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エピローグ:寄り添う日々

初雪の朝、エリアスは目覚めると隣の寝室から灯りが漏れていることに気づいた。

彼女の規則正しい生活は彼にとっていつも誇らしくもあり、少しだけ心配でもあった。


窓の外を見ると、昨晩から降り始めた雪が領地一面を白く覆っている。

初雪が降り積もり、静けさの中に領地が息づいていた。




エリアスは軽く伸びをし、暖炉の火を確認してから支度を整える。



「おはようございます、若様。」


執事のルーカスが静かに扉を開け、温かい紅茶を差し出す。


「ありがとう。レティシアはもう起きているのか?」


「ええ、奥様は早朝から書斎で帳簿を確認しておられます。先日の冬支度の報告をもとに、村への追加支援の計画を立てておられるようです。」


エリアスは苦笑しながら紅茶を一口飲んだ。


「本当に熱心だな…朝食を準備してくれるか。」


「かしこまりました。」


ルーカスが退室すると、エリアスはガウンを羽織り、レティシアのいる書斎へ向かった。


書斎の扉をそっと開けると、レティシアが机に広げた書類を熱心に見つめているのが目に入った。

朝の柔らかな光が彼女の横顔を優しく照らしている。


「おはよう、レティシア。」


「エリアス。おはようございます。」


彼女は顔を上げ、微笑んだ。


「こんなに早くから何をしているんだ?」


「村の冬支度についてです。昨日の報告を整理して、追加支援が必要な場所を優先的に手配しようと思って。」


エリアスは彼女の横に立ち、机上の書類に目を通した。


「君がここまで気を配ってくれるおかげで、領地全体が安心して冬を迎えられる。本当に感謝している。」


レティシアは少し照れたように笑みを浮かべた。


「私がやるべきことをしているだけです。それに、この土地に暮らす皆さんの笑顔を守れるなら、それが一番の喜びです。」


エリアスは彼女の手にそっと触れた。


「それでも、無理はするな。君が倒れてしまったら、皆が困るんだから。」


「ええ、わかっています。」


レティシアは暖かさを感じながら彼の手を軽く握り返した。


「ところで、外を見ましたか?」


「雪が積もったのは見たよ。白銀の景色が広がっていた。」


「少しだけ散歩しませんか?冬の始まりを一緒に感じたいです。」


エリアスは意外そうに目を瞬かせたが、すぐに微笑んだ。


「もちろんだ。」


二人は厚手の外套を羽織り、庭へ出た。雪に覆われた庭は、静けさと美しさに満ちていた。木々の枝に積もった雪が陽光を受けて輝いている。


レティシアは手袋を外し、そっと雪に触れた。


「冷たい。でも、この季節ならではの特別な感触ですね。」


エリアスは彼女をじっと見つめながら言った。


「君とこうして穏やかな時間を過ごせることが、俺にとっては何よりの幸せだ。」


「私も同じ気持ちです。」



レティシアは彼の隣で空を見上げた。降り続く雪が、二人の間に新たな絆を描き出すようだった。



「これからも、一緒にこの領地を守り、育てていきましょう。」


「もちろんだ、レティシア。」


エリアスは彼女の手を取り、握り締めた。二人の手が触れる温もりが、冷たい冬の空気を溶かしていくようだった。




二人は共に歩き出す。新しい一日がまた始まり、未来への希望を描いている。




これは、神に導かれ、運命に導かれ、そして何より、互いを想う気持ちに導かれて辿り着いた、二人だけの物語──。


最終話です。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

これからは外伝、続編を更新予定です。


是非そちらも読んでもらえると嬉しいです。

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