説明と帰宅
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「あ、あの~二人とも? ちょっと良いかな?」
俺が声をかけると二人は少し顔を上げたが、すぐに俯いてしまった。
……どうしよう、この状況。
「よし。二人とも……まずは落ち着いて話を聞いてくれ」
俺がそう言うと二人は静かに頷いた。
よしよし。
「まず始めに言わせてもらいたいんだけど……俺としては二人とも保護させて欲しい」
そう俺が言うと二人は驚いたように顔を上げた。
「……で、ですが……それではタガヤ様への金銭的な負担が……」
「いや。そこは気にしないでください」
ソフィアさんがお金について心配してくるけど、そこは問題ない。
ちょっと見通しは悪いかもしれないけど、ゴブリン達を倒し続けていればお金は稼げる。
そうすれば生活費も問題ないだろう。
それに……遺産もあるし、俺が事故にあった時の慰謝料も出るだろうし。
「でも……」
「それに、エスカリアさんがモンスターに狙われてるって言ってましたし、そんなエスカリアさんやソフィアさんを見捨てるなんてしませんよ」
てか、ここで見捨てるほど俺も鬼じゃないし。
「タガヤ様……!」
「その……ありがとうございます!」
ソフィアさんは俺に再び頭を下げてきて、エスカリアさんは涙を流しながら俺に感謝してきた。
「……それに、ここに来る時に使った穴っていわゆるダンジョンってやつらしいんです。
だから、おそらくあっちの世界に帰ることも出来ると思うんです。
なので、もしあっちの世界に帰れる時が来たら二人とも一緒に行きましょう」
まあ、確証はないけど。
「……ダンジョン?」
「タガヤ様? 今ダンジョンと仰いましたか?」
俺がダンジョンという単語を口に出すと、二人は少し困惑した表情を浮かべた。
「そうですよ? そこのさっきまでいたところはゴブリンキングの巣って名前のダンジョンらしいです」
「そ、そうだったのですか……ソ、ソフィア。ダンジョンってこんな軽くあったと言えるようなものなの……?」
「い、いえ……ですが、タガヤ様は少し前までモンスターなどのことは知らなかったという事ですし……もしかすると……単純に知らないという可能性が高そうですね……」
あそこがダンジョンって二人に伝えたら、二人が小さな声で話を始めたけど……ごめん、【感覚強化】のせいで丸聞こえなんだわ。
とりあえず、二人の反応からしてダンジョンは知ってるみたいだ。
だけど、ダンジョンというのはそうそう軽くあると言っていいものではなさそうだな。
まあ、その辺は俺の知識が今は足りてないから判断はつかないけど。
「ま、その辺の話はもっと安全なところで話しましょ。
とりあえず。一旦俺の家に行きましょう。家は少し離れちゃってるんですけど、俺はこの辺に住んでるので」
「は、はい!」
「それでは向かいましょうか」
とはいえだ。
普通に向かうには二人の服装はかなり目立つ。
ボロボロになっているとはいえドレスにメイド服だ。
ワンチャン俺が今も山にいる警察に連行される。
二人の言葉が俺には通じてるけど、俺も普通ではないから参考にならないし……警察の人に伝わらない可能性もあるもんな。
とはいえ、代わりになる服もないし……
となると、今の二人を……どうやって連れていけば……困ったな。
………………あ~いや、いけなくもないのか?
「……すみませんお二人とも。普通に歩いて俺の家まで向かうとなると、二人の服装だとこの辺りだと……その、ちょっと目立っちゃうんで……」
俺がそう言うと、二人は自分の服装を見てから少し恥ずかしそうにしながらも、納得したような表情を浮かべて頷いた。
「わかりました。タガヤ様。それではどうすれば良いでしょうか?」
「えっと……二人とも俺に抱きついてもらっても良いかな……?」
「えっ!?」
「……はい?」
俺の言葉に対して二人は驚いた様子を見せた。
「その……ごめん。さすがに歩いては行けないからさ。空を飛んで行くから……二人とも俺に抱きついて欲しい」
俺は二人にそう言いながら頭を下げる。
……マジで申し訳ない。だけどこれしか方法がないんだ……!
「そ、空ですか……?」
「空……? 飛ぶんですか?」
俺の言葉に二人は少し困惑した様子でそう聞いてきた。
「ええ。まあ、簡単に言えば飛ぶというより浮くって感じですけど……」
「なるほど……それなら問題はないと思います」
「そうですね。わたしも大丈夫です」
俺の言葉に二人は少し考えた後、そう答えた。
ありがたい……!
これで面倒事が回避することが出来る。
「ありがとう! それじゃあさっさと行きますか!」
俺は麻袋を【アイテムボックス】に収納した後、二人に近づいていく。
「えっと……その、どうすればよろしいでしょうか……?」
「あ~……まあ、とりあえず……」
俺はそう言いながら、二人の背中に手を回して持ち上げる。
ステータスのおかげか、二人同時に持ち上げても軽い軽い。
よく女の子は羽のように軽いというけど、冗談抜きで全然重さを感じないや。
「きゃっ!」
「タ、タガヤ様なにを!?」
二人は突然抱き上げられたことで少し驚いた表情を浮かべながらも俺の首に腕を回して抱きついてきた。
そのせいで二人のご立派様が……いや、やめろ!
意識するな! 心頭滅却!
だけど、感触自体は……役得とさせていただこう。
ありがとうございます。
「ふふ……すみません驚かせちゃって……【飛翔】!」
俺は【飛翔】のスキルを発動させると、ゆっくりと浮かび上がり始める。
「えっ……!?」
「うわぁ……!」
二人は急に浮き上がったことに驚いた表情を浮かべている。
だけどすぐに状況を理解したのか、嬉しそうな表情に変わった。
「す、すごい! 本当に飛んでる!」
「凄いです……!」
「はは……まあ、これなら誰にも見られることなく安全に行けますよ。それに【気配感知】も使えるので近づいてくる人がいればすぐにわかります」
そう。
これこそが下がダメなら上から作戦だ!
これなら見つかる確率はぐーんと下がるから、安全に移動も出来る!
そして、俺の社会的な死も回避できる完璧な作戦だ!
……まあ、【霊体化】が使えないっていうデメリットはあるけど、そこは出来るだけ高く飛ぶことでなんとかする。
「なるほど……それではお言葉に甘えて……お願いします」
「はい。それじゃあ行きますよ!」
俺は二人を抱えたまま空へと飛び立ち、自宅へと向かうのだった。
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