54話 こんな日常も悪くないから困る
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
翌日……
いつものように授業が終わり、放課後を告げるチャイムが鳴る。
今日も学校は終了!
鞄に教科書とノートを入れて、帰る準備した。
さっそく、私は教室を後に……
「風祭くん!」
「あーちゃん!」
……教室を後にする前に、橘さんと愛ちゃんに捕まってしまう。
「ど、どうしたの?」
「一緒に帰りませんか? 二人きりで」
「一緒に帰ろう? 二人きりで」
「「むっ!?」」
バチバチと、二人の間で火花が散る。
最近は愛ちゃんの特訓で忙しかったから、こういう展開は久しぶりだ。
うーん、和むなあ。
……なんて、そんなわけないでしょう!
ぜんぜん和まないよ! むしろ、一触即発の雰囲気に、ハラハラドキドキするよ!
私は平穏が好きなの! のんびりした時間を返して!
なんて、セルフツッコミをしている間も、二人は睨み合う。
「風祭くんは私と一緒に帰るんですよ」
「そんなの聞いてないし、聞いてあげる理由もないし」
「駿河さんは、ここしばらくの間、風祭くんを独占していたでしょう? なら、その分、私に譲るというのが公平というものではありませんか?」
「なら、公平じゃなくていいよ」
「それは風祭くん独占禁止法に違反しますよ!」
「あーちゃん所有許可証があるから問題ないの!」
一応、ツッコミを入れておくけど、そんな法律はこの地球上のどこにもないからね?
どこの世界の話をしているのかな? 異世界かな? 異世界転生しちゃったのかな?
「風祭くんは、私と一緒にいたいですよね!?」
がしっ、と橘さんは私の右手を掴んだ。
「あーちゃんは、私と一緒にいたいよね!?」
がしっ、と愛ちゃんは私の左手を掴んだ。
あっ、このパターン、見覚えがあるぞ?
よくある、『アレ』だよね。
「「離してぇえええええーーーっ!!!」」
ギリギリと左右に引っ張られる。
「やっぱりこうなった!?」
「楽しそうだな、葵」
「桜の目は腐っているの!? いたっ、いたたた!?」
「桜は楽しいぞ。葵が困っているところを見ると、ニヤニヤしてしまう」
「最悪だ、この侍女!?」
「風祭くんっ、篠宮さんではなくて、私を見てください!」
「あーちゃんっ、篠宮さんじゃなくて、私を見て!」
ギリギリギリ! と、どんどん力が強くなる。
この二人、どこにこんな力が……?
「愛の力だな」
「うるさいよ!?」
「桜、今、うまいこと言っただろう?」
「ドヤ顔が頭に来る!」
「どやぁっ」
「自分で口にした!?」
「こらーっ、風祭葵! お姉ちゃんになにしてんのよっ!?」
もう騒ぎは十分だっていうのに、ほのかちゃんまで現れた。
「お姉ちゃんに、そんな風に抱きつかれるなんて、うらやましいっ!」
「もう欲望を隠さなくなってきたよね」
「お姉ちゃんから離れなさいっ!」
「いたたたっ!?」
ほのかちゃんが加わり、三方向に引っ張られる。
「……あー、もうっ」
昨日は、色々なことがあったのに……
みんな、何事もないように過ごしていた。
うれしいような、ダメなような。
(まあ、いいか)
以前のように、みんなで笑うことができる。
それは、本当に大事なことだと思うから。
だから、私は、こう願うんだ。
(この楽しくも騒がしい日常が、いつまでもいつまでも続きますように……)
「風祭くんっ!」
「あーちゃんっ!」
……訂正。
(もうちょっとだけでいいから、穏やかな日常にしてください。ホント、心の底からお願いします)
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
今回で、第二部完というか、そんな感じになります。
今回のメインヒロインは、新キャラでした。
次は、とあるキャラのスポットを当てていきたいと思います。
これからもよろしくお願いします。




