初めての進化
「やっと止まったか……」
あれからしばらく通知は鳴り続き、【吸魂】スキルで得た経験値とスキル経験値、レベルアップなどの謎の音が止まることはなかった。
まあ、これは俺が【吸魂】の範囲をちゃんと予想してなかったのがいけなかったな……
あとは魂の量をしっかり把握できていなかった。
もうすでに【霊体化】のスキルは解除されてるけど、解除される前までに見えていた中では中庭にあった光の玉が完全に無くなっていた。
というか、俺の体に入ってきたら少し小さくなって抜けてきたと思ったら消えていってたな。
まあ、少なくとも【吸魂】のスキルレベルが1でも、このまあまあ広い中庭すべてが範囲になっているということだ。
そんな【吸魂】だが、使っていた時に凄まじい数の謎の声が聞こえてきていたが……あれはなんだ?
聞こえてきていた内容は経験値やレベルアップなどの俺に関する事だったが……
あれか? 通知かなにかだったのか?
スキルで【吸魂】を使うと聞こえる感じの。
あ、でもレベルが上がったという内容もあったから、それもか。
……まあ、うるさいだけで害はないから良いとしよう。
むしろちゃんと聞いてれば色々と助かりそうだし。
まあ、今回はちょっと通知が多すぎて途中でちょっと理解することを脳が拒んだけど。
だからそれらの確認のためにステータスを確認しておきたい。
俺は今回は持ってきていた、境界の管理者の手によって改造済みのスマホを取り出してセルフステータスを開く。
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名前 :多賀谷海斗
年齢 :16
種族 :人間Lv.24
:レッサーレイスLv.10(進化可能)
ジョブ:学生Lv.16
体力 :320/320
魔力 :15/270
攻撃 :181
防御 :72
俊敏 :70
器用 :90
知力 :177
幸運 :63
所持SP125
職業スキル:【知力強化Lv.2】
取得スキル:【暗記Lv.4】【速読Lv.2】【柔術Lv.1】【鑑定Lv.2】【怪力Lv.4】【鎌術Lv.3】【跳躍Lv.2】【頑強Lv.2】
魔法スキル:なし
種族スキル:【魔力操作Lv.1】【魔力増加Lv.1】【飛翔Lv.3】
固有スキル:【吸魂Lv.1】【霊体化Lv.2】
称号:境界の管理者とコンタクトを取りし者
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「おおおぉぉぉ……変わりすぎだろ……」
え~っと……変わったところは種族のレベルの部分と、おそらくそれに連動して上昇したステータスの値。
それといくつかのスキルレベルが上がったり、スキルが増えたり変わったりしてるな。
そうだな……確か【吸魂】の通知で聞こえてい限り、クロヤマアリなどのアリ類は【怪力】、オオカマキリのカマキリ類は【鎌術】、ナミアゲハなどのチョウ類は【飛翔】だったはずだ。
ここまでは脳がまだ理解できていた。
他に俺が覚えがないけど変わっているところは……【跳躍】に【頑強】か。
………………あ~そうだそうだ、細かい種類は覚えてないけどカエルとダンゴムシの魂を吸収したって通知があった気がするな。
それがこの二つのスキルの元か?
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【怪力Lv.4】
・【攻撃強化】スキルの上位スキル。
・攻撃のステータスが2.4倍になる。
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【鎌術Lv.3】
・鎌の扱いが上手くなる。
・鎌の扱いの上手さはスキルレベルに依存する。
【戦技】
《影薙ぎ》
・横薙ぎに鎌を振るい攻撃する。
・消費魔力:5
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【跳躍Lv.2】
・高く跳べるようになる。
・跳べるようになる高さはスキルレベルに依存する。
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【頑強Lv.2】
・【防御強化】スキルの上位スキル。
・防御のステータスが2.2倍になる。
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【飛翔】
・【浮遊】スキルの上位スキル。
・【浮遊】よりも遥かに自由に空を翔る事が可能
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「なるほど……」
セルフステータスで獲得したスキルの詳細についても確認したが、特に危険!
