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 一目ぼれ


「これ、誰?」


 桃色のフワフワな髪の毛。垂れ目がちでパッチリした目。透き通るような白い肌。僕なのか? こんな女の子街中で見かけても尊すぎて直視出来ないよ……


 確かに僕は小柄で線が細い。それに全体的に顔立ちが地味だけど、目を二重にして色々パーツを強調しただけでこんなにも化けるとは……


「大きい声ださない!」


「はい」


「ねー、あんたもっと高い声だせる?」


「えっ、高い声?」


 言われた通りにちょっと声のトーンを上げてみる。


「もっと」


「ん、こんなもん?」


 意外に高い声って出せるもんだな。


「合格ね。んー、こんなものかしら? 言ってみて」


「んー、こんなものかしら? なんでそんなこと言わせるんだ?」


「そりゃ、あんたに女心わからせるためよ。その顔であたしの服を着たら、悔しいけどあたしより可愛いわ。それで完璧な女の子を演じて女心を学ぶのよ」


「そんなんで、学べるのか?」


「ダメ。そんなので学べるのかしら?」


「そんなもので、学べるものかしら?」


 なんか訳が分かんないけど、僕には逆らう気力も無く、それから僕はカシスから女の子講座を受け続けた。

 なんとカシスの服まで装備させられて所作振る舞いまでもだ。僕の大好きな漫画のヒロインをイメージし始めたら、なんとか上手くいき始めた。



 ◇◇◇◇◇



「お帰りなさいませ。ご主人様」


 僕は最高の笑顔でご主人様を出迎える。このご主人様は小柄で髪の毛が薄いけど、とっても優しい人だ。


「いつもミルク殿の笑顔は最高でゴザルな」


「ありがとうございます」


 僕は常連のおじさんを席に案内する。



 ここは「喫茶ミラージュ」、俗に言うメイドカフェ。ロココ調という装飾華美な店内で見目麗しいメイドさんがフリフリのメイド服で働いている。


 カシスがやたら僕に変な事するなと思ったら、ここに無理矢理連れて来られて働かされる事になった。女装して街中に連れて来られたので、そりゃもう、心臓飛び出すんじゃないかってくらいバクバクだった。


 この店のオーナーとカシスは仲が良く、バイトに怪我で欠員が出てカシスはヘルプを頼まれたそうだ。カシスはこの手のヒラヒラした服は苦手という事で僕が生贄に捧げられた。厳しい面接があるそうだったけど、一発で採用された。なんでだろう? 男なのに。


 始めは恥ずかしくて恥ずかしくて仕方なかったけど、慣れって恐ろしい。めっちゃチヤホヤされる事もあって、なんか僕はここのバイトが気に入り始めている。男なのに。



『カラン、コロン』


 入り口の鐘が鳴り、新たなお客様が入って来る。あ、女の子一人? 珍しいな。他のメイドさんは手が離せないみたいで僕が応対に行く。


「お帰りなさいませ。お嬢様」


「まじか、本当にお帰りなさいませって言うんだな」


 ハスキーな低めの声。けど、僕はその顔を見て心臓が止まるかと思った。帽子からこぼれるプラチナブロンドのサラサラな髪の毛、見たこと無いけどエメラルドみたいなグリーンの瞳。真っ白な肌に凛としたスッとした顔立ち。整った目と鼻。うちのメイドさんにはエルフさんもいるけど、それ以上に美しい。


 ついつい僕は凝視してしまう。本当に綺麗な絵画や人に出会ったら心奪われて一瞬動けなくなるって聞いた事あるけど、まさにそんな感じだ。


「ミルクちゃん、大丈夫ーっ? 帰ってきてーっ」


 先輩に言われてやっと我にかえる。


「こちらのお席にどーぞ」


 僕は女の子を席に案内する。


 僕はマリアさんの事を好きだと思ってたけど、それは優しくされてると思ってたから。それって好きだったつもりだったんだな。これが多分まさしく恋、一目惚れ。うるさすぎる心臓が苦しい。一目惚れって僕には関係ない都市伝説だと思ってたのに確かに存在したんだ……

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