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双子の姉妹

「本当にきみの体どうしちゃったの?」


「いや、どういう事かは俺が聞きたいんですけど……」


 あの後、目が覚めてからどうしようもなくしばらくボーッとしていると、医者と思われる人が俺の病室が入ってきて、目を見開いたかと思うと、騒ぎだしてあれやこれや色々な事があった。


 ……いや、本当に色々なことがあったな。


 検査とか検査とか検査とか……

 で、色々終えた後に病室移動してから来た先生の一言がこれだ。

 頼むから医者がそんなこと言わないでくれよ……


「いやさ、きみってば、居眠り運転してたトラックにひかれたはずなんだよね? ちゃんと重傷だったんだよ? 生死の境を一時はさまよってたんだよ?

 ……なんできみはこんなに元気になってるの? なんか怪我も治ってるし」


「いや、そんなこと言われても……」


 それは本当に俺が知りたいよ。

 何があったって言われても、悪夢見て目が覚めたらもう病室だったわけだし。


 てか、なんで病院にいるんだってに思ってたけど、俺トラックに引かれてたのか……

 全然覚えてないや……


「まあ、そこは良いや。いや、本当は良くないんだけどね?

 えーっと……一週間寝てたはずなのに、どこも異常無さそうだし……とりあえず、もうしばらく検査のために入院はして貰うけど、いつでも退院は出来るような状態ではあるから安心してね」


「あ、はい」


 一週間か……そんなに眠ってたんだ。

 ……意識するとちょっとお腹が空いてきたな。


「じゃ、何かあったらそこのナースコール押してね。失礼するよ」


「わかりました。ありがとうございました」


 そう言うと、しばらく一緒にいた先生は、病室から出て行く。

 一人になった病室で、俺はベッドで寝たままぼーっとする。


 四人部屋ではあるが、病室には俺しかいないので本当に一人だ。


 ……どうしようこれ。

 もう俺的には元気なのに、退院も出来ないし……


「暇だぁ……」


 誰かお見舞いとか来てくれないかなぁ……時間的にはもう学校も終わってるし、誰か来てくれても良いんだけど。


 とんでもない量の通知がきてたから、無事だったスマホを使って知り合いには無事って連絡したし、唯一の身内である爺ちゃんにも連絡した。


 父さんも母さんも事故で死んじゃってて、爺ちゃんだけが唯一の俺の家族。


 だけど、爺ちゃんも遠い所にすんでるからなぁ……

 入院費も居眠り運転して青信号の横断歩道に突っ込んで、俺を撥ね飛ばしてくれたトラック運転手の会社やらが出してくれるらしいし……後は俺は未成年だから保護者の爺ちゃんと弁護士に丸投げだ。


「ほ、本当に起きてるよ……!」


「……うん、それに治ってる」


「ん?」


 誰か来ないかなぁ……とか考えていたら、入り口の方から声がしたのでそっちの方を見てみると、そこには……誰だ?


 入り口には知らない女の子が二人いる。

 黒髪の腰あたりまで伸びているロングヘアーで、眼鏡をかけた真面目そうな委員長とかしてそうな女の子。

 それに、同様の黒髪だが、髪は肩ぐらいまででヘアピンをつけている女の子達だ。

 そして、見覚えのある制服──俺が通っている四聖高校の女子の制服を着ている。


 見覚えのある制服を着てはいるけど……この女の子達は少なくとも俺の知り合いではないはず……だよな?


 赤色のリボンの色を見れば、後輩の一年生ってことはわかるんだけど……


 病室には誰もいないし、病室を間違えてるとかじゃなければ多分目的は俺だよな?


「えーっと、君達は……? ここに来たって事は多分俺に会いに来てくれたのかな?」


「は、はい! そうです!」


「そっか……」


 ……やばい……本当にこの子達誰だろう。

 二人とも俺を知ってるっぽいよな?

 もしかして実は知り合ってるけど、俺が忘れてるとかあるのか?

 ……まあ、わざわざ来てくれた子達を俺が記憶にないからって追い返すのも悪いか。


「それじゃあ入り口辺りだとあれだから、こっちに来てくれるかな? 今椅子も出すからさ」


 俺は二人にそう言いながらベットから降りて立ち上がり、近くに置いてあったパイプ椅子を二脚取り出してそこに置く。


「わ、わぁ! 多賀谷さんはベットで寝ててくださいよぉ!」


「……うん。わたし達が自分で用意する」


「いやいや、わざわざ来てくれたんだから俺がやるよ」


「多賀谷さんは治ったとはいえ怪我してたんですから、わたし達がやりますよぉ!」


「……座ってる。それか寝てて」


 二人はベットに俺を座らせようと、謎の連携プレイで椅子を持ってる俺に迫ってくる。


 ……よくわからないけど、完全に二人の圧に押された俺は、大人しくベットに座り直す。

 俺が座ると、二人も立て掛けてあるパイプ椅子を用意し、カバンを床に置いて座る。


「さてと、それじゃあ知ってるみたいだけど、一応自己紹介をさせてもらうね?

 俺は多賀谷海斗。君達二人と同じ学校の四聖高校に通ってる二年生だよ。よろしくね」


「は、はい! わ、私は宮田雪奈です。多賀谷さんと同じ高校の四聖高校へ今年入学しました。で、この子が……」


「……宮田玲奈……です。……よろしく……」


 二人は俺の自己紹介に軽い会釈と共に自己紹介をしてくれる。


 ……自己紹介にもうしているとか、なにも言われなかったってことは知り合ってるってわけではなさそうか?


 ……ん? 二人とも同じ名字?


「あれ? 宮田さん達ってもしかして姉妹?」


「あ、はい。私と玲奈は双子ですね。あと、私は雪奈って呼んでください」


「……うん、二卵性の姉妹。……わたしは玲奈」


「へー! 双子だったのか。わかったよ。よろしくね雪奈ちゃん、玲菜ちゃん」


 にしても、なるほど。

 双子か~確かによくよく見てみると……いや、よく見なくても、髪型とかで雰囲気は全く違うけど、顔の造形とかは似てるような……


「あ、あの……! それより……」


「お?」


 雪奈ちゃんに声をかけられる。

 玲奈ちゃんは、表情は変わらないがちょっとソワソワしてるような……?


「えっと、その……多賀谷さんは、大丈夫なんですか? 一週間も意識が戻ってなかったですけど……それに、怪我も……」


「ああ、うん。俺は大丈夫だよ」


「そ、そうなんですか! 良かったぁ!」


「……本当に良かった。でもなんであんなに酷かった怪我が治ってるの?」


 俺の返事を聞くと、雪奈ちゃんと玲奈ちゃんは二人して安心したように胸を撫で下ろした。


 ……この子達本当に良い子だなぁ。

 俺のことをそんなに心配をしてくれてたなんて……


 それと、玲奈ちゃんごめん。怪我については俺が一番聞きたい。


「ごめん玲奈ちゃんそれは俺もわからないや。今も二人が来る前に担当してくれてた先生にどうしたのって言われちゃったし……」


「それは……」


「……どんまい」


 ……うん、今はその優しさが痛いや……

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ブックマーク、評価、いいね、ありがとうございます。

続きが読みたいって思っていただけたのならブックマークと広告の下にある☆☆☆☆☆に★★★★★評価をしてくだされば作者のやる気がマシマシになりますのでぜひお願いします。

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