記憶にない双子の姉妹との出会いの経緯
あ、そういえば。
「そうそう、二人に聞きたいんだけどさ」
「は、はい! なんでしょう?」
「……なに?」
二人はまだ意識が戻ったばかりの俺を気遣ってくれているのか、俺の質問に対して何だろう? という感じに顔をかしげる。
そんな仕草が可愛い女の子二人に見詰められて、俺もちょっとドキッとしながら聞きたい事を聞く。
「……本当に申し訳ないんだけどさ、二人と俺ってどこかで会ったことあったっけ?」
双子のインパクトやら、俺の怪我についてで完全に忘れてたけど俺と二人って初対面で合ってるよな……?
事故の事を覚えてなかったりするから、正直自分の記憶に信用が出来ないんだよ。
「……え……あははは、そ、そうですよね。あの時は意識もうろうとしてましたし、私達の事なんてわからないですよね……」
「……そう」
二人は少しショックを受けたような顔を浮かべた後、雪奈ちゃんは苦笑いを、玲奈ちゃんは無表情でそれぞれ反応を返す。
……本当に申し訳ない。
「えっと……私達と会ったことがあるかでしたっけ?」
「そうそう」
「……居眠りのトラックにひかれかけた時に、助けてもらった……」
居眠りのトラック……?
………………ああ!
「俺が入院する事になったトラックにひかれた時の!?」
「は、はい……」
「……うん」
あーなるほどなぁ……そう言われてみれば、横断歩道でトラックにひかれそうな制服の女の子二人をおもいっきり押して、次の瞬間凄まじい衝撃が来た記憶が……
そうかそうか、その押した二人が雪奈ちゃんと玲奈ちゃんだったのか……
「なるほどな、そういうことだったのか」
「……はい。あの時は本当にありがとうございました」
「……ありがとう」
そう言って雪奈ちゃんと玲奈ちゃんは、俺に対して頭を下げてくる。
まあ、これは二人が悪いわけじゃなくて居眠りして横断歩道に突っ込んできたトラックの運転手が悪いからな。
「いやいや、気にしないでよ。俺が好きでやった事だし。それに、悪いのは居眠り運転してたトラックの運転手だしね」
「……それでも、ちゃんと気をつけてれば助けてもらわなくても自分で避けられたかもしれない……」
「そうです……それで多賀谷さんは死んじゃいそうな怪我しちゃいましたし……」
顔を上げてはいるが、申し訳なさそうにする雪奈ちゃんと玲奈ちゃん。
……こればっかりは仕方がないんだけどなぁ……完全にたら、ればの話になっちゃうし。
「まあ、確かに俺は怪我したし、こうして入院もする事になった。
けどな? 二人を助けた事に後悔はしてないし、むしろ二人を助けられて良かったって俺は思ってるから。
だからそんな申し訳なさそうな顔しないでくれよ。悪いのは相手! たらればはなし! はい、終了!」
「は、はい!」
「……わかった」
俺がそうやって話を無理やり終わらせると、二人とも笑いながら返事を返してくれた。
うん、やっぱり女の子は笑ってる方がいいな。
「……でも、お礼はしたいです。何か私達で出来ることがあったらなんでも言ってください」
「……わたしも……」
「……はっ! な、なんでもって言っても、え、エッチな事はダメですよ! す、するにしても私だけにしてください!」
「いや、するわけないだろ!?」
急に何を言い出すんだこの子達は!?
「……しないの? 花の高校生だよ?」
「するわけないだろ!? 俺達実質初対面なの! オーケー!?」
玲奈ちゃんに至っては真顔で何言ってるの!?
……いや、二人とも可愛いし、俺も健全な男子高校生だからそんなことを考えなかったわけじゃないよ?
それでも初対面の女の子に手を出すか? 答えはノーだろ!
「そ、それでお礼の話だけど、本当に気にしないでくれ。俺が好きでやった事なんだしさ」
「そ、そうですか……」
「うん、頼むとしてもそれ系は頼まないから安心してくれ」
「わ、わかりました」
「わかった」
ちゃんと断らないと、この子達なんでもしそうな勢いだからなぁ……気を付けないと。
可愛い女の子と接点を持てるのは嬉しいけど、変な関わり方だけはしないようにしないとなぁ……
これ以上お礼云々の話を続けたら何かとんでもないことになりそうだし。
「ま、お礼だとか気にしなくても良いから、出来れば友達みたいにこれからも仲良くしてくれたら嬉しいな」
「友達ですか?」
「そう、友達。経緯はどうであれこうして知り合えたんだからさ、せっかくだからちゃんとこれからも友達になって欲しいなって。ダメかな?」
「だ、ダメじゃないです! むしろこっちからお願いします!」
「……わたしも」
「そっか。それじゃあ、改めてこれからよろしくね。雪奈ちゃん、玲奈ちゃん」
俺はベットに腰を掛けてた状態でパイプ椅子に座る二人に手を出して握手を求める。
それに気づいた雪奈ちゃんは、一瞬目を丸くし固まってしまうが、俺が笑顔のまま手を引っ込めないのを見ると、俺の手を優しく握り返してくれる。
そして、玲奈ちゃんも続いて俺の手を握った。
「はい! こちらこそよろしくお願いします!」
「……よろしく」
ちょっと顔を赤くして照れながら元気に返事をしてくれる雪奈ちゃんと、少し口角を上げながらクールに返事をしてくれる玲奈ちゃん。
……うん、やっぱり女の子は笑顔が一番だな。
そんな二人の笑顔を見て改めてそう思った。
《4日前、???side》
『防衛システムダウン。次元ノ境界ガ一部崩壊。空間ノ穴がガ発生。ゴ¥リ%2体、レッ%ー¥$ス1体ガ侵入。防衛システム復旧。空間ノ穴修復完了。次元ノ境界修復完了』
『ゴ¥リ%2体ハ日本ニ侵入後行方不明。索敵開始』
『レッ%ー¥$ス1体ハ重傷ノ人間に憑依。観察開始』
《3日前???side》
『観察結果。レッ%ー¥$スノ消滅を確認。憑依体ノ魂ト統合ヲ確認』
『憑依体ノ人格正常。異常無シ』
『観察終了。防衛開始』
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