未来の話
笑うとたれ目になる顔も、さらさらで綺麗な栗色の髪も。
全て、君だから愛しくて。眩しい、一等星のよう。
君と出会ってどれくらい経つだろう。君のことをよく知っているつもりでも、僕の知らない君が時々顔を覗かせる。
その度に君にはこんな一面があるんだと驚かされてばかり。
同時に新しい君を見つけられたと密かに喜んでいること、君は知ってる?
「このストラップ可愛いなあ」
「えー? この蛇のストラップの方が可愛いよ」
「えぇぇぇえ……。センスが残念すぎるレベルより格下だよ」
「調子乗りました。すいません」
「わかればよろしい」
あ。ふふって笑う君が太陽の光に照らされて余計にキラキラ輝いてる。
いつも艶々な栗色の髪も嬉しそうに光ってる。
君は出会った時から僕にとってすごく眩しくて。瞳や髪、君の全てが光のように輝いているんだ。
知り合って、付き合って。どんどん君を知って。
ちっちゃくて細身なのに大食いだし、手先が不器用で、案外大雑把でずぼら、寝顔や笑顔はとてつもなく心が安らぐこと。
「このぬいぐるみ、あなたにそっくりだね」
ぬいぐるみと僕を見比べておかしそうに笑っている。
あんなに間抜けな顔はしてないけどな。僕の方がまだマシだろ。
「これ買おうかな」
ぬいぐるみをなんだか愛しそうに見つめてぎゅっと抱きしめている。
その姿をみて胸が熱くなる。
君は僕をどれだけ夢中にさせる気なのかな。
「あの、さ……」
「んー? どうしたの?」
「僕と、け、け……け、ケーキ食べに行こう」
「あはは! ケーキそんなに食べたかったんだね! いいよー、会計してくるから待っててね」
ああもう!!
僕の意気地無し!!
大切な一言が言えなくてどうするんだ!
はあ……。
君の後ろ姿を見ながらポケットに手をいれる。
中に入っている小さな箱をぎゅっと握りしめ深呼吸。
今日、絶対に君に伝えるんだ。僕の今の気持ちを。
君と幸せな未来を築いていきたいから。
「お待たせ! ケーキ食べに行こうか」
よし。深呼吸。
「うん。あととびっきりの大事な話もあるんだ。聞いてくれますか」
「改まってどうしたの。別れ話だったら聞かないからね」
「まさか。聞いてからのお楽しみ」
「楽しくなかったら殴るよ」
「おお怖っ」
少し揺れる君の瞳を安心させたくて手を強く握った。
この手を離すことはない、必ず。
さあ。二人の将来について、何から話そうか。