ダンジョンと荷物
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【霊体化】を使用して、小さな山に出来ている、洞窟のような入り口からゴブリンキングの巣へと入る。
「……ん? なんだ? 今の感覚」
ゴブリンキングの巣へと入ると、なんともいえない感覚が俺を襲う。
……なんというか、『感覚をずらされた』感じ?
いや、なにいってるか俺もわからないけど、そんな感覚があったっていうのがわかっただけだ。
「……まあ、大したことないか」
一応体を確認してみたけど、体におかしなところはないし、今の感覚のことは置いておいてゴブリンキングの巣へと入っていく。
ゴブリンキングの巣は入り口からも察していたが、入ると何も手が加えられていない洞窟内だった。
だけど……ただの洞窟でもなそうだ。
まず第一に明るい。
普通なら明かりになるような物が一切ないから真っ暗になっているはずなのに、この洞窟は明るいのだ。
壁、天井、床。
そのすべてが淡い光を放っており、暗いはずの洞窟内を照らしている。
第二に大きさ。
入り口はだいたい縦2mの横幅は1.5m程度だったけど、入った瞬間から一気に広くなっている。
今では横幅が7mを超えており、天井まで5mはあると思う。
広すぎて、正直この目算もあってるかわからないけど、少なくとも横幅はホブゴブリンが持っていた斧を両手に持って子供みたいにグルグル回っても余裕がかなりあるんじゃないか?
外の入り口があった小さな山のようなものから考えると、中がこんな広いはずがない。
あとは入ってきた入り口の横に入り口とは別にもう一つ同じような穴があるのは気になるけど……
「これもダンジョンの特徴なのか?」
ダンジョンとはどんなものかはわからないが、この短い時間だけど、少なくとも俺の常識が通用しないってことはわかった。
……まあ、とりあえず進むか。
一旦今日はゴブリンの数を減らすのと、偵察を目標にしておこう。
倒せるだけ倒して【吸魂】も使うけど。
そんなことを考えながら、俺はそのまま奥へと進んでいく。
ちょくちょく【霊体化】を解除して魔力を回復させながら進む。
魔力が尽きたら万が一の時に【霊体化】で逃げられないからな。
【霊体化】は俺の生命線だ。
だから慎重に使っていかないと……
【霊体化】が使えない状況で、強いゴブリンやゴブリンに囲まれるっていう状況になったら泣く自信がある。
「にしても……ゴブリンがいないな……」
ゴブリンキングの巣に入ってからかなり奥まで進んだはずだけど、全くゴブリンの姿が見当たらない。
それどころか、【気配感知】にも反応がないときたもんだ。
「……仕方ない。一回戻るか」
さすがに武器や魔力が万全とはいえない状況で、この先に進むのは無理そうだ。
あと単純に危ない。
命大事に。これが一番だ。
ということで、ここまでやってきた道を引き返すことにした。
ここまで一本道? 一本洞?
だったから迷うわけもなく、【霊体化】を解除してしばらく歩くと、問題なく入り口近くへと戻ってこれた。
さーて、とりあえず使えるかはわからないけど、ゴブリン倒してお金を確保できたし、これで壊した時用の追加の鎌でも買いに──
「グギャ?」
──いく……か……な。
………………はい?
……い、今起こったことをありのままに話すぜ。
俺はゴブリンキングの巣を出ようと二つある入り口のうちの入ってきた左側へと向かってたんだ。
そしたら、そのタイミングでゴブリンの団体が続々と右側の方からなにかを麻袋に入れて、その麻袋を引きずりながら俺がいる通路へと入ってきた。
そして、先頭のゴブリンと目が合ってる。
……なんだこれ?
だけど、なぜか【気配感知】もゴブリンが穴から出てくるまで反応しなかった。
まあ、それは良いと……いや、良くないが、とりあえず良いとして……
「先手必勝! 《アイスランス》ゥ!」
「グギャァ!?」
俺もだが、ゴブリン達も少しの間固まっていて、動かなかったところに《アイスランス》をゴブリン達に向かって撃ち込む。
俺が撃ち込んだ《アイスランス》は先頭のゴブリンの腹部を貫いた。
……だが、これでは終わらない!
「もういっちょ! 《アイスショット》!」
そのまま続けて、さっき考えた対集団用の魔法として考えた《アイスショット》を使う。
この《アイスショット》は、《アイスランス》の氷の槍を小さくする代わりに射出する数を増やすイメージで作り上げた魔法だ。
一つ一つの氷の槍の威力は下がるだろうけど、その分数を増やしたからだいぶ攻撃できるだいぶ範囲は違うはず!
「グギャァァァ!?」
「ギャギャァァ!?」
俺の放った《アイスショット》は、先頭にいたゴブリン数体に命中し、それぞれ体のどこかに突き刺さり、ゴブリン達は悲鳴を上げて倒れる。
ただ、進化したゴブリンであろう斧を持ったホブゴブリンに、刀身が長い両手剣を持った全身鎧を着たゴブリン。
包丁程の大きさの短剣を逆手に持ったゴブリン。
このちゃんとした武器を持ったゴブリンには迎撃され、後ろの麻袋を引きずったゴブリンやゴブリンメイジに、骨で出来た杖を持ったゴブリンには当たらなかった。
だけど……
「《半月投げ》!」
《アイスショット》を迎撃している内に、全身鎧を着たゴブリンに近づき、《半月投げ》を使用して、全身鎧を着たゴブリンを地面に叩きつける。
金属製の全身鎧を着てたからか、とてつもなく重かったけど、なんとか投げられた。
そのおかげか、全身鎧でかなり重くなってたであろうゴブリンからは鎧が叩きつけられる音と鎧の中でゴブリンが体を打ちつけた音が聞こえてくる。
「ゴブァ!」
「ギャッ!」
だが、近づいてきた俺に対して斧を持ったホブゴブリンは斧を横に薙ぎ払い、短剣を逆手に持ったゴブリンは手に持った短剣で突き刺そうとしてきた。
さらに、ゴブリンメイジは火球を杖の先端から打ち出そうとしている。
回避──
「【霊体化】!」
──をせずに、【霊体化】で斧と短剣の物理攻撃を無効化して、透かす。
さらに、その状態で火球を放とうとしているゴブリンメイジにホブゴブリン達からある程度離れたところで【霊体化】を解除して、【アイテムボックス】から鎌を取り出し、近づく。
体に斧や短剣が貫通するっていうのは、心臓に悪いけどさ。
それでも、確実に強いであろう二体の攻撃を避けられるし、なにより……
「くらえ……! 【吸収】! 《影薙ぎ》!」
こうして、攻撃しようと防御の事に意識が向いてないゴブリンメイジ達を一気に片付けられる!
