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巻き戻しの魔法

作者: 小雨川蛙

 

 ある大魔法使いが死の間際に世界を揺るがす程の魔法を思いついた。

 その魔法はあまりにも強大過ぎて魔法使いは試すのを躊躇った。


「いや、しかし……」


 今、ここで使わねばこの魔法は勿論、自分の命も永遠に失われてしまう。

 ならばもうここで使うしかない。


 大魔法使いは擦れる声でその魔法を唱えた。


 ・

 ・

 ・


「成功だ」


 大魔法使いは擦れる声で言う。

 魔法は確かに成功した。

 だが、しかし。

 状況は何も変わらない。

 故に大魔法使いはもう一度魔法を唱えた。


 即ち、数秒前に時間を巻き戻す魔法を。


 ・

 ・

 ・


「成功だ」


 大魔法使いは擦れる声で言う。

 魔法はやはり成功している。

 だが、しかし。

 状況は何も変わらない。

 故に大魔法使いはもう一度魔法を……。



 ***



「お師匠さまが最後になんて言ったか聞こえたかい?」

「いや、分からない」

「何かの魔法だったのだろうか?」

「死の瞬間まで魔法を唱えるなんて、なんて素晴らしい方なんだ」


 弟子達の言葉は進んだ世界の中で緩やかに流れた。

 時間と共に。

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― 新着の感想 ―
 瀕死の身体を引きずったまま、回復することも終わりを迎える事もなく苦しむ無限ループ。  でも恨みない他者まで被害に遭わせずに済んだのは不幸中の幸いかもしれませんね。 興味深い落とし穴ありの作品でした…
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