戦いが、始まる
「随分と詳しい情報ね」
レティシアが地図を覗き込む。その眼差しは鋭く、分析的だ。
「私たちの領地の発展を、最初から狙っていたということ」
彼女の言葉に、エリアスは重い溜息をつく。確かに、これは単なる領土争いではない。アスタルン公国は、彼らの成功に目をつけていたのだ。
「レティシア」
エリアスが彼女を見つめる。その瞳には、これまでにない真摯な色が宿っていた。
「...すまない。俺の独断は、危険を招くところだった」
朝日が昇り切り、谷間を金色に染め上げていく。その光の中で、二人の影が重なるように並ぶ。
「次からは、私の計画をちゃんと聞いて」
レティシアの声には、静かな信頼が込められていた。エリアスは無言で頷く。
「若様」
騎士の一人が、新たな報告を携えて駆けてきた。
「鉱山の作業員たちが、不安がって作業を止めているそうです」
その言葉に、エリアスは再び表情を引き締める。今回の件で、領民たちの不安は更に高まるだろう。しかし──。
「俺が直接説明に行く」
彼の声は、迷いのないものだった。
「君の策があるなら、それも聞かせてくれ」
レティシアは満足げに頷いた。二人で歩み始めた道は、まだ始まったばかり。しかし、確かな絆が育まれ始めているのを、彼女は感じていた。
遠くでは、新しい一日の始まりを告げる鐘の音が鳴り響いている。
朝の光を受けて、鉱山の岩肌が金色に輝いていた。
この領地を守るため、二人の戦いは始まったばかりだった。
大晦日なので2話更新しました。
年内に終わろうと思ったのに終われず…お正月休みが終わる前には終わりたいけどどうでしょう…。
皆様、よいお年をお迎えください。
がんばって更新していくので来年もよろしくお願いします。




