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ダブルブッキング。

アルファポリスにて掲載してます。なろうは備忘録的に使っており更新を忘れることがあります。

アルファポリスの方もお気に入りしていただけるとモチベーションが上がります。

「はぁ? アルティスさん、あなた戦士なんですか? プッ」


 ギルド受付の女が俺の職業をみて笑う。


「「「ギャハハハハハ」」」


 それを聞いていた冒険者ギルドにたむろしている連中もつられて笑う。


 今の時代職業は選らばいないで無職でいることがステータスなのだ。

 無職は色々な技を覚えることができるので職業を選ぶ不利益を被らない。

 魔王もいなくなり魔物が弱体化して、限界まで強くなくなる必要がなくなった。そのせいで、なんでも一通りこなせる無職が好まれるようになったのだ。


そして職業を設定できる神官は絶滅した。俺以外はな。


「もしかして夜営するとき、わざわざ薪とか燃やしてるんですか?」


「ええ、そうですよ。なかなか楽しいですよ」


「「ギャハハハ」」


 俺の言うことにみなバカ笑いである。どの町のギルドに行っても職業があると言うだけでバカにされる。いい加減なれたが不快は不快だ。


「それで、なんでしたっけ?」


「この依頼を受けたいのですが」


 そう言うと俺は1枚の依頼書を出した。


「え? これAクラスの難易度ですよ。あなた死ぬ気ですか?」


「いいえ、自分ならできると思って」


「プッ、その自信どこから来るんですか。分かりました特別に認めます。その代わり死んでも責任持てませんよ?」


「ええ構いません」


「ああ、あいつ死んだわ」

「受付のビリッチもひでぇことするな」


 ギルドメンバーもさすがにA級クラスを受けさせるなんてと笑うのを止めドン引きしている。

 俺には依頼を許可してくれたのが嬉しかったので、そんな声は無視して討伐に向かった。


 討伐依頼は陸ドラゴンを倒して欲しいと言う依頼だ。


 陸ドラゴンはドラゴンと同種で、空が飛べないドラゴンだが、その力はドラゴンそのものである。ただし空からの攻撃がないのでランクはA級になる。


 ”キン、キン、バキッ”


 遠くの方で戦いの音がする。俺はそちらに向かうと赤い髪の女冒険者が陸ドラゴンと戦っていた。

 あの受付の女ダブルブッキングしやがった。


 依頼の獲物は初手を最初に与えたグループのものだ。つまり俺が今から入っていって倒しても、俺には銅貨1枚も手に入らない。

 無駄足だ、帰るか。


 だがよく見ると、木のところに二人の冒険者が倒れている。


 俺と同じようにソロのハンターかと思ったら、チームが壊滅しかかっていたようだ。

 女冒険者の剣が弾かれる、ドラゴンの口が開き女冒険者を襲う。


「しかたねぇな」


 俺は食われかけている女冒険者の前に一瞬で移動して剣を振るう。


『エクスブレイド』


 俺の振った剣から斬撃が伸び、陸ドラゴンの首を胴体から切り落とした。


「なっ!」


 女は驚きの声をあげる。正直色々聞かれると面倒なのでさっさと帰ろうとしたが木に寝かせている二人が思いの外重症のようで、息も絶え絶えである。


「やめてその子達には手を出さないで」


 なんでこの女は助けた俺に剣を向けてるんだ?


「勘違いするな治療するだけだ」


「治療? その傷の深さは通常の治療魔法(トリートメント)じゃ治らないわ」


 まあ、無職の魔法じゃそうだろうな。俺はその二人に近づき上級回復魔法(ハイ・ヒール)をかけた。傷はみるみるうちに治っていく。俺はこれでお別れとばかりにさっさとその場を後にした。


「え、治った、ちょ! まって」


 女が止める声を無視して俺はさっさとその場を後にした。


 ちくしょうタダ働きだ。


 帰ったらあのくそ受付嬢にバカにされるんだろうなと思うと帰る足が重くなった。


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