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レティシアの力

暴動のあった地区に、突如として温かな光が満ちていく。

神の祝福による浄化の光だった。


同時に、アスタルン公国軍の布陣が張られていた地にも、同じ光が広がっていく。


「私の力は、この領地のもの」


レティシアの声が、凛として響く。


「そして」エリアスが一歩前に出る。「この領地は、俺たちが守る」


城下では、暴徒たちが次々と武器を置いていく。

アスタルンの軍勢も、この不思議な光に怯えるように後退を始めていた。



「な、なんということを...」


フェリエの使節が膝を震わせる。レティシアの力は、彼らの想像を遥かに超えていた。

それは、もはや一国の力で押さえつけられるものではない。



「帰って伝えなさい」


彼女は静かに、しかし毅然と告げる。


「私たちの決意を、そして神の導きが既にここにあることを」


エリアスが、使節たちに向き直る。


「見たはずだ。この領地と、俺たちの力を」


使節たちの表情が、恐れと諦めの色に染まっていく。アムレアン皇国の後ろ盾。そして今、目の当たりにしたレティシアの真の力。もはや、両国に勝算はなかった。


「エリアス」


レティシアの声が、柔らかく響く。


「ああ、分かってる」


彼は頷き、使節たちに告げた。


「我が家は、今この瞬間をもって、両国との全ての交渉を打ち切る。これ以上の干渉は、必ず報いを受けることになるだろう」



窓から差し込む神の光は、いまだ城下町を包み込んでいた。

それは、二人の決意と共に在ることの証だった。



「改めて申し上げます」エドヴァルド侯爵が、静かに口を開く。


「来月の満月の日、我が家では侯爵位の継承と、正式な結婚式を執り行う。」

「正式に侯爵夫人となるレティシアを狙うということはアイシュエット侯爵家、ひいてはアムレアン皇国すべてを敵に回すと心するよう伝えろ。」


エドヴァルド侯爵の言葉に使節たちは、もはや何も言えなかった。

彼らは苦々しそうな表情を隠しきれぬまま深く頭を下げ、そして静かに部屋を去っていった。


静寂が戻った書斎に、夜風が優しく流れ込む。


「すまなかったな」エドヴァルドが苦笑する。「せっかくの大切な話の最中に」


「いいえ」レティシアは微笑んだ。「むしろ、これで全てが清められた気がします」



エリアスは、彼女の横顔を見つめていた。


形だけの結婚から半年以上の時間を経て、こうして本当の形で結ばれようとしている。

その思いが、胸の内で確かな温もりとなって広がっていく。


「では」エドヴァルドの声が、穏やかに響く。「改めて、来月の満月の日と定めましょう」


窓の外では、神の光が徐々に薄れていき、代わりに月明かりが優しく領地を照らし始めていた。




それは、新しい時代の幕開けを、静かに告げているかのようだった。


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