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第十二章 旅立ちのとき 4

登場人物


レイン=スタンドフィールド(主人公・愛称レイニー)

ジリアン=スタンドフィールド(主人公の弟<従弟>・愛称ジル)

ロブ=スタンドフィールド(主人公の兄<実父>)

カスター=ペドロ(クルー。通信士。愛称キャス)

ディゴ (クルー。操縦士)

クレア=ポーター(クルー。医者)

コーディ=ヴェッキア(クルー。看護士)

ジョナサン(クルー。エンジン技師)

アルバート(クルー。副操縦士。愛称アル)

パジェロブルーが研究所に到着すると、早速、ジリアンは一人で飛行練習を始めた。

カスターと通信で支持を受けて、練習をこなす。

一方、レインは室内練習場にて、飛行訓練をロブから指導を受けていた。

ディゴとアルバートは、筋肉トレーニングをしていた。

クレアとジョナサンはスカイエンジェルフィッシュ号の完成にむけての調整に立ち会っていた。

コーディは、備品など必要なものを準備していた。

出発に向けて、それぞれ、自分たちのやるべきことを日々こなしていた。

スカイエンジェルフィッシュ号が完成し、試運転を始めるころ、パジェロブルーにはジリアンとレイン二人で飛行練習をしていた。

レインは最初にドックでのロブの脅しがトラウマになりそうに恐怖が襲ってきたが、慣れるとすぐに忘れてしまっていた。

ジリアンはレインの様子をみて、安心した。次第に現実味をおびてくる感じが二人を高揚させて希望に胸を膨らませて飛行練習していた。

ロブがクレアにパジェロブルーを二人で飛行したいと頼み込んできた。

「どうしてだ?」

「いや、エアジェットで攻撃の仕方を見せておきたいんですよ。

黒衣の民族(カラス)がどんな攻撃をしてくるか知る必要性があると思うのです。」

「じゃ、あたしじゃなくてもいいだろう。アルならできる。」

「アルバートができるんですか。」

「もちろんだ。航空士の資格を持っているよ。」

アルバートはクレアからの通信支持で飛行するように言われて、パジェロブルーに乗りこんだ。

ロブは気が気でなかったが、クルーである以上、信頼するしかなかった。

ジリアンから操縦席の説明を聞いて、アルバートは無言でうなづいていた。

準備ができ、パジェロブルーは発進し、地上をたち、上空へ飛んだ。

ロブは操縦席から天井のガラスの扉を空け、両足首を座席上部にある固定輪にはめた。

アルバートはクレアの指示通り、パジェロブルーを回転させた。

ロブは両手を広げて、バランスを図った。頭上が下になっても微動させなかった。

その様子をレインとジリアンは驚きのまなざしでみていた。

パジェロブルーの上部でロブは体をねじってみたり上半身を激しく動かしていた。

アルバートは操縦桿前にある計器類に鏡が設置されていてそれをみて、ロブの様子をみていた。

クレアの通信からは、ロブと同じことが出来るかという質問があったからだ。

「もちろん出来るよ。」

アルバートはにやけながら、わざと操縦桿の操作を間違え、不安定な飛行をした。

ロブはバランスを崩したが、すぐに体制を整えた。

そして、操縦席外の動向を終わらせた。

ロブがアルバートの操縦席にある鏡をみると、アルバートの顔がにやけているのをみて、故意だとわかった。

しかし、ロブは何も言わなかった。

パジェロブルーが帰還して、ロブたちが操縦席から、出てくると、クレアはアルバートを平手打ちした。

パーン

「なにするんだよ!」

アルバートはクレアに食って掛かった。

「馬鹿野郎!あたしの支持にしたがえといっただろう。」

アルバートはにやけて、あやまろうとしなかった。

「逆らったら、承知しないといっただろう。」

「どう承知しないんだよ。」

クレアはアルバートに切れて、足蹴りをした。

アルバートが立ち上がらないうちに、みぞおちめがけて蹴りを再度いれた。

「ぐほっ。」

アルバートは倒れこんで立ち上がれなくなった。

「容赦しないといっただろう。アル。」

「ううっ。痛いよ。クレア。」

「甘えるな。」

クレアとアルバートの様子を見て、カスターは思った。

(どう手なづけたっていうんだろう。)

ロブがアルバートに近づいて、背中に手をやり、もう片方の手を差し出した。

アルバートはロブの顔を見て、手をみると、その手をとり、よろめきながら立ち上がった。

ロブはクレアに対して口出ししないと決めていた。

カスターはロブがアルバートに接している姿を見ていた。

(こういうことか。)

