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79話 決戦・3

「まってください!」


 耐えきれず、叫んだ。


 幸三さんは、うっとうしそうに私を見る。


「なにかな?」

「ほのかちゃんのお見合い、やめてもらえませんか?」

「繰り返し言うが、これが我が家の問題だ。口を挟まないでもらえるかな?」

「目の前で間違っていることが行われようとしているのに、見過ごすことはできません」


 幸三さんの言葉を一刀両断して、返す言葉をぶつけた。


「もう、いいから……」


 ほのかちゃんがあきらめたように言う。


 そんな声を出さないで。

 そんな顔を見せないで。


 絶対に、私がなんとかしてみせるから。


「もういいなんてこと、ないよ」

「でも……」

「ほのかちゃん、納得してないでしょ? 仕方なく、そう言ってるだけでしょ?」

「……」

「私を信じて」

「……うん」

「うちの娘を惑わすのはやめてもらおうか」


 惑わす、ときたか。

 この人は、いったいなにを見ているんだろう?

 今のやりとりを見て、どうしてそんな風に思うんだろう?


 ふつふつと怒りがこみあげてくる。

 わからずやの大人に対して、強い怒りを覚える。


「くだらないことをほのかちゃんに吹き込んでいるのはあなたですよ。間違っています」

「ほう」


 ぎろりと睨まれる。


「間違っているだと?」

「はい。間違っています」

「くだらないことを。子供になにがわかる」

「少なくとも、あなたよりは」

「言い切るか」

「本当のことですから」


 睨まれるけど、目は逸らさない。


 負けてたまるか!


 こんなお見合い、絶対に間違っている。

 断言できる。

 何度だって言ってみせる。


 だって、ほのかちゃんが泣いているんだから。


「ほのかちゃんのためって言いますけど、そんな風に見えません」

「子供だから、まだわからないのだ」

「子供だからこそ、わかることもあるのでは?」

「例えば、どんなものだ?」

「ほのかちゃんの気持ちです」


 ほのかちゃんの想いを代弁するように、そっと言う。


「ほのかちゃんは、お見合いをしたくないんです。当たり前でしょう? まだ子供なんです。好きな人くらい自分で決めたい。そう思うことはいけないことですか?」

「口だけはよく回るな。そんな感情論で私の気が変わるとでも?」

「変えてみせます」

「どうして、そこまでする? フリなのだろう? 娘のために、そこまでする必要はないはずだ」

「ほのかちゃんは、確かに恋人じゃないですけど……でも、大事な友達です。友達のためにがんばることは、おかしくないでしょう」

「ふん、くだらん」


 幸三さんは一蹴する。

 とりつく間を与えてくれない。


「娘との間に友情があるとは思えんな。ウチの金が目当てなのだろう?」

「なっ」

「いくら欲しい? いくらで引き下がる?」

「お父さん……撤回してっ!」


 ほのかちゃんが声をあげる。

 震えているけれど、でも、私のために怒ってくれている。

 こんな時だけど、そのことがうれしい。


「風祭は、あたしのために色々してくれたの! あたしのわがままに付き合ってくれたの! ……友達、なの!!!」

「ほのかちゃん……」

「あたしの友達に、そんなこと言わないで!」

「友達を作るなとは言わないが、相手を選べ」

「お父さんっ! なんでそんなことを言うの? なんで、ひどいことばかり言うの?」


 ほのかちゃんは涙を流しながら、全部の想いをぶつける。


「お父さんは、いつも厳しくて、あれこれ言ってきて、大変だったけど……でも、そういうのは全部、あたしたちのことを思ってやっていることだって、そう思ってた。あたしたちのためにしてることだから、我慢して……」

「そうだ、お前たちのためだ。お前たちのためならば、私はなんでもしよう。だから、わがままを言うな。私の言うことを聞け」

「でも……」

「お前の意見は聞いていない」


 ぴしゃりと言われて、ほのかちゃんの体が震える。

 涙が流れる。


 すがりつくように、かぼそい声をあげる。


「いつもいつも、そんな風に……お父さんの振り回されてきて、乱暴に扱われて……あたしは、なんなの? お父さんのなんなの?」

「お前は、私の大事な娘だ」

「……」

「が、橘家を支える者でもある」

「っ」

「それを自覚しろ」

「そんなの……そんなのっ、結局家のためじゃない! あたしを見てくれていないじゃない!!!」


 ほのかちゃんの心からの慟哭が響いた。


 しかし、それさえも幸三さんには届かない。


「言いたいことはそれだけか?」

「っ」

「なら、私の言うことを聞け。それが、お前の幸せになる」



 バシィッ!!!



 我慢の限界に達して……

 私は、幸三さんの頬をおもいきりひっぱたいた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

こんなところで終わらせていいのかなー、

と思いつつ、終わらせてしまいました。

次はどうなるか? お付き合いいただけるとうれしいです。

次回の更新は、7日になります。

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