67話 アクシデントは唐突に
いつも読んでいただき、ありがとうございます
翌日の放課後も練習、練習、練習……練習あるのみ!
というわけで、私とほのかちゃんは中庭に移動した。
「今日は風祭だけなのね……」
「イヤそうな顔をしないでよ」
他のみんなは色々と用事があって、今日は別行動だ。私とほのかちゃんの二人だけ。
……なんとなく、トラブルの予感がする。
まあ、みんなが……特に桜……いたらいたらで別のトラブルが起きそうな気がするから、気にしても仕方ないか。
あまり深く考えないことが、うまく生きるコツ……なんてね。
「じゃあ、がんばろうね。今日は、えっと……うん。まずは100メートルを、転ばないで走りきることを目標にしようね」
「低い目標ね……まあ、今のあたしたちじゃあ、それくらいか」
「ちゃんと走れるようにならないとね。一位を取るっていうわけじゃなくて、息をぴったりと揃えることが目的だから、転ばないで完走できるようになろうね」
「ええっ、いくわよ!」
昨日、あれだけ失敗したけど、日をまたいだからか、気合は十分。
これなら!
「よーい……」
「スタート!」
べたんっ!
「……」
「……」
「最初は左足から、だよね?」
「右足でしょ?」
「左足だからね……」
「……正直、ごめんなさい」
出だしからいきなりつまづいてしまう。志気はダダ下がりだ。
でも、昨日があんなだから、最初からうまくいくなんて思っていないし……
これも想定内! まだまだがんばれるよ。
「よし。次、いくよ」
「ずいぶん、やる気があるのね」
「ほのかちゃんのためだから」
「……そ、そう」
「がんばろうね」
「わかってるわよ」
立ち上がり、もう一度、肩を組んだ。
二人で声を合わせて、
「「よーい……スタート!」」
べたんっ!!!
「……」
「……」
「ちょっと、風祭……あんた、右足からいったわね?」
「ごめんなさい……ちょっと、混乱しちゃいました」
「もうっ」
ぱんぱんと砂を払い、立ち上がる。
私たち、なんで息が合わないのかな? ライバルだから? でもでも、一緒に過ごすうちに、それなりに仲良くなれたと思うんだけど……うーん。
私がいけないのかほのかちゃんがいけないのか、それとも、二人ともいけないのか。色々と悩んじゃいそう。
頭をぐるぐるさせる私とは対称的に、ほのかちゃんはキリッと顔を引き締める。
「次、いくわよ」
「……うん、そうだね」
悩んでいるヒマがあるなら、体を動かした方がいいよね。
ほのかちゃんのガッツのあるところに、なんだか救われた気分。
とにもかくも、がんばるとしますか!
――――――――――
「「いちっ、にっ! いちっ、にっ!」」
声を揃えて、ほのかちゃんと一緒に走る。
何度も転んで、何度もやり直して……
繰り返し練習を重ねたおかげで、なんとか形になってきた。目標の100メートルはまだ達成していないけど、すぐに転ぶことはなくなって、大体、平均で30メートルは走れるようになっていた。
この調子なら、最終的にはうまくいくかもしれない。そんな希望が見えてきた。
「あっ、ちょっと待って」
「なによ?」
いいところで練習を止められて、ほのかちゃんが不満そうな声をあげる。
「そろそろ休憩しない?」
校舎の壁に設置されている時計を見ると、練習を始めて1時間が経っていた。
ほのかちゃんも私も、それなりに汗をかいていた。まだ夏じゃないとはいえ、気温はそこそこ高い。この辺りで休憩を入れて、冷たい飲み物で水分補給をしておいた方がいいと思うんだよね。
「休憩なんて必要ないわ」
ほのかちゃんは反対らしく、難色を示した。
「いい調子なんだから、このまま続けて、勘をしっかりと掴んでおかないと。下手に休憩したら、また最初に戻っちゃうかもしれないし」
「それはそうかもしれないけど……」
「ほら、早く再開するわよ」
「……うん。でも、無理はいけないからね? 辛いと思ったら、すぐに言ってね?」
「平気よ。これくらいで根を上げるほどヤワじゃないし」
確かに、ほのかちゃんは私よりも体力はありそうだけど、でも、その分、ちょっとドジなところがあるというか、抜けているというか……うーん、心配。
でも、あまり口うるさく言っても仕方ないよね。熱中症とかにならないように、できる限り注意しておこう。
「うん。そういうことなら、もう少し続けようか」
「今日中に100メートル、達成するわよっ!」
「気合入っているね」
ほのかちゃん、熱血系なのかな?
私が相手っていうことも、だんだん気にしなくなってきているし、これなら、本当に100メートル達成できるかもしれない。
「じゃあ、いくよ」
「ええっ」
「「いちっ、にっ! いちっ、にっ!」」
声を揃えて走り始める。
今のところ、息はぴったり。どんどんスピードも上がり、いい感じだ。
10メートルをあっという間に過ぎて、自己記録の30メートルも超える。
これなら……!
確かな手応えを感じて、私たちはさらにスピードを……
「あっ!?」
ほのかちゃんの足がもつれて、バランスを崩してしまう。
勢いに乗っていたせいで、ほのかちゃんは、身を乗り出すように顔から地面に……
「ほのかちゃんっ!」
私は慌てて、ほのかちゃんを抱きしめた。
そうすることが精一杯で、他にどうすることもできず、まともに倒れる。
ザァッ!!!
体に走る衝撃に顔をしかめる。でも、ほのかちゃんは離さない。しっかりと掴んで、受け止めて……怪我がないように、この身でかばう。
「いたたた……」
「つぅ……だ、大丈夫、ほのかちゃん?」
「ええ、なんとか……って、あんた、その足……」
見ると、転んだ拍子に膝を擦りむいていた。かなり派手にやっちゃったらしく、血がダラダラとあふれている。うわ、ちょっとしたホラーだよ。
「ごめんね、怪我しちゃって。そこの水道で洗ってくるから、ちょっと待っててくれる?」
「バカッ、洗う程度で済ませるんじゃないの! ちゃんと手当しないと……ほらっ、保健室に行くわよ!」
「あっ、ほのかちゃんっ?」
ぐいぐいと手を引っ張られて、私たちは保健室に向かった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
ギャグメインの作品ですが、たまには真面目? な展開も。
ほのかはどう変わるのか。
見守っていただければと。
次の更新は13日になります。




