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 こんがらがりまくり


「おっかしーわねー。いつもここら辺で見失うのよね」


 駅の人混みでカシスは独り言ちる。カシスは弟の恋を成就させるために変装してカフェに来たアンを追跡してた。

 アンは城から出る時には変身したりしてなかったりだけど、城に帰る時には王子に戻る。城は出るのは容易だけど、隠れて忍び込むのはほぼ無理だ。


 アンの変身は多目的トイレでしている。王子からアンの時は警戒してるけど、アンから王子の時は少し緩んでる。それでもトイレに入る時には誰にも見られないように最新の注意を払っている。

 変身には駅の広い構内のどこかを使っていて、カシスは王子程身体能力に優れていないからいつも撒かれている。けど、今日は多目的トイレの前まで追い着いていた。


「なにこれ? ピアス?」


 カシスは床にキラリと光るものを見つけ拾う。ワンポイントのシンプルなデザインのピアス。重い。オーダーメイドだ。安物じゃない。


(見覚えがある。これは今日、アンちゃんがつけてたやつだ)


「すみません、お嬢さん、それ、私のです」


 カシスに話しかけてきたのは帽子を深く被ってマスクした男。カシスは一瞬で王子と気付く。王子は両方の耳を交互に指し示す。右はついてなく、左には同じピアス。カシスは事も無げにピアスを渡す。


「ありがとうございます」


 受け取って王子は去っていく。


(やっぱ王子イケメンだわ。ああいう彼氏欲しいわー。けど、王子はミルクが好き好きなのよねー)


 カシスは気を取り直して帰り始める。


「ええーっ!」


 ここで、カシスは気付く。


(アンのしてたピアスと王子様のピアスが一緒。見たけどオーダーメイドだった。もしかして、いや、十中八九同一人物。そう言えば二人って、よく見れば似てるし、髪も目も一緒だし。昔、お城にそう言う魔道具があるって噂を聞いた事あるわ。王子の趣味なのかしら?)


 頭を抱えこんがらがりながらカシスは家に帰った。



 ◇◇◇◇◇



「お帰りなさいませ。お嬢様。ってアンちゃん。昨日ぶりーっ」


 まるで、大好きなご主人様を出迎えるワンちゃんみたいに。カルアはアンを出迎える。尻尾ブンブン状態だ。


「ああ、また来たよ。いつもので」


 アンはいつもの窓側の席に案内される。そして運ばれてきたブラックコーヒーを口にする。


「なぁ、今度駅前に美味しいケーキ屋が出来たようだから一緒に行かないか?」


 アンがミルクの接客の合間に話しかける。


(くっそー。やっぱ可愛いな。出来ればアントニーで誘いたいけど、多分断られるだろうしな。嫌われてそうだし。見た目女の子同士だけど、それでも一分一秒でも一緒にいたい!)


「うん、ありがとう。絶対一緒に行くよ」


 花が舞い散るような笑顔のミルク。


(アンちゃん、今日も綺麗。見るだけで目が潰れそう。デート、デートだね。見た目は女の子同士だけど。本当はカルアでデートしたいけど、アンちゃん、カルアみたいな陰キャのヘタレなダンゴムシは興味ないていうかむしろ嫌いだし……)


 一緒に遊びに行く事をこの上なく喜んでいる二人。それを変装してないカシスが瞳孔が開いた目で見つめている。


(あんたたちお互いの正体知ったら驚くなんてもんじゃないわ。アンちゃんとアントニー王子は同一人物でミルクが好きでカルアが嫌い。ミルクとカルアは同一人物でアンちゃんが好きで王子が嫌い。どうやったら上手く行くのか、あたしゃわからんよ)


 けど、本当に幸せで楽しそうなミルクとアンを見て、ついカシスも微笑む。


(BL? GL? どっちなんだろう。けど、ま、いっか二人とも今が幸せなら)


 カシスは前途多難が約束された二人の恋が上手くいく事を祈るのであった。

          

         完



 読んでいただきありがとうございます。


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