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後悔しない

チョコレート。伝わる、だろうかーー。



君と話すのは、緊張する。照れくさくて、恥ずかしくて。

嫌われたらどうしようって、いつも考えてしまう。

考えても、仕方ないのに。


いつも緊張するけど、今日は特別緊張してる。

いつチョコレートを渡せばいいんだろう?

なんて言って渡そう?

受け取ってくれるかな?


そう考えただけで、ソワソワしてしまう。

絶対に渡すと決めたのに、脆くも崩れそうだ。


「ねえ、はやくチョコレート渡しなよ」

「待って! 落ちついてから……」

「はやくしないと、帰っちゃうよ?」


友達に言われて、君を見た。

いつ見てもかっこいい。

みんなはどう思ってるか分からないけど、君はいつもかっこいい。

笑った顔も、拗ねた顔も、怒った顔も。

全部、みたいと思う。

わたしだけに。

なんて、贅沢なことを願ってしまう。

話せるだけで……会えるだけで幸せなのにね。


「ほら! 渡さないと後悔するよ! 絶対渡しなよ!」

「う、うん! 声、かけてくる!」


慌てて追いかける。君の姿を見つけても、周りの目もあり、なかなか勇気が出ない。

はやくしないと、渡せなくなる。

勇気だせ、頑張れ、後悔するな、行動しろ、自分!


「ちょっと、待って!」


君が振り向いた。

目が合って、驚いた顔をする君。

わたしの様子をみて、淡い笑顔を向ける。

大好きなその笑顔を見て、なぜだか泣きそうになった。

胸が苦しくて、嬉しい。

なんて呼べばいいんだろう、この痛みは。

緊張と、苦しさと、好きがまざった感情。

これは、なんだろうか。


「どうした? 息、切らして」

「あ、あの……えっとね」


どうしよう、なんて言えばいいの?

受け取ってもらえるかな?

拒否されたら、泣きそうだ。


「あ、あのね……!」


緊張のあまり、泣きそうになる。

迷惑、かけたくないのに。


「どうしたんだよ? ゆっくり話してくれていいから」

「…………」


落ち着け。渡さなかったら後悔する。

後悔するなんて、絶対に嫌。

少しでも君に、近づけたら。

少しでも、意識してもらえたら。

やらないで後悔するより、やって後悔した方が何倍もいい。

勇気を出して、頑張らなきゃ!


「これ、受け取ってほしい……です」

「え……。これって!?」


目を大きく見開いて、チョコレートが入った箱を見つめる君。

無邪気な姿が、また眩しくて。

わたしには手の届かない、高嶺の存在。


君に恋してる人はたくさんいるだろう。

君が気づかないだけで、君はとっても人を惹きつけるから。


「すっげえ嬉しい! 絶対お返しするから!」


もし、この恋が叶わないとしたら。

君と付き合えなかったら。

わたしは少し後悔するかもしれない。

でも、勇気を出したことは絶対に後悔しない。

どんなことがあっても、絶対。


ねえ、お返しはいらないよ。

満面の笑顔を見れただけで、わたしにはじゅうぶんすぎるから。

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