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【霊体化】と魂

 あの後、なんとか眠りにつき朝を迎えた。


 ……まあ、当然寝つきが良かったわけでもなく、色々と考えながらの睡眠であったが。


 その後、起床し朝食を食べたら、検査に検査に検査に検査。

 とにかく検査尽くしで朝から夕方辺りまでの時間をすごした。


 おかげであちこち検査する場所に行っては検査する、順番を座って待つ、さらに検査をするといった行動を繰り返したせいで体がガチガチだ。


 しかもこれから数日間は本当になにもないか、今日と同じように検査地獄らしいし……

 憂鬱だなぁ……検査よりも待ち時間の方が長いし。


 そもそも、その検査は俺の体の怪我が突然治った原因を調べたり、なにかおかしなことがないかを調べる検査らしいけど……

 知ってるからこそ、その検査が余計に無駄ということしか頭に浮かんでこないんだよなぁ……


 教えられたら話は早いんだけど、さすがに治った原因を先生には教えられないからなぁ……


 だからこればっかりは仕方ないし、検査は甘んじて受け入れよう。


 そんな検査後、窓から見える中庭を見たり、スマホを触っている間にも時間は経ち、現在の時刻は深夜の一時。


 さすがにここまで時間が経てば、多少起きてても大丈夫だろう。

 今日も看護師さんが様子を見にきたけど、しっかり寝たふりをしたし。


「それじゃあ今日は【霊体化】も試してみるか」


 暇な時間に少しセルフステータスや頭に流れてきた情報などを整理していると、スキルは使えば使うほどスキルレベルが上がるということがわかった。


 だから、【浮遊】スキルもスキルレベルを上げると、どれだけ自由に浮遊することが出来るか知りたいけど、今日はまだ細かいことがわかっていない【霊体化】スキルを使ってみることにする。


 ……【吸魂】はいまだに魂がわからないから置いとくとしてだ。


「とりあえず……【霊体化】」


 ということで、俺は早速【霊体化】スキルを使用する。

 すると、俺の体が目に見えて徐々に透けていき……半透明になったところで透明になっていくのが止まる。


「……これは……本当に幽霊になったみたいだな……」


 自分の体を通して病室の床や壁。

 その他もろもろのものが自分の体から透けて見える。


 試しに頬をつねってみるが……痛みは感じない。


 それどころか、頬をつねっている感覚もない。


 これが物理攻撃を完全無効の効果なのかな?

 なんか本当に俺がイメージしている幽霊になったみたいだな……


「これって、壁抜けとかできるのかな? ……よっと」


 幽霊と言えばで思い付いたことがある。

 壁をすり抜けることが出来るかだ。


 早速その事を確認するために俺は立ち上がり、そのまま正面の窓がついている病室の壁をすり抜けようとする。


 すると、なんの抵抗もなく簡単に体が壁をすり抜けた。

 それはもうすっとすり抜けた。


 ただ……


「……へ? うぉぉぉぉおおお!?」


 霊体になったことに少し浮かれてもいたんだろう。

 なぜ俺は病室の扉側の壁ではなく、目の前にあった壁である窓側をすり抜けてしまったのだろうか。


 壁つきのベランダのようなものも一応窓の外にはあった。


 それでも思ったよりも簡単に壁をすり抜けたことで、俺は体勢を崩し、そのままベランダの壁もすり抜け、中庭へと落下してしまったのだ。


「やらかしたぁぁああああ!?」


 壁をすり抜けた俺は、そのまま中庭へと落下していく。

 てか、このままだと死ぬ!?


「【浮遊】!」


 声に出さなくても【浮遊】は使用できる、俺は思わず声に出す。

 すると、落下していった俺の体がゆっくりとだが、浮かび、落下していく速度を徐々に緩めていく。


 そして、完全に落下速度を緩めた俺は、そのまま地面に着地する。


「ふぅ……焦った~~……」


 まさか、あそこまで簡単にすり抜けるとは思っていなかった。

 ちょっと調子に乗ってしまった自分が恨めしい……


 この【霊体化】している状態だと、死ぬのかはわからなかったけど、マジで死ぬかと思ったし……


 いや、次から気を付ければ良いだけだよな!

 うん!


「それにしても……なんだこれ……?」


 中庭へと着地した俺が見たものは、月あかりに照らされる中庭の光景。


 草木や花。

 そして、それらの周りや空中を浮かぶ薄く光る玉。


 すべてが普通の庭には見えず、その中庭は本当に幻想的な光景だった。


 ……でだ。

 幻想的な光景。それは良い。

 いや、良くないがな?


 それよりも……なんだあの、光ってる玉は……?


「こういう時の【鑑定】だよな……【鑑定】」


 気になるな……

 俺は光って浮かんでいる玉の一つに向かって【鑑定】をしてみる。


 ────────────────────

 名称 :クロヤマアリの魂

 詳細 :クロヤマアリが死亡した際に生まれたクロヤマアリの魂。

 自意識は存在しておらず、星へ戻るまでただ漂うだけの存在。

 元保有:【怪力Lv.3】

 ────────────────────


「クロヤマアリの魂……?」


 ……ってことは、この光の玉は魂……?


 ……つまりこの光の玉はその辺にいつもいるアリの魂ってことか……?


 てか、【吸魂】スキルの説明にあった浮遊している魂ってこれのことか!?

 マジで!?


 となると、なんでいきなりこうして魂が見えるようになってるんだ?


 ………………あ、もしかして、【霊体化】のおかげか?


 さっきも考えてたけど、【霊体化】してる時の俺は半透明になっているし、現状は幽霊みたいな状態になっている。


 この【霊体化】という状態がその名の通り、本当に体が霊のようになっていて、俺が今も見えている魂などと同じようなお化けの分類になっているとしたら……


 だから、こうして魂が見えるようになっているってことか?


 ……ちょっと自分でも何言ってるかわからなくなってきたけど、今も浮遊している魂と同じような状態になったから魂が見えるようになったってことだな。


「……あ」


 魂が見えた事について色々と考えていたら、なにもしていないのに勝手に【霊体化】が解除され、同時にさっきまで見えていた魂も見えなくなった。


 ……ああ、そっか魔力切れか。


 【霊体化】には魔力を一秒につき1消費するとあったし、勝手に切れたのはそういうことなのだろう。

 謎の体のだるさもあるし、これが魔力が底をついて魔力が切れた時の症状なのかな。


「……とりあえず隠れるか……」


 さすがにこの時間に中庭にいるのを見つけられたら大変な事になるだろう。


 具体的にいえば、俺と夜勤などで受付辺りにいる人達が。


 さすがにそんな状況でそのまま素直に階段を上がって、俺が入院している三階の病室まで行くわけにはいかないしな。


 【浮遊】を隠れながら使って自由度を上げながら、【霊体化】使うことが出来るだけの魔力の回復を待とう。


 ……まあ、スマホを病室に忘れたから魔力が回復しているかは完全に感覚判断することになるんだけどな。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ブックマーク、評価、いいね、ありがとうございます。


続きが読みたいって思っていただけたのならブックマークと☆☆☆☆☆に★★★★★評価をしてくだされば作者のやる気がマシマシになりますのでぜひお願いします。


本日は後2話投稿していくつもりです!

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