ニュースとSP
無事退院となり、家に帰ってきた翌日。
まだ、学校への登校は様子見のために出来ないらしいから、もう慣れた誰もいない家のリビングでテレビのニュースを見ながら昨日買っておいたパンを食べる。
普段は一人暮らしだし自炊もするけど、一週間以上家に帰ってなかったんだから、冷蔵庫の中が空なのは当たり前。
入院前に買い物行く予定だったし。
「うん、イチゴジャムパンうま」
朝はご飯派の俺はパンなんてめったに食べないけど、たまに食べると美味しい。
焼きそばパンとかの惣菜パンと迷ったけど、今回は甘いパンのイチゴジャムパンにした。
次に買うとしたら惣菜パンを買うかな。
『次のニュースです。昨日未明、■■県楽泉市の楽泉山で男性の遺体が発見されました』
「……え?」
イチゴジャムパンを味わって食べていると、そんなニュースが聞こえてきた。
『警察の調べによりますと遺体は見るも無惨な状態で発見されており、警察は身元の確認を急ぐと共に地元住民に警戒を呼び掛けていくとのことです』
「……これ昨日先生に聞いた話の事だよな……ついに死者がでちゃったのか」
昨日、先生から楽泉山での怪我人の事を聞いたが、この死者が出たというニュースもその事に関係してるだろう。
『また、楽泉山では以前から穴が掘られていたり、森の草が結ばれていたりなどしており、人為的な犯行として調査を続けています』
「……なるほどな……それにしても遺体は無惨な姿で発見されたか……」
……この事件にも話にあった子供が関係してる……?
でも、警察が調べても子供は発見出来てないらしいし、普通の子供をプロの警察が発見できないなんて事あるのか?
子供だから捜索時は帰ってるって事もあるだろうけど……それでも凶器は使われてるだろうし、そんな物持ってたらすぐにわかるよな?
もし、本当に子供だとしたらそんな凶器を持っていたら誰も気づかないなんてことないだろうし。
そもそも、子供がこれまでのイタズラレベルならまだしも、こんな事件を起こせるとも思えないし……
うーん……なーんかさっきからなにか嫌な予感がするんだよなぁ……
………………よし!
「行ってみるか、楽泉山」
こういう時は実際に見に行くに限るね。
しばらくは家で様子見ともいわれたけど、その様子見することになった原因を俺は知ってるからする必要はないし。
最悪、本当に子供があんな事件を起こしてたとしても、ステータスで強化された俺はそうそう簡単にはやられないだろう。
【霊体化】もあるしな。
ということで、残っていたイチゴジャムパンを口に放り込んでからパパッと着替えなどの準備を整える。
準備と言っても、動きやすい服装であるジャージに着替えるだけだが。
もちろん学校のジャージではない普通のジャージだ。
「さて……行きますか」
……とりあえず、何かあった時に【霊体化】を使えるように楽泉山までは自転車で行こう。
~移動中~
自転車を走らせること二十分。
ようやく楽泉山へ到着した。
楽泉山の近くにある駐輪場に自転車を置いて、楽泉山の入口まで歩く。
いつも通りなら、山への登山道とキャンプ場へと続く道があり、その道には車も人もそれなりに通る。
だけど今日は──
「近づかないでくださーい! 離れてくださーい!」
──その道には黄色のテープで通行止めがされ、警察官らしき人が道を塞ぐように立っていて、ニュースを見たであろう野次馬やなにも知らなかったであろうリュックなどを背負った客で溢れかえっていた。
警察の人も大変そうだなぁ……
「ご迷惑をおかけしますが、今は楽泉山を封鎖していますので関係者以外は入らないでくださーい! 繰り返しますー!」
楽泉山に入れないかなと少し見回してみるが、黄色いテープよ規制線は見える範囲全域にしかれていて、今も警察の人が叫んでいるし、少なくとも正面からじゃ楽泉山へは入れそうにないな……
まあ、正面からじゃだが。
俺は今も必死に声掛けをしている警察官や野次馬達を尻目にその場を離れ、人目のつかない道に入る。
「【霊体化】、【飛翔】」
そして、誰にも見られていないことを確認してから俺は【霊体化】と【飛翔】を使い透明になって、浮かび上がる。
正面からがダメなら飛んで入れ理論だ。
普通だったらこんな理論なんて成り立たないが、この二つのスキルはそれが可能だ。
その状態でさっきの人が集まっていた場所も空から越えて、楽泉山の麓まで飛ぶ。
警察がいることも考えて、一旦人がいない木の上に着地して【霊体化】を解除する。
「……さて、この辺りになにかないかな……」
とりあえず、先生から聞いた穴や結んだ草を探してみるか?