俺は【吸収】を使用して《影薙ぎ》を使用し、手に持つ黒い光を纏った鎌を横に薙ぎ払う。
「ギャッ!?」
ゴブリンメイジは火球を消し、なんとか杖を盾にしてきたけど、その杖ごとゴブリンメイジの首を切り飛ばす。
さらに、一歩踏み出してからその場で鎌を持って回転し、麻袋から手を離して棍棒を持ったゴブリン三体。
それに、骨で出来た杖を持ったゴブリン一体の首をまとめて鎌で切り飛ばす。
──ピキィ
……ん?
なんだ今の音?
何か変な音がした気がするけど、今はそんなこと気にしてる場合じゃない。
「もう一回! 《アイスショット》!」
回転したことで隙を見せてしまったホブゴブリン達に対し、牽制目的の《アイスショット》を使用する。
「グガァ!」
だが、《アイスショット》を放つと同時にホブゴブリンは持っている斧を横に振るって、《アイスショット》を防ごうとしてきた。
それに合わせて、短剣を持ったゴブリンもホブゴブリンの後ろに隠れる。
お、一直線に並んでくれたな……それなら!
「くらえ! 《ストライク》!」
【アイテムボックス】からダンジョンに入る前に倒したホブゴブリンの斧を取り出し、【投擲術】の戦技の《ストライク》を使ってホブゴブリンへ斧を投げつける。
ホブゴブリンへと投げられた斧はまっすぐ飛んでいき──
「グガァ!?」
──《アイスショット》を斧で防いでいたホブゴブリンの胸を貫く。
「ゴブァ!?」
さらに、ホブゴブリンを縦に真っ二つにした斧はそのまま短剣を持ったゴブリンも切り裂いた。
……うっし。文字通りストライク。
これで文字通りゴブリンは全滅っと。
『種族Lv.が上がりました。レイスLv.18になりました』
『職業Lv.が上がりました。死霊魔術師Lv.6になりました』
お、レベルも上がったか。
いや~正直【気配感知】に反応がなかったのに、ゴブリンの集団と会っちゃった時はマジで焦ったけどな。
でもまあ、なんとかゴブリン達が動き出す前に不意打ちが出来たのが大きい。
でなきゃ、あの全身鎧を着ていかにも頑丈ですよ~と体で表現していたゴブリンと正面から戦うことになってただろうし。
ちょっと悔やむところがあるとしたら、おそらく俺が【鑑定】したことのないゴブリン三体の【鑑定】が出来なかったことかな。
さすがにあの状況で【鑑定】する余裕は無かった。
だけどまあ、倒しきることが出来たし良しとしようか。
「……で、なんだこれ?」
ゴブリン達は倒せたが、ゴブリン達が引きずってきた麻袋が気になる。
俺が入ってきた入り口の隣から出てきたから、あの先にもダンジョンの通路が繋がっているんだろうけど……
その先にあった場所の物を持ってきたんだろうか。
まあ、なんにせよ気になる。
「とりあえず開けるか……」
ゴブリン達が引きずってきた麻袋を開けるために、麻袋が放置されているところまで向かう。
その道中でゴブリン達のドロップアイテムがいくつか落ちていたから拾い、お金もいくつかの五百円玉と何枚かの千円札が落ちていたから進行方向にあったものはすべて回収した。
残りは後で回収しよう。
「……思ってたよりもでかいな」
ゴブリン達が引きずってきた麻袋の近くまで来たが、その大きさに驚愕する。
麻袋はかなり大きく、少なくとも麻袋を引きずっていたゴブリンよりは大きそうで、俺も入れそうなぐらい大きい。
そんな麻袋が三つ……これマジでなにが入ってるんだ?
こんな大きな麻袋に入ってるんだから、中身は相当大きい物だろうな。
「よし……開けるか……」
少しだけ期待に胸を膨らませながら、ゴブリン達が引きずってきた麻袋の一つに手をかける。
そして麻袋の口を縛っていた紐を緩めていく。
「よし……!」
そして最後に麻袋の口を広げて中を見て──
「……マジか……」
──絶句した。
「……人……?」
そう。麻袋の中に入っていたのは人だったのだ。
麻袋に入っているのは女の子で、日本ではそうそう見ることがない綺麗な金髪と碧眼が印象的だった。
服装はかなりボロボロだが、見たこともないような白いドレスのような服を着ている。
顔立ちはかなり整っており、整い過ぎてるまである。
そんな綺麗な顔立ちの女の子が麻袋の中に入って腕と足が縄で縛られていて、口には縄を噛ませる形で縛っていた。
そして、現在進行形で碧眼を潤ませながら俺と目が合っている。
………………ふぅ……とりあえず一言。
「え~~~と……どなたさまですかね?」
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