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47,5話 笑顔を取り戻したい

 葵の特訓が終わり……

 くたくたになった私は、家に帰って、すぐにお風呂に入った。


「ふぁあああ……癒されるぅ……」


 熱いお湯がすごく気持ちいい。

 ぽかぽかと体の芯から温まり、頭がぼーっとする。

 この感覚が良いんだよね……病みつきになっちゃいそう。


「……愛ちゃん……」


 考えるのは、愛ちゃんのこと。


 今日の特訓で、愛ちゃんは、私に対する想いを告白した。

 ずっとずっと好きだった……って。


 でも、今の愛ちゃんは、男性恐怖症から私に触れることはできない。


「もしも、私が愛ちゃんと同じ立場だったら……?」


 好きな人ができたとして……でも、その人に触れることができない。

 隣に並ぶことさえできない。


 想像するだけで、胸が締めつけられるような思いがした。


「このままじゃあ、愛ちゃんは……」


 初めて出会った時のように、笑顔を失ってしまうかもしれない。

 泣いてしまうかもしれない。


 そんなのイヤだ。

 絶対にイヤだ。


「私が、愛ちゃんの笑顔を取り戻してあげないと!」




――――――――――




 お風呂から上がり、自室に戻る。

 ドライヤーで髪をかわかしながら、考える。


「明日は、私の番なんだよね」


 愛ちゃんの特訓……どうしよう?

 実は、まだ、なにも思いついていない。


 愛ちゃんのために、なにができるのか?

 大事な幼馴染のために、なにをしてあげられるのか?


 考えれば考えるほど良い案が思い浮かばなくて……なんだか、ドツボにはまっているような気分。

 どうしたらいいのかな……?


「葵、入るぞ」

「ノック、忘れているよ」

「おっと、すまない。これでいいか?」

「部屋に入った後にノックをしても、意味ないからね?」

「もしかして、お楽しみの最中だったか? 昼間のことを思い返して、エキサイティングしていたか?」

「あのね……桜は、私をからかいに来たの?」

「いや。バカにしに来ただけだ」

「もっとひどいことだった!?」

「冗談だ」

「笑えないから、もう」

「髪は乾いたか? なら、桜が梳かしてやろう」


 桜が後ろに立ち、私の髪を梳かしてくれる。

 普段はこんな言動だけど、こういうことはすごく慣れていて、優しい手つきだ。

 ちょっと気持ちいい。


「悩み事か?」


 ……私が悩んでいると、こうやって、すぐに当ててくるんだよね。

 こういうところもすごいから、ちょっと困る。

 でも……頼りにしちゃうんだよね。


「愛ちゃんのこと、どうしたらいいのかな……って」

「特訓の内容が思い浮かばないのか?」

「うん……これだ、っていうのが出てこなくて」

「葵なら簡単だろう?」

「そんなことないよ。色々と悩んじゃうよ」

「駿河の一番の理解者である葵が、そんなことでどうする?」

「あ……」

「葵ならできる。桜が太鼓判を押してやる。だから……駿河の悩みを解決してやれ」

「……うん、がんばるよ」


 まだ、案は思い浮かばない。

 だけど、胸のもやもやは消えた。

 桜の言うように、私ががんばらないと……ね。


「ありがとう、桜」

「給料のためだ」

「そういうことばかり言うんだから