10話京の三人
月間歴史ランキング10位になりました。
本圀寺の変の翌日に信長が雪の中で予定より一日早く到着した。
信長が連れて来た兵は10騎ほどの騎兵でその他の兵を置いてきぼりにしてきたのだ。
それほどまでに信長は焦って来たのだか、明智光秀や善郎、摂津の荒木に池田、大和の孫六郎と松永兄弟の活躍によって三好三人衆を撃破した後だったのである。
「皆、大義である。特に池田勝正、明智光秀、村山善郎、その方らの活躍は群を抜いていると聞いた。ようやった。
これからも励んでくれ。」
そう信長は、今回の戦いに参加したものに激励をとばした。
そして今回の一件で本来の幕府御所である二条御所の造営を早めることになった。
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本圀寺の変から10日たち状況が落ち着いたころ、善郎は京にある織田家臣たちが寝泊まりする屋敷で、明智光秀、細川藤孝、三好義継、池田勝正と言った今回の防衛戦で共に肩を並べて戦った者たちと共に戦勝祝いをする為に集まった。
「皆さんは私以外幕臣ですが、そういった立場の違いを今宵は忘れて飲みながら勝利を祝い未来を語り合いましょう。」
善郎の言葉を始まりに宴会を始めた。
光秀と藤孝は、2人でできるだけ多くの酒を飲めるか競い始めそれを見て他の面々は笑ったり煽ったりして楽しんだ。
だが皆が予想してたより2人は酒に弱くすぐに果てたのを見てまた皆笑った。
果てて眠ってしまった光秀と藤孝を尻目に善郎たちは酒を片手に織田と幕府の将来に着いて語り合いを始めた。
「織田様は公方様を嫌っているのか守りたいのか分からんお方だ。村山殿、織田家臣から見てそこのところはどうなんですか。」
この義継の質問に「わからない、上様には3回しか会ったことがないからな」と答えた。
「村山殿でも分からんのか。しかし公方様は織田様が作った殿中御掟のことでかなり怒っている。この事で織田と幕府の関係が悪くなってしまう。」
義継が言った殿中御掟とは信長が足利義昭に対して21か条の掟を承認させ将軍の権力を制限したものである。
この21か条の掟を簡単に説明すると義昭は信長の言いつけを守らず朝廷に行かなかったり、功績がある者に褒美をあげなかった、勝手に兵糧を売り捌いたなどに対して注意をしたものである。
これにより信長と義昭の関係は悪化の一途をたどっていた。
「もしこれで織田と幕府が戦になれば池田殿や三好殿と決別することになってしまいます。私はそうはなりたくありません。」
「儂らだってそうだ村山殿と戦いたくはない。儂は幕臣で三好殿は公方様の妹君を娶っている。」
「わたしも池田殿と同じで村山殿と戦いたくはないが公方様の妹が我が妻です。しかしもし幕府と織田が戦っても幕府が勝てるかわからないのもまた事実。どうすればいいのか…」
「もしそうなったら2人は織田に着いてはくれませんか。絶対に公方様の耳に入らないようにします。だからお願いします。」
少しの沈黙のあと2人は…
「相わかった、もしそうなったら織田に付く。」
池田勝正の言葉を聞いて決心が着いたのか義継も
「わたしも織田に付きます」
「池田殿、三好殿、ありがとうございます。」
「貴方には負けました村山殿。ですがこの織田と幕府の話は他言無用ですぞ。我ら3人はこれより三位一体です。共にこの戦乱の世を生き延びましょうぞ。」
宴会はさめてしまったがこの時より善郎たちは京で誓いを立てたことから京の三人衆と呼ばれるようになりこれからの天下の行く末に大きく関わることになることはまだ彼らは知らない。
それと余談だが、3人に忘れて去られていた光秀と藤孝は目を覚ました後、いつの間にか終わっていた宴会を見て次は酒を飲みすぎないようにしょうと2人は誓った。
池田勝正と三好義継が個人的に好きなためなんとか生かしたいという思いに駆られ今回の無理やりな展開になってしまいました。




