表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/52

第2章:凍てつく地に芽吹く希望

雪が舞う中、アイシュエット侯爵家の領地が見えてきた。


厳しい寒さの中にも凛とした気品を漂わせる城砦が、レティシアたちを迎える。

北の守りを担う要塞として、幾世代にもわたって国境を守ってきた歴史が、その佇まいからも感じられた。



「なんと美しい...」



エマが思わず声を漏らす。確かに、銀世界に浮かぶ城の姿には威厳があった。しかし、それだけではない。温かな光を灯す窓々が、ここが人の暮らす場所であることを物語っている。



「あれを見て」


レティシアが指さす先には、城下町が広がっていた。フェリエ王国とは異なる独特の建築様式。寒さを防ぐために考え抜かれた造りの家々が、整然と並んでいる。通りには人々が行き交い、市場からは活気のある声が聞こえてきた。


「まるで、お嬢様を待っていたかのようですね」


エマの言葉に、レティシアは小さく頷いた。たしかに、到着に合わせるかのように、街全体が温かな雰囲気に包まれているように感じられた。


城門をくぐると、そこにはすでに出迎えの一行が待っていた。




「ようこそ、アイシュエットへ」


アイシュエット侯爵夫人アレクサンドラが、両手を広げて歓迎の意を示す。その横には、アストリッドとアルマの姉妹が立っていた。二人とも、母親譲りの気品ある美しさを持っている。



「レティシア、本当によく来てくれました」


アレクサンドラは近づくと、レティシアを優しく抱擁した。その仕草には、母親としての慈愛が溢れている。


「私の親友セシリアの娘が、こうして我が家の一員になってくれるなんて」


その瞳には、涙が光っているようにも見えた。



「初めまして、レティシア」


アストリッドが柔らかな笑みを浮かべる。


「ずっと、あなたの到着を待っていたのよ」


「お姉様が張り切って、あなたの部屋の準備を整えてくださったのですよ」


アルマが、姉を冗談めかして指差す。姉妹の和やかな雰囲気に、レティシアは思わず心が和むのを感じた。



エマも、その温かな出迎えに感動しているようだった。フェリエ王国での冷遇が嘘のように思える。


「あら、あなたがエマさん?」


アレクサンドラは、エマにも優しく微笑みかける。


「セシリアからよく聞いていましたよ。レティシアの良き理解者として、これからもよろしくお願いしますね」


「は、はい!」


エマは感激のあまり、声を震わせながら答えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