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ゴブリン戦とドロップアイテム

「間違いない……あれがゴブリンか……」


 ゴブリン達を前にして、俺は空中に浮かんだまま何か話しているように声を出しているゴブリンを観察する。


 ……なるほど、なるほど。


 体は貧弱そのもの。

 少なくとも、子供のような見た目だが骨が浮かび上がっているぐらいであり、筋肉などの類いはほとんど付いていない。


 だが、武器なのだろうが、三体とも棍棒のようなものを軽々と持っている。


 棍棒の持ち手はゴブリンに合わせられてかなり細くなっているが、殴るであろう部分はかなり太くなっていた。


 あれで殴り付けられたら相当痛いだろうな……


「さて、とりあえず……【鑑定】」


 今も話しているように声を出している三体のゴブリンに向けて、【鑑定】を使用する。


 ────────────────────

 名前:なし

 種族:ゴブリンLv.6


 体力:160/160

 魔力:10/10

 攻撃:110

 防御:40

 俊敏:20

 器用:10

 知力:5

 幸運:10


 所持SP5

 取得スキル:【棍棒術Lv.1】

 魔法スキル:なし

 固有スキル:なし


 称号なし

 ────────────────────


 ────────────────────

 名前:なし

 種族:ゴブリンLv.6


 体力:160/160

 魔力:10/10

 攻撃:115

 防御:45

 俊敏:15

 器用:5

 知力:5

 幸運:10


 所持SP5

 取得スキル:【棍棒術Lv.1】

 魔法スキル:なし

 固有スキル:なし


 称号なし────────────────────


 ────────────────────

 名前:なし

 種族:ゴブリンLv.6


 体力:160/160

 魔力:10/10

 攻撃:100

 防御:35

 俊敏:35

 器用:10

 知力:5

 幸運:10


 所持SP5

 取得スキル:【棍棒術Lv.1】

 魔法スキル:なし

 固有スキル:なし


 称号なし

────────────────────


 なるほど、これがゴブリン達のステータスか。

 攻撃のステータスは高いけど、他は低いって感じか……


 ステータスにもゴブリンごとにばらつきがあるっぽいけど、これは個体差があるんだろうか……


 とりあえず、結論としては棍棒による攻撃に気を付ければ今の俺でも戦えそうって感じだな。


 病院で【吸魂】したことで手に入れていた【怪力】スキルもあるから、俺の攻撃のステータスもゴブリンの防御のステータスを上回ってるしな。

 俊敏も同様だ。


 ただ、俺の防御のステータスが低いから、そこだけが不安なんだよなぁ……


 よし! 方針は命大事に!


 ゲームみたいな状況だけど、ゲームみたいに復活とか出来ないんだから慎重にいこう。


 というわけで、俺はゴブリン達から少し離れた場所に着地する。


 そして、手頃な石が近くにあることを確認しておいてから【霊体化】を解除して石を拾い──


「シッ!」


 ──中学の頃にあった野球の授業の時のフォームを思い出し、石を振りかぶる。


 そして、ゴブリンの一体に向けて思いっきりぶん投げた。

 先制攻撃だ!


「ギャッ!」


「グギッ!?」


「グギャッ!?」


 俺が投げた石は一番近くにいたゴブリンの後頭部へとクリーンヒットし、石が後頭部にめり込み、頭が吹き飛ぶ。


 ………………え? 吹き飛ぶ?


「グギャギャギャア!」


「ギャッ! ギャギャッ!」


 仲間の頭が吹き飛んだことに怒ったのか、残った棍棒を持った二体ゴブリンがそれぞれの武器を振りかざしながら、俺に向かってくる。


 ……うん、ゴブリンの頭が吹き飛んだことには驚いたけど、頭数が減ったからよしとしよう。


 ……完全に頭が吹き飛ぶのは想定外だったけど……


 とりあえず、目を血走らせ、(よだれ)を垂らしながら近づいてくるゴブリンの相手をするために、なんとなくの戦闘の構えをとる。


「グギャッ!」


 一体のゴブリンが少し離れたところから飛び上がり、棍棒を振り下ろしながら、飛び掛かってくる。

 ……が、すごい遅い。


「《半月投げ》!」


「グギャッ!?」


 俺はその飛び掛かってくるゴブリンによる棍棒の攻撃を半身ずらして避け、その腕を掴み、【柔術】の戦技(アーツ)である《半月投げ》を使用する。


 《半月投げ》を使用すると、両手が淡くオレンジ色に光り、体が勝手に動いて、飛びかかってきたゴブリンを地面に叩きつける。


 すごいな【柔術】くん、体が勝手に動いたぞ……

 それに、両手が光ったのは戦技を使ったからか?


