【吸魂】
おそらく魔力の回復を待ち始めてから数十分程経っただろうか。
魔力が無くなって少しだるかった状態が、だいぶだるさが回復したことで感覚的に魔力が回復しているなというのを感じることが出来る。
これなら病室に戻るまでは【霊体化】出来るだろ。
……【浮遊】でもワンチャン他の病室から見られることを考慮しなければ、外から戻れるんだけどさすがにそれは色々と難しいからな……
魂が見えたからまだ使っていない【吸魂】も使えるんじゃないかと思うが、ちょっと病室から抜けすぎたから一旦病室に戻って大丈夫なことを確認してからだな。
「よし、【霊体化】【浮遊】」
俺は【霊体化】スキルを使い、再び俺の体を霊体にする。
そして、【浮遊】スキルでそのままゆっくりと浮かび、自分の病室まで移動していく。
……なんか【霊体化】を使った時は幽霊みたいだとは思ってたけど、本当に幽霊になった気分だな。
まあ、今は幽霊っていっても間違いはなんだけどさ。
そうして、空を飛んで病室に帰ってきた俺だったが、なんとか誰にも見つかることなく病室にたどり着くことが出来た。
唯一の懸念だった、病室からいなくなった俺を探しているようなざわめきも聞こえてこないし、意図的ではなかったとはいえ抜け出したのはバレてないと見て良いだろう。
「さて……」
俺は病室の壁をすり抜けてから、【霊体化】を解除して自分のベッドの上に腰をかける。
そして、置いていったスマホを取り出してセルフステータスを開く。
「うっわ、魔力が54まで減ってる……あ、だけど【浮遊】と【霊体化】のスキルレベルが2まで上がってるな。これはラッキー」
セルフステータスで俺のステータスを確認すると、110あった魔力が半分以下の54まで減っていることがわかった。
だけど、それだけでなく【浮遊】と【霊体化】のスキルレベルが1から2へと上がっているのも確認できる。
確認した限りでは特に使ったとことで減った魔力とスキルレベル以外は変わってなさそうだな……
スキルレベルが上がったけど、なにか変わったりしたのかな?
……まあ、その辺は今考えてもわからないからとりあえず置いておこう。
実験は後ですることにする。
「さて、それじゃあまた【霊体化】用の魔力が回復するまで待ってるか」
今日はもう確認などは終わりにして眠っても良かったのだが、なにも手がかりのようなものがなく、使えていなかった【吸魂】も試したいしな。
そのためにも何かあった時こために【霊体化】はいつでも使えるように魔力を最大まで回復させておきたい。
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「そろそろ良いかな?」
しばらく魔力が回復するのを待ち、セルフステータスでステータスを確認したところ、俺の魔力は最大まで回復したことが確認できた。
「よっこらせっと……それじゃあ、早速……【霊体化】【浮遊】」
ベッドから立ち上がって、【霊体化】スキルを使い、俺の体を再び霊体にする。
そして、そのまま壁をすり抜けて中庭の上空へ出る。
今ちゃんと冷静に考えればそのまま落ちても死んだり、怪我したりしなそうだが、あの時は完全に焦っていたからなあ……
だけど今回は焦ることもなく、【浮遊】スキルを使用してゆっくり浮遊し、中庭に着地する。
着地したら【浮遊】のみ解除し、【霊体化】は解除せず、さっきも魔力回復のために隠れていた草木の陰に移動してから魔力節約のために【霊体化】を解除する。
「よし、ここで良いな」
多分ここでも【吸魂】は試せるだろう。
さっき中庭で【霊体化】していた時に、この辺りにも魂らしき光の玉は見えていたからな。
範囲のとあったから範囲がどれぐらいかはわからないけど、多分この辺りなら使えるはずだ。
それじゃあ早速……
「【霊体化】【吸魂】」
【霊体化】で、体を霊体にすると同時に【吸魂】の発動もする。
【吸魂】の発動で、【霊体化】したことで視認できるようになった辺りを漂っていた光の玉が俺に向かって集束していく。
「うぉっ!?」
思ってたよりもめちゃくちゃきたぁ!?
スキルの説明にもスキルレベルで【吸魂】の範囲が決まるってあったけど、とんでもない範囲からめちゃくちゃきてるんですけど!?
視界一面魂しかないんですけどぉ!?
「……ん? あれ? なんともない?」
凄まじい量の魂が迫ってきたことに咄嗟に両腕を顔の前でクロスしたけど、魂は俺の体に入って少し小さくなって出るを繰り返しているだけだった。
なにかしら変化が起こるかと思ったけど、なにも変化は起きない。
どういうことかと考えていたが、そんなこと次の瞬間には考える必要もなくなっていた。
『【吸魂】のスキルを発動しました』
『クロヤマアリの魂の吸収を確認。経験値を6、【怪力】のスキル経験値を獲得』
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『種族Lv.が上がりました。レッサーレイスLv.2になりました』
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「ちょっとm『【怪力】のスキル経験値が一定値に達しました。【怪力】スキルを取得しました』」
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『オオカマキリの魂の吸収を確認。経験値を10、【鎌術】のスキル経験値を獲得』
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『種族Lv.が上がりました。レッサーレイスLv.3になりました』
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「ちょっt『【鎌術】のスキル経験値が一定値に達しました。【鎌術】スキルを取得しました』」
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「ちy『ナミアゲハの魂の吸収を確認。経験値を5、【飛翔】のスキル経験値を獲得』」
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『【飛翔】のスキル経験値が一定値に達しました。【飛翔】スキルを取得しました。取得済みである下位スキル【浮遊Lv.2】を【飛翔】スキルに統合します。』
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「も、もう止まってくれー!!!」
俺は叫んだ。
というか叫ばずにはいられなかった。
凄まじい量の魂が視界から消えたかと思うと、次の瞬間にはなぞの声がずっと頭に響いているんだ。
叫びたくもなる。
だが、そんな俺の魂からの叫びが届くことはなく、それからしばらく通知が鳴り止むことはなかった。
……いや~……叫んじゃったし、本当に【霊体化】した状態で良かった……あれ? 声は聞こえてるとかはないよな……?
……声についてはなにも実験とか確認してないよな……
よし、気にしないことにしよう。
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