63話 特訓は計画的に・2
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
「じゃあ、次は私ね」
そんなわけで、私の順番が回ってきた。
ゴソゴソと、鞄から携帯ゲーム機を取り出した。機種は内緒♪
「ほのかちゃん。これで、一緒にゲームをしよう?」
「ゲーム? そんなことしてどうするわけ?」
「協力プレイをして、連帯感を養おう。このゲーム、協力プレイはわりとシビアで、息がぴったりじゃないとクリアーできないくらいの難易度なんだ。だから、うまくできるようになれば、私たちの仲も良くなるんじゃないかな、って」
「ふーん……まあ、ゲームは楽しそうだからやってあげる」
「うん、がんばろうね」
もう一台をほのかちゃんに渡した。
ちなみに、桜のものだ。さすがに、一人で二台も所有するほどのガチゲーマーじゃないし、アカウントも二つも作成していない。
「それは桜のものだから、丁寧に扱うことだ。壊したりしたら、その時は、橘妹の人生も壊れると思うがいい」
「ひぃっ!?」
桜がガチで脅しにかかっていた。その迫力に、ほのかちゃんが涙目になっている。
やめておきなさい、と諌めてから、ゲームをスタートする。
「これ、どういうゲームなの?」
「色々な武器を使って、モンスターを退治したり捕獲したりするんだよ。で、素材を集めて強い武器を作って、さらに強いモンスターを退治して……そんな感じのゲーム。モンスターハント……略して、モントね」
「へぇ、面白そうね」
ほのかちゃんが目をキラキラと輝かせている。
こういうやり甲斐のあるアクションゲームなら、ほのかちゃんの好みに合うだろうなあ、って思って選んだんだけど、どうやら正解みたいだ。
「ほのかちゃんは、桜が使っているキャラを選んで。キャラを選んだら、通信プレイ、っていうのを選択して。それで一緒に遊ぶことができるから」
「これね……選んだわよ」
「えっと……うん、きたきた。じゃあ、一緒にモンスター退治に行こうか」
こうして、私たちは協力プレイを始めた。
最初は和気あいあいと、楽しく遊ぶことができたんだけど……そのうちに、ほのかちゃんがガチになってきて……
――――――――――
「あああぁーーーっ!!!? なによコイツ、今の攻撃反則でしょ!」
「ちょっと風祭! そっちじゃないでしょっ、こっちよこっち! もっと速く動いて、ノロマ!!!」
「ウソっ!? 今の絶対に当たったわよ、なんでミス判定になっているの!? おかしいんじゃない、このゲーム!」
「だあああああっ!!! そこっ、そこに爆弾置いて! 速く! 急いで! ハーリーハーリー! あああああっ、ダメ、間に合わない!!!」
「○○○○!!! これ、絶対におかしいだけど! このゲームの製作者、絶対に○○○○よ! もしくは○○ねっ」
……ほのかちゃんの暴走がとんでもないことになってきたから、急遽、中止になった。
ゲームは、ほどほどに楽しくやろうね♪
――――――――――
「さて。真打登場だな」
いよいよ桜の番だ。
準備は万全らしく、仁王立ちしている。
私の準備も万全だ。
桜が変なことを言い出したら、この縄でぐるぐるにして校舎裏に捨ててこよう。
「よし」
桜は一つ頷いて、教室に設置されているロッカーを開けた。
普通はほうきやちりとりなどの掃除用具が入っているんだけど、ここは空き教室なので、ロッカーの中は空だ。
「桜、橘妹。ちょっとこっちに来てくれ」
「このロッカーがどうかしたの?」
「なによ、何も入っていないじゃない」
「せいやっ」
「「ひゃあっ!?」」
どんっ、と背中を押されて、私たちはロッカーの中に押し込められてしまう。
なにをするのと問いかけるより先に、桜はロッカーの扉をばたんと締めてしまう。そして、丁寧にガチャリと鍵をかけた。
「ちょっと……桜!? これ、どういうことなのっ」
「こらっ、開けなさいよ! あたしたちを閉じ込めてどうするつもり!? まさか、このまま出荷するつもりじゃあ……」
出荷って、どこに出荷されるの!?
ほのかちゃんの発想が斜め上で怖い!
「落ち着け。これが桜の案だ」
「これが……?」
「狭いところで二人きり……ドキドキの密着状態。実に良いシチュエーションだと思わないか?」
「思いません!」
「というわけで、しばらく、二人きりの時間を楽しむといい」
「あっ、こら! 桜っ、早く開けなさいっ」
外に向かって叫ぶものの、返事はない。完全にスルーされている。
「ごめんね、ほのかちゃん。桜がとんでもない……こと、を……」
「ホントよ。なんで、こんな……こと、を……」
ほのかちゃんの顔が目の前にあって……うっすらと、温かい吐息を感じて……
ついつい、言葉に詰まってしまう。
「……」
「……」
「な、なにか言いなさいよ。黙ってたら、その……変な気分になるし」
「なにか、って言われても……えっと、その……」
「あっ、ちょ……う、動かないで。体、当たって……んっ」
「ご、ごめんねっ」
慌てて離れようとするけれど、狭いロッカーに二人きり……動くことなんてできなくて、もじもじするだけになってしまう。
そのせいで、また、ほのかちゃんの体に触れてしまって……
「あぅっ」
「……本当に、ごめんね」
「い、いいわよ……全部、あのメイドが悪いんだし……でも、侍女の責任は主の責任ってことでもあるのかしら?」
「ご、ごめんなさい……」
「う、動かないでよ……いいわね? これ以上動いたら、許さないからねっ?」
ロッカーの中はすごく暗いんだけど……でも、ほのかちゃんが赤くなっているのがわかる。
さっき、見つめ合ったり手を繋いだ時よりも赤くなっていて……
それと、息も荒い。
心なしか、目も潤んでいるような気がする。
「……ねえ」
「……なに?」
「……あんた、やっぱり男なのね」
「こ、こんな時に、そんなことを言う……? っていうか、なんで……?」
「だって、こうしていると……すごくドキドキするんだもん」
「そ、そうなんだ……私も、ドキドキするかも」
「ばか……恥ずかしいこと言わないでよ」
「ごめんね」
「ふんっ」
――――――――――
30分ほどで解放されて……
私とほのかちゃんは、赤くなった顔をごまかすように、桜を問い詰めて説教するのだった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
いつも特訓回が入っているような……?
ついつい入れてしまいます。
これからもよろしくお願いします。
次の更新は5日になります。




