6話上洛前夜2
日間ランキング10位に入りました。
善朗の屋敷には日々多くの人が集まり1ヶ月もしないうちに2000近くにまで増えそれでもまだ増え続けていた。
「源三郎、左衛門佐、順調か」
「はい順調です。4ヶ月もあれば6000以上集まります。」
「そうか、2人とも励んでくれ」「はっ」
三郎助も順調に兵糧と武具を安く大量に集めていた。
「三郎助、お前すごいな!こんなに沢山集めるなんて」
「はっ、恐縮です」
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その頃岐阜の織田に使者として行っていた朝行はやっと信長に謁見が許され今まさに対面しようとしていた。
広間で朝行が待ってるところに人が入ってきたのですかさず頭を下げた。
「表をあげ名を名乗れ。」と言ったのは織田信長その人である。
「はっ、村山家家臣原田朝行にございます」
「お主の仕える村山家はどこの者なのだ」と朝行に質問したのは織田家きっての切れ者丹羽五郎長秀であった。
「近江国 愛知郡の土豪にございます」
「その近江の小さな土豪が何用で織田に来たのかお聞かせ願おう。」
とややトゲのある長秀の言葉に耐え朝行は平然を装って答えた。
「もし織田様が上洛する際は我らは織田様にお味方するとの書状を届けに参りました。」そう言って朝行は善朗の書状を信長に渡した。
「小さな土豪が味方してもなんの役にも立たぬ。」と言ってきたのは織田家の猛将、鬼柴田こと柴田権六朗勝家であった。
朝行は侮辱とも言える勝家の言葉に怒りを覚えたがそれを我慢しながら、
織田に対して..「我らのところには2000兵が集まり、これからもどんどん集まる見込みです。」
それを聞いた長秀は「戯言を申すな、近江の小さな土豪が何故そんな兵を持っているだ。」と朝行を叱責したが、朝行は「戯言ではありません。兵は銭で雇っているのです。」
「はははっ、面白いここにおる頭の固い者とは違って兵を銭で雇うとは。」と言ったのは言わずも知れた信長であった。
信長の言葉で先ほどまで村山を小馬鹿にしていた丹羽と柴田が黙り込んだ。
「朝行、お主の主に上洛際に我が陣に参陣する様に伝えるのだ」
「はっ、必ずや伝えまする」
そうして謁見が終わり朝行は善朗のもとへ帰った。
朝行が帰った後の岐阜では..
「お館様、あのような者を信用してよろしのですか。本当に戯言かもしれませぬぞ。」
「長秀そうかっかするな。一益が国境に兵が集まっていると報告したそれは村山のことであろう。儂はこの報告を聞いて最初は上洛を延期しようとしたが、あの男の話を聞いて決めた、延期せず予定通り長月(9月)に上洛する、良いな。」
「はっ」と長秀は不満があったが納得した。
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その頃六角家臣の平井定武の屋敷に義治に謀殺された賢豊の息子の後藤高治、六角の重臣進藤賢盛、屋敷の主の定武の3人を初めとした六角の一部の家臣が集まっていた。
そして最初に賢盛が喋り始めた
「皆で集まった理由は愛知郡で不穏な動きがあるからだ」
この言葉で一同はざわついた。
「まさか愛知の小倉が..」
「いや、小倉ではない」
と集まった人が愛知郡の有力者小倉実房を疑ったが賢盛は否定した。
「それならば誰が」
「美濃との国境にいる村山善朗という者だ」
「村山、、聞いたことがありませぬが」と賢盛に疑問が投げかけられた。
「あまり覚えていないのだが、1度だけ見たことがある。その時はかなり若かったのは覚えている。」
「して、その者は何をしているのですか」
「兵を集めているみたいだ。しかも3000をゆうに越す数の百姓や牢人が近江やそれ以外の国からも集まっているらしい」
その場にいた者は皆大いに動揺した。
「なぜ、そこまでの兵が集まっているのですか。まさか義治が我らを討ち権力を取り戻そうとしているのでは」
「村山は、織田が攻めて来るとの噂があり念の為に兵を集めていると言っておる。」
「その言葉どこまで信用できたかわかったものではありません。」
その後も話し合いを行ったが、どうするか決まらなかった。
そのおかげで善郎は誰にも邪魔されることなく軍備を整えることができたのである。