「アルバート、クレアさんに謝るんだ。」

アルバートはロブをにらんだが、すぐに、にやけた。

「すみませんでした。クレアさん。これからは気をつけます。」

「支持を無視することはチームワークを乱すことだ。それが命取りになる。」

クレアはそういうと、その場から立ち去った。

アルバートはロブの手を握ったままだった。ロブはその手を離そうとしたが、アルバートが離さなかった。

怪訝そうにロブはアルバートの顔をみた。

「クレアには逆らえないんだ。僕と一緒だね。フフッ。」

ロブは何も言わずに、自分の手を強くひっぱって、アルバートから離れた。

そして、アルバートはカスターの方をみて、片目をウインクして投げキッスをした。

カスターはその様子をみて、悪寒が走った。

そして、青い顔をしてその場を離れた。

レインとジリアンはそのころに、パジェロブルーに近寄った。

レインは操縦席にある、固定輪を確認した。

ロブがやっていたことを思い返して、自分にできるかどうか、思考していた。

ジリアンはその様子を見て、不安になった。

「レイニー、無理して兄さんのようなことしなくていいと思うよ。」

「何言ってるんだよ、兄さんが言ってただろう。黒衣の民族の攻撃の仕方を。ああやって、座席外に出て、交戦するんだよ。」

「まだ、危ないよ。あんなことできないよ。」

「敵は僕たちに攻撃してこないってことはないんだからさ。」

レインが座席に前のめりになっているところへ、アルバートがやってきて、レインの背中に覆いかぶさった。

「なにやってるんだよ。」

「うわぁ。」

レインが驚いて後ろを振り返るとアルバートはにやけていて、気持ちが悪いとさえ、レインは思った。

「確認しているだけだよ。」

アルバートはレインから離れた。

「先ほど、ちょっと操縦がみだれてたけど、わざとやったの?」

ジリアンがアルバートに言った。

「そうだなぁ。それはクレアに怒られたところなんだ。」

アルバートは首をかしげ悪ふざけしながら、答えた。

ジリアンはアルバートをにらんだが、すぐにその場から立ち去ろうとした。

レインはその様子を見て、ジリアンの後を追うようにしたが、アルバートに手首を取られた。

「レイン、待ってよ。」

「何なんだよ、アルバート。」

「僕と一緒に寝てくれないかな。」

その言葉にレインはギョッとして、露骨に嫌な顔をした。

「僕一人で寝るのは怖いんだ。」

レインはアルバートに取られた手を振り払った。

「嫌だよ。一人で寝てよ。」

レインはジリアンに追いつくように、その場から走り去った。

「なんだぁ。つまんない。レインは優しくしてくれると思ったのに。」

アルバートはつぶやいた。


その後、スカイエンジェルフィッシュ号の試運転をはじめた。

エンジン技師のジョナサンはエンジン室でエンジンの具合を確認していた。

操縦はディゴがしていた。操縦席のトップはロブがいて、通信席にはカスターが副操縦席にはジョナサンがいた。

レーダー計器類にはジリアンが席につき、船外で確認作業を行う甲板にはレインが待機していた。

何度かの飛行を繰り返し、試運転を終了させた。

その後、コーディの指図で、空挺に備品など必需品が運び込まれた。

夕食後、日程確認などミーティングが行われた。

終了後に、コーディがレインのそばに寄り、棒のようなものを手渡した。

「コーディ、何なの、これ?」

「これは護身用でスタンガンよ。ここのスイッチを入れると電気が走るの。」

コーディは棒の先をレインに握らせて、スイッチを入れた。

「うわぁ、痛い。」

レインはすぐに手を離し、手を何度も大きく振り払った。

「こういうものを持っていないとだめなの?」

「そうね。嫌でも持っていて欲しいわ。拳銃を持つよりはましだと思うのだけど。」

レインはスタンガンの棒を見つめて、考えた。

たしかに、拳銃を扱うより、スタンガンの方がよっぽどいいと思った。

「たしかにそうだね。」

ベルト用のホルスターがついていたので、それを取り付けて、棒を出したり戻したりした。

「いよいよなんだね。」

「そうよ。」

「今まで以上に気を引き締めて自分の身は自分で、そしてできるだけジリアンをまもっていけるようになっていかなくちゃいけないんだ。」

コーディはレインを不憫そうに思いながらも、レインの肩を抱いた。

「あなたにしかできないことをするだけよ。なにも気負いしなくていいのよ。私たち大人を信用して身を任せてくれてたらいいから。」

「ありがとう。コーディ。そういってくれると、安心できるよ。」

レインは笑顔でコーディを見て言った。

レインが目を閉じるとミーティングのクレアの言葉がレインの耳元に響いた。

「スカイエンジェルフィッシュ号は明後日に出発の時を迎える。」


BGM:「SCATTERIN’MONKEY」BOOM BOOM SATELLITES

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