変わりたい
「君と繋がる」の続編です。女の子視点で書いてみました。
ちなみに男の子はでません。女の子と友達の会話です。
甘くないので、甘いのが苦手な方にオススメです。
隣席。ただ、隣の席で座っていただけーー。
春が、訪れた。冬の冷たい風が少し吹いても、太陽のお陰でちょうどいい気温になっている。春になれば、クラス替え。友達と離れてしまう可能性が高い。そして、彼とも。隣席だった、優しい男の子。わたしに話しかけるなんて、変わった人だと思った。泣いてばかりで、みんなに好かれてなくて。笑ったこともなくて、無表情ばかり。男の子も女の子も怖くて。学校なんて、嫌いだとずっと思っていた。彼と隣席になってなかったらわたしはどうなっていたのかな。わたし、彼のお陰で笑顔になれたこと、すごく感謝しているんだよ。わたしが、笑えたのは……君がいたから。大好きで、傍にいたくて。教室にいるか、いつも目で追っていた。恋は強くなるという。わたしは、強くなれたのかな。
「あ、いたいた! こんなとこでなにしてるのよ? なにか言われたらどうするの」
「大丈夫……。泣いたり、しない。泣きたくない、から」
「あんたは泣き虫なんだから。精神的にボロボロだろうけど、頑張りなさいよ? 顔は良いんだからね、もっと笑いなさいよ。無表情だから、可愛く見えないのよ」
可愛く、か。言われたことはないな。彼に言われたいとは思うけど。言われなくても、思ってくれたら。幸せで嬉しくて。きっと、今より好きになる。見ているだけで幸せな気持ちになって、目が合えば恥ずかしくて逸す。話したい、とは思えない。わたしと話すと変な噂を言われてしまうから。彼に迷惑かけたくない。嫌な思い、してほしくない。わたしのせいというのは、嫌。好きな人に迷惑をかけたくないと思うのは普通なんだ。
「誰になにを言われても、気にしちゃだめよ。勝手に言わせておけばいいの。自分を偽ったりしないでね」
「うん。ありがとう。泣いたら、ごめんね」
「大丈夫よ! 泣いたら、ちゃんと話を聞くから。慰めるからね」
友達って、大切。辛い時に傍にいてくれて元気をくれる。話を聞いてくれて笑顔になれる。頑張ろうって思える。人は一人ではなにも出来ない。誰かに支えられていないと、生きていけない。教えてくれたのは、彼と目の前にいる親友。わたしを助けてくれて、ありがとう。
「じゃあ、行こうか。新しいクラスのとこ」
「行こう。わたしも頑張らなくちゃ。強くならないとなあ」
涙ばかり流していた、わたし。人と関わるのが怖くて、ずっと関わらないようにしてた。話しかけたら、笑われてる気がして。歩いてたら見られてる気がして怖かった。でも、なにもしないままだったら弱いままなんだ。なにも変わらない。逃げているだけ。誰かが、言ってた。
『現実を変えるのは難しいかもしれない。しかし、自分の心は一秒でも変えられる』って。それを聞いた時、少し分かった。わたしは、自分を諦めていたことを。自分自身を変えようとしなかった。マイナスのことばかり考えて、努力もしないで。今すぐに、明るく考えるのは無理かもしれない。それでも、少しずつ、ゆっくりと変わっていくように頑張ろう。考え方を変えれば、違うことを思えるはずだから。
辛くないと思えば嘘。辛くて、逃げてしまいたい。でも、頑張るだけ頑張ってみよう。そう、思える。
「……わたし、暗く考えすぎてたよ。変わりたい」
「あら、珍しいわね。変わりたい、なんて聞くなんて思わなかった。……そうねえ、髪型から変えてみたらどう? 印象変わるわよ」
印象を変えてみようか。前に同じクラスだった人にはなにか言われるかもしれない。それでも、なにもしないよりはいいはず。
わたし、変わってみる。大好きな、大好きな君のために。ちゃんと、目を見て話せるように。頑張るよ。
中二の春の、淡い想い。