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「やろうよ虎徹君。やらなくても死んじゃうよ。だったら一人でも生き残ろうよ・・・」
そう言うとアリサはゆらりと立ち上がってカプセルのほうに歩いていく。
彼女は冷静だ。俺よりも冷静に状況を検討し、行動しているのだ。
確かに逃げようなんてない。異能力も手枷で封じられているし、後ろにはさっき俺達を運んだ2人と、扉を開ければ未だ見ぬ敵がいるだろう。体力的に突破することは不可能だ。選択肢など最初から無かったのだ。
「ふざけるなよ・・・くそが!なに笑っていやがる!なにが楽しい?!殺してやる、殺してやる、殺してやるぞ!!!」
「黙らせてカプセルに入れろ」
白衣の男が冷たい声で命じると後ろにいた1人に口を手で封じられ、鳩尾を殴られた。ドゴッと鈍い音が体の中で響いて咳き込むが、口を押えられているせいで息も碌に吐けなかった。
体を引きずられながらカプセルへと運ばれる。
「お前らは絶対に殺す。殺す。殺す。殺す・・・」
もう気力なんて残っていない。それでも立ち向かわずにはいられなかった。こんな理不尽に奪われ、最後は俺達の命で弄んで・・・!
「この世で生き残れるのは強者だけ。弱いものは搾取されるそういう世の中なのだよ。」
すれ違い様、白衣の男はそう言った。
もし、俺が生き残ったなら必ずこの男を殺さなければならない。こんな奴、生きていて良いはずがない!
俺の怒りは今こいつを殺すことは出来ない。なんてもどかしい、もっと力さえあれば・・・
俺はカプセルに収納された。
そして僅か数秒の後、手枷が外れ強制的に異能力が発動する。俺の発動と同時にアリサも強制発動したらしい。強制発動は肉体、精神共にダメージを受ける為、悲鳴をあげないなんて不可能だ!
痛い、苦しい、痛い、苦しいの連続・・・!
「死んでたまるかよぉおおおおおお!!!」