「グ……ギャッ!?」


 叩きつけられた衝撃で、掴んでいたゴブリンからゴキンッとした音がし、ゴブリンの頭があらぬ方向に向き、白目になる。


「ギャ……グギャ……」


 二体のゴブリンが倒れると、残ったゴブリンが俺を警戒して、飛び掛からずに棍棒を構えながらジリジリと距離を詰めてくる。


 来ないなら……


「三体目!」


 近づくだけ!

 全体的なステータスは勝ってるから、一対一ならなにも問題ない! ……はず!


「グ……《グギャギャア!》」


 俺が残ったゴブリンに近づくと、ゴブリンは叫びながら棍棒を振りかぶりながら、突進してくる。


 だが、さっきまでのゴブリン達とは違い、棍棒が淡く赤い光を放っていた。


 これは……戦技か!

 これはヤバイ! 【直感】のお陰なのかとんでもないぐらいヤバイ感じがしてる!


 そうだよな! 【棍棒術】があるもんなぁ!!! 使えないわけ無いよなぁ!!!


「グギャァ!」


「チッ!」


 受けるのは得策じゃない。


 命大事に。


 ゴブリンが淡い赤い光を放った棍棒を上段から振り下ろしてくるのを、俺は跳んで横に避ける。

 俺が避けると、当然ながら棍棒は地面に叩きつけられるが、地面に棍棒が当たった瞬間、地面にはまあまあ大きなクレーターが出来上がった。


 ……え? なにその威力……

 あんなの当たったら死ぬぞ……


「……グギャ!」


「うおっ危な!?」


 俺がクレーターを見て驚いていると、ゴブリンは地面にクレーターが出来たのを気にせず、横に振り払ってきた。

 俺はそれをバックステップで避ける。


「どっせい!」


「グギャッ!?」


 そして、棍棒を振りきった体勢のゴブリンのがら空き状態になっている胴体に、俺は蹴りを入れる。


「グ……ギャ……」


 俺の蹴りは見事にゴブリンの胴体へと入り、足の裏に骨を砕いたような感触が伝わってくる。


「グギャ……ギャ……」


 ゴブリンは口から血を吐いて、その場に倒れる。


 そして、数秒後、倒れていたゴブリン達は光の粒子となり、棍棒と小さな石。

 さらには硬貨のようなものを残して消えていった。


『種族Lv.が上がりました。レイスLv.2になりました』


 それと同時に、レイスの種族レベルが上がった通知が頭の中に流れてきた。


「はぁ~……疲れた……」


 【気配感知】にも他の気配が引っ掛かってないので一息つく。


 それにしても、戦技を使われた時は焦ったけど、なんとかなったな。

 思ったよりも戦えるというか、体が勝手に動いた感じだ。


 【柔術】とか辺りが関係してるんだろうか。


 あとは、ステータスの力もあるか……?

 まあ、なんにせよ、ゴブリンは倒せた。


 ……ゴブリンを倒し……いや、殺したから少し気分は悪いけど。

 だけど、これから同じことを繰り返すことになりそうだし、早く慣れよう。


「さてと……ゴブリンの死体は消えちゃったから良いとして……なんだこれ?」


 ゴブリンが消えた後に残された物を集めて、その中の小さな石を手に取って見つめる。


「まあ、こういう時の鑑定だよな。【鑑定】」


 ────────────────────

 名称 :魔石(小)

 レア度:F

 状態 :普通

 詳細 :モンスターの体内で生成される魔力の結晶。

 使い道は武器や防具の素材などに使えるが、低ランクの魔石であるためほとんど使い道はない。

 ────────────────────


 ほお~これが魔石か。

 鑑定結果には使い道はあまり無いと書いてあるが……素材とあるしなんか使えるかも知れないし、一応保管しとくか。


「あとは……この棍棒と硬貨だな」


 棍棒は……まあ、多分そのままだよな。

 木製の棍棒。

 問題は硬貨っぽい物の方。


「これ……五百円玉だよな……?」


 そう、ゴブリンが残した物の中にあったのは五百円玉。

 今でも日本で使われているお金だった。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ブックマーク、評価、いいね、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
残念、ゴブリンの霊は吸収できなかったな~
急にご都合さが増したな…(吸魂チートがある時点で今更ではあるが) 魔物の死体が消えてドロップアイテム方式かー、日本円を落とす辺りが最高にご都合主義 紙幣まで出てきた日には、何かしらの偽造防止技術に引っ…
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