……いや、でもなにも無しに探してたら警察に見つかるかもしれないし、その穴や結んだ草で怪我するかもしれないよなぁ……
「……あ、SP使ってなにかスキルを取ってみるか」
もしかしたら、その穴や草を発見や感知できるようなスキルもあるかもしれないな。
初めてSPは使うけど……多分スキルの新規取得もセルフステータスで取れるだろ。
スマホをポケットから取り出して、SPの項目を開く。
「SPを使って取得できるスキル一覧は……」
────────────────────
取得可能スキル一覧
【剣術】 :10SP
【短剣術】 :10SP
【大剣術】 :10SP
【槍術】 :10SP
【弓術】 :10SP
【盾術】 :10SP
【斧術】 :10SP
・
・
・
・
・
【火魔法】 :30SP
【風魔法】 :30SP
【水魔法】 :30SP
【土魔法】 :30SP
【光魔法】 :50SP
【闇魔法】 :15SP
【氷魔法】 :15SP
・
・
・
・
・
【気配感知】:10SP
・
・
・
・
・
モンスター取得可能スキル
・
・
・
・
・
────────────────────
……うっわぁ……なんかめちゃくちゃある……
だけど、これだけあれば目的の効果のスキルは発見出来るだろ。
魔法と書いてあるスキルの必要SPの違いや、モンスター取得可能スキルとある部分が気になるけど……
まあ、今は目的のスキルを探すのが優先だな。
*****
****
***
**
*
「……こんなものかな」
あれから少しの時間スマホとにらめっこをして、必要そうなスキルを取得させてもらった。
取得したスキルは三つ。
【気配感知】に【直感】。
そして、【看破の魔眼】というすでに失われたはずである、中二心を刺激するスキルだ。
【気配感知】は警察が近づくのを出来るだけ早く気づくため。
それと、目撃されたという子供達を発見出来るかもしれないから選んだ。
【直感】は、穴や結んだ草に気づかなかった時や、今日感じたような嫌な予感がこのスキルで感じとれたらなと思って取得した。
【看破の魔眼】は、言わずもがな中二心を刺激されたから。
……いや、嘘。
本当の理由はモンスター取得可能スキルのところにあったのだが、効果が今回の目的に完全にマッチしていたから取得した。
ちなみに、使ったSPは【気配感知】が10SP、【直感】が20SP。【看破の魔眼】が驚異の100SPだ。
【看破の魔眼】だけ必要なSPが多すぎるが、その効果を考えれば納得もいく。
ついでに、それぞれのスキルの効果はこんな感じだ。
────────────────────
【気配感知Lv.1】
・周囲にいる生物の気配を感知できる。
・感知できる範囲はスキルレベルに依存する。
────────────────────
────────────────────
【直感Lv.1】
・直感が鋭くなる。
・直感の鋭さはスキルレベルに依存する。
────────────────────
────────────────────
【看破の魔眼Lv.1】
・眼に魔力を集めることで使える。
・罠や隠された物を見つけられるようになる。
・見える物は眼に込める魔力に依存する。
・消費魔力はスキルレベルに依存する。
消費魔力:任意
───────────────────
こんな感じだった。ちなみに、他にも魔眼とあるスキルは【石化の魔眼】や【麻痺の魔眼】、【睡眠の魔眼】などがある。
……まあ、魔眼は全部モンスター取得可能スキルのところにあったからモンスター専用のスキルなんだろうけどな……
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ブックマーク、評価、いいね、ありがとうございます。
続きが読みたいって思っていただけたのならブックマークと広告の下にある☆☆☆☆☆に★★★★★評価をしてくだされば作者のやる気がマシマシになりますのでぜひお願いします。