言ったらどういう反応するのかな。
ちょっかいをかけようと君に近づくと、誰かが入ってきた。俺の知らない男。君も知らない様子。どうでもいいし、君に近づかせてはならないと思い、出来る範囲で男の視線に入らないよう、ガードする。君も君で、その男を相手にしてなかったから、大丈夫だと油断していた。
「ねえ、ちょっとこっち来てよ!」
「あ、うん! はーい」
君が友達に呼ばれ、黙って様子を眺めていると。さっき入ってきた男は、君の友達のクラスメイトらしく。君と男の距離は友達を挟んでいるだけ。ニコニコと楽しそうに会話する君。少しだけ、心が痛くなった。君は、誰にでも愛想がいい。それは嬉しかったり、切なくなったり。自分では、分からないんだ。
君をあの男にとられてはたまらないので、君のシャーペン、ノート、その他のものを隠したり、目の前でとったりする。君はやはり俺を追いかけてきて、服の袖や、腕を掴んだりした。それがたまらなく嬉しくて。物をとられたから俺を構ってくれてるのは分かる。でも、親しくなったばかりの男を優先するより、俺を優先してくれたことはなんか、すごく安心出来た。君なら、誰でも構ってしまうから。ドジで可愛くて天然で無邪気で……。君が好き。好きなんだよ。君が必死に腕を掴んでくるから、シャーペンを返した。ありがとう、と言いながら男のところへ戻っていく。それがまた、悔しくて。何度も君のものを盗んでは、追いかけられるの繰り返し。ものをとるのをやめて、椅子に座って休憩する。そしたら、君の友達に呼ばれた。
「ねえ。そんなにあの娘が気になるの?」
「そ、そんなわけない! 面白いから、からかってるだけ!」
「へえ……。あの娘の傍にいたくて、ちょっかいかけてるように見えたけどねえ。あの娘が今、構ってる男にヤキモチやいてるのねー?」
君の友達があの男をチラリと見た。それにつられて、俺も見てしまう。君が男に笑顔を向けること、その声で男の名前を呼ぶこと。手を伸ばして、触れそうになること……。全てがイライラした。
「ほら! あたしと喋ってても、あの娘ばかり見てる。あの娘をチラチラ見て気にしてるくせに」
この人には適わないな。……君のことが好きで、男にイライラしてるのも本当。多分、ヤキモチ。あんな男に負けてられるか。君に似合うために、努力してきたのは。君を笑顔にするために、夜中もずっと考えてる俺。負けてたまるものか。
「おーい! 可愛いシャーペン、ゲットしたぞー!」
なんて、君に叫べば。君はすぐに振り向いて、俺のところへ向かって、走ってくる。迷惑そうにしながらも、ノリがいい君が大好きだ。
「それ、わたしの!」
そう言いながら笑顔を見せてくれる、無邪気でドジで天然で、可愛らしい君が。本当に好きだよ。