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第十二章 旅立ちのとき 2

登場人物


レイン=スタンドフィールド(主人公・愛称レイニー)

ジリアン=スタンドフィールド(主人公の弟<従弟>・愛称ジル)

ロブ=スタンドフィールド(主人公の兄<実父>)

カスター=ペドロ(スタンドフィールド・ドックのクルーでメインは通信士・愛称キャス)

ディゴ (スタンドフィールド・ドックのクルーで板金工)

クレア=ポーター(医者)

コーディ=ヴェッキア(看護士)

ジョナサン(エンジン技師)

アルバート(愛称アル)


セリーヌ=マルキナ(デューク=ジュニア=デミスト理事長の第六秘書)



スカイエンジェルフィッシュ号クルーたちは、ホテルに一泊した後、空挺研究部の棟に併設されている宿泊施設へ移動になった。

ワンフロアがクルーたちの宿泊にあてがわれていた。

秘書のセリーヌが宿泊所の説明を行った。

クレアがあたりを見回して、質問した。

「セリーヌ、こちらが希望していたトレーニングの件だけど。」

「はい、ご用意しております。レクレーションルームがありますので、そちらを使用してください。

器具は取り揃えております。」

「ありがとう。」

クルーたちは、自分たちの部屋に荷物を置き、食堂に向かい、昼食をとった。

昼食後、日程等のミーティングを取った。

日程説明はセリーヌが行った。

「4月1日が出発日となります。これから10日間、訓練や出発の準備期間となります。

スカイエンジェルフィッシュ号は、まだ完成しておりませんが、試運転を含めまして1週間以内の完成させるように作業進行しております。

パジェロブルーにつきましては、明日、研究所に到着予定でございます。点検が終わりましたら、訓練飛行ができることとなります。」

クレアの方からは、エンジン技師のジョナサンや看護士のコーディ、ジリアンを除いたメンバーでトレーニングをすることを言った。

目的は体を鍛えることだけではなく、護身のためだった。


ミーティングのあと、ジョナサン以外のクルーたちはレクレーションルームに集まった。

コーディとジリアンは見学していた。

準備運動を一通りした後、クレアは、まず、個々の力量を確認するために、格闘の対人戦をやらせてみた。

相手が参ったというか、クレアが止めるかがルールだった。

クレアは思いつきで、言った。

「まずはディゴとアルでやってみてほしい。」

「俺が、アルとか。」

「体の大きさはディゴじゃ誰とでも格差があるでしょ。」

アルバートはいつものフードを目深にかぶっていたが、クレアの言うことに応じるようにフードつきの上着を脱いだ。

やる気のアルバートに、その気のないディゴは構えをせず、アルバートに対して、斜めにたったままだった。

アルバートは両手の拳を顔の前に持ってきて構えた。

「レイン、よく見ておくんだよ。」

「あ、はい。」

みんながいてる前で、ふたりは格闘を始めた。

アルバートが攻撃しても、ディゴはかわすばかり、アルバートのパンチがディゴの胸に当たっても、ディゴはびくともしなかった。

アルバートは足蹴りでディゴの顔を攻撃しようとしたが、ディゴは交わした。

「おっと、あぶねえぇ。」

「ちっ」

ディゴは体がデカイだけではなく、鍛えられていて柔軟に動作が可能で、背後に回れても、腰をひねって、アルバートの攻撃をかわすことができた。

「アル!パワーバランスを考えろって言っただろ。」

クレアがセコンドよろしく、声をかけたが、アルバートは聞き入れないで、ディゴに攻撃をしかけていた。

ディゴは、アルバートに攻撃をしはじめた。左手を相手の右手首をとると、右の平手で相手の肩を押さえ込もうとしたが、アルバートはきびすをかえし、攻撃をかわした。

それらが繰り返されていて、アルバートは息を切らし始めた。

ディゴがアルバートの手首を取り、アルバートは交わそうとしたが、力が出なかった。

ディゴはアルバートの手首と腕を押さえ、力いっぱい下に押し下げてアルバートを軽く投げ飛ばした。

「おおおおお。」

驚きの喚声をあがった。

「アル、お前の体が軽いから、投げ飛ばされたんだよ。体重増やしなさいって言ったでしょ。」

アルバートは床にうつぶせになったまま、起き上がらなかった。

コーディが近づいて、手を差し出すと、アルバートは顔を上げてコーディだと確認すると、コーディの手を掴み起き上がった。

「あたしと、カスター。」

「えええええええ、僕とクレアさんですか。できませんよ。」

「やれと、言ったらやるんだ。」

クレアは容赦なく、カスターの首を捕まえて、みんなのまえに出した。

「かまえろ、カスター」

「あ、はい。」

カスターは仕方なく、構えた。

クレアは、足蹴りで攻撃してきた。カスターは両手で防いだが、当たった部分がジーンと骨まで響いた。

(本気を出さないとやられるのか。)

クレアは両手を顔に構えて、防ぎ、足で攻撃していた。

カスターは片手でクレアの足を防御し、片手でクレアの顔を攻撃しようとしたがうまくいかなかった。

手首をとられた際には、ねじり、体をひねって交わそうとしたが、クレアの握力は相当なもので逃れられなかった。

とられた手首をひっぱり、クレアを引き寄せると、空いてる片手をクレアの首にまわし、自分の体重をかけながら、床に落とし込んだ。

「参った。」

クレアがそういうと、罰が悪そうにカスターはクレアから離れ、クレアに片手を差し出し、起き上がらせた。

「次、ロブとレイン。」

クレアがそういうと、ロブはみんなの前にでたが、レインはでたがらなかった。

「レイン、出て来い。」

仕方なく、嫌そうにレインはみんなの前にでた。

ロブが構えると、レインは悲しそうな目つきでロブをみた。

「レイン、来い。来なければこっちからいくぞ。」

そういわれて、レインはロブに殴りかかった。

ロブはレインを交わしながら、下からみぞおちを狙ったが、レインはパンチを出した右手ではない左手でロブの拳を防いだ。

ふたりは絶えず、攻撃と防御を繰り返して、ラリーを続けていた。

クレアはその様子をみて、普段から対戦で訓練していることを悟った。

しかし、体力の持続力の差があって、レインは消耗し始めて、防御しきれず、ロブの攻撃が当たり始めた。

息を切らして逃げてばかりいるレインにロブのパンチが当たろうとしたとき、ディゴがいきなり現れていてロブの手首をとった。

「そこまでにしておけ。」

「クレアさんが止めるか、レインが参ったというまでだ。」

ロブはディゴを睨み返したが、ディゴはクレアの方をみた。

「いいでしょう。そこまでにしておくわ。」

休憩をした後、対戦組み換えで再度はじめた。

「カスターとアル。」

クレアが二人に前に出るように指示をした。

カスターは嫌そうな顔をした。

アルバートはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

BGM:「Broken Youth」Nico Touches the Walls

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