帰宅とダンジョンの非常識
本日は2話連続投稿になります!
前話を読んでいない方は前話をお読みください!
カフェでしばらく二人と話した後、家に帰り買った物を【アイテムボックス】から取り出し、二人に整理を頼んだ。
その後、庭に出てから【霊体化】と【飛翔】を使って、昨日見つけたゴブリンキングの巣まで直行して中に入って探索を開始する。
「さて……このダンジョンはどんな構造をしているのかな……」
【気配感知】と【直感】による索敵をしながら、【アイテムボックス】から取り出した鎌を片手に探索を始める。
「……だけど、昨日は入り口のところ以外にゴブリンがいなかったんだよなぁ……」
いったいゴブリンはどこにいるんだろうか……?
とりあえず現時点では【気配感知】には引っかかってないし……もしかしたらもうゴブリンはいないのか?
いや、そんなわけないよな?
「……とりあえず進むか」
俺はそう呟いて歩き出す。
しばらくなんの進展もなく、警戒をしながら洞窟のような通路を進んでいく。
なにもないまましばらく進むと、先が一層強く光って見えるところが見えてきた。
「……なにかあるのか……?」
俺はそう呟いて、光が漏れている場所へ向かう。
そして、なにがあってもすぐに対応できるように鎌をしっかり握りながら通路の先へと進む。
「……は?」
通路の先へと進んだ俺の目の前に広がっていたのは、これまで進んでいたような薄暗い洞窟のような通路ではなく、大きな空間だった。
しかも、その広間は空があり、地面には草が広がっていて、草原と表現した方がしっくりくるような場所だった。
「なんだこれ……」
俺は思わずそう呟いてしまう。
洞窟のような通路から草原……?
しかも空がある?
……いや、おかしいだろ!
ダンジョンは常識が通用しないのかよ……
「……お?」
ダンジョンの常識のなさに驚いていると、【気配感知】の端の方からこっちの方へと近づいてくるいくつかの気配が感知できた。
数は……五体かな?
まあ、ゴブリン以外ないだろ。
問題は進化したゴブリンがいるかだけど……
「とりあえず……【霊体化】」
不意打ちや見つかることを避けるために、【霊体化】を使用する。
【霊体化】を使って霊体になると、俺は近づいてくる気配へ向かって、ダッシュで接近する。
「……ゴブリン二匹に……ホブゴブリンが三匹か?」
ダッシュで近づいていくと【気配感知】で感知していた五体のゴブリン達の姿が見えてくる。
見えてきたゴブリン達に【鑑定】をしてステータスを確認すると、二匹がゴブリンで三匹がホブゴブリンだった。
ただ、これまでのホブゴブリンがいつもとは違う。
これまで見てきたホブゴブリンは、全員斧を使っていたから斧を持っていた。
だが、視界に映っているホブゴブリンはどちらも槍を背中に紐のような物を使って背負っている。
……まさかの槍兵か。
そういえば槍を使う相手と戦ったことってなかったな……
……棍棒とか剣よりも、防御はしずらそうだ。
鎌を使っても、【柔術】を使った接近戦でも槍にはリーチが圧倒的に劣ってるからな。
「まあ……やるしかないけど」
俺はそう呟いてから【霊体化】を解除し、腰を低くしてから一気に地面を蹴って五匹のゴブリンに向かって接近する。
「《アイスランス》!」
そして、槍を持ったホブゴブリンのうちの一体に向けて《アイスランス》を放つ。
放たれた《アイスランス》は真っ直ぐと飛んでいき、こちらに気づいたホブゴブリンの体を正面から貫く。
突然のことで他の四匹は状況を理解していなかったようで、一瞬呆然としていたがすぐにこちらに気付いて走ってくる。
「ゴアァ!」
「よっ! ほっ!」
走ってくる四匹のゴブリンうち、一番近づいてくるのが早いホブゴブリンの槍をかわしてから棍棒で殴り付けてくるゴブリン一匹を鎌で切り裂いていく。
だけど、こうして実際に戦ってみるとわかったが思ったよりも槍の攻撃が厄介だ。
攻撃自体は棍棒や剣のような"線"や"面"の攻撃ではなく、突きという"点"の攻撃で避けるのは楽だ。
だけど、攻撃の動作が小さいから攻撃の回転が早い。
イメージとしては、斧を使っていたホブゴブリンが一回攻撃する間に、槍のホブゴブリンは三回攻撃してくる。
しかもその攻撃の隙が少ない。
だけど……
「《影薙ぎ》!」
「グギャァ!」
しっかり見ていると、槍の軌道がわかりやすいのもあって、余裕を持って軌道を予測して避けることが出来る。
その隙をついて《影薙ぎ》を放ち、二体目のホブゴブリンの首を刎ねる。
……よし……!
ホブゴブリンを倒すことが出来たらもう後はただのゴブリン二匹だけだ。
となれば……
「経験値と魂置いていけぇ!!!」
「ギャッ!」
「グギャ!」
鎌を振るい、ホブゴブリンが全滅したからか呆然としていたゴブリン二匹の首を一瞬で落として討伐する。
よし! 討伐完了!