というスキルはなさそうだな。
よかったよかった。
……うん、まあスキルはよかったな。
……はぁ……さすがにこれはスルーはできないか……
「……なんだこれ……進化可能?」
表示された俺の種族のレッサーレイスの横に気になる文字が表示されていた。
それは進化可能……単純に考えるなら、レッサーレイスが進化して他の種族になれるということだろう。
……少し恐ろしさはあるけど、進化して弱くなったりする事はないだろうし、とりあえず試し……いや、確認するか。
俺にレッサーレイスという種族があっても、見た目には大きな変化はなかったから、進化しても一番の懸念である見た目の変化はない……はず!
だけど、心配ではあるので一応確認はしておこう。
……多分これまでと同じ方法で確認できるよな……?
まあ、細かいことがわかるかはわからないかもしれないけど……
少し心配になりながらも、俺は進化可能の項目を押す。
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※進化したら進化前の種族には二度と戻ることはできません。
それを加味してお決めください。
【選択してください】
1:レイス
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進化可能の部分を押すと、そんな画面が表示される。
進化したらレッサーレイスに戻れないという注意文に、おそらくレッサーレイスが進化可能であるレイスの文字。それに選択してくださいという言葉。
まあ、選択肢は今はレイスしかないけど、選択してくださいってことは複数ある選択肢から選べることもあるんだろうな。
……ま、進化を選択しない理由は特にないからレイスを選択するんだけど。
名前からして、レッサーレイスの上位互換だろうし、見た目に影響があるということもないだろう。
『進化を開始します。』
画面の選択肢から、レイスを選択してタップすると、そのような通知が聞こえてきたかと思うと、俺の体が発光し始めた。
これが進化か……?
「……!? ……いったぁぁぁぁあああ!? ちょ、【霊体化】ぁ!」
発光している自分の体を眺めていると、体に突然とんでもない痛みが走ってきた。
その痛みは、まるで体が内側から爆発するんじゃないかというほどで、俺は慌てて痛覚がなくなる【霊体化】を発動した。
「な……なんだ……今の……」
さっきまで感じていた、残っている痛みが引いてきたところで、痛みを感じていた部分を確認する。
「特になにもないよな……?」
痛みが走った場所は、特に変わった様子は見られなかった。
あえて言うなら、確認している間にさっきまで全身が発光していたが、その発光が収まったくらいか。
あと………全身の倦怠感がとてつもないくらいかな。
これは【霊体化】を使用した魔力の減少が原因だろうから、今は気にしないことにする。
「……これが進化する時の影響か?」
それ以外に特に変わった感じは見られない。
だけど、今は【霊体化】して痛覚を無くしているが解除した時が怖いな……
……それでも、まだ魔力が回復途中で【霊体化】もそこまで維持できないのも事実。
………………仕方ない覚悟を決めるか。
全身の発光が止まっているし、あの痛みも、もう感じなくなってないかなぁ……
……よし!
俺は【霊体化】を解除した時に痛みが襲ってくることを覚悟して、体に力を入れながら【霊体化】を解除する。
「……ふぅ~……よかった、痛みはないか……」
【霊体化】を解除したが痛みは、特に襲ってはこなかった。
俺は大きく息を吐きながらスマホを操作してステータスを開く。
……のだが
「す、すみませ~ん。だ、誰かいるんですか~」
「だ、誰かいるなら出てきてくださ~い……」
俺がステータスを確認しようとすると、病院から中庭に出入りするための扉の方から女性の声が二人分聞こえてきた。
……まあ、発光したり痛みに叫んだりしたからな……気づかれててもおかしくはないか。
病室でも声を出しすぎて、気づかれてから気をつけてたけど……うん、あの痛みは完全に想定外だからこれはノーカンで……
とりあえず、気づかれないうちに病室に戻るか。
魔力が結構カツカツで病室に行くまで【霊体化】を維持出来るかわからないけど……まあ、なんとかなるか。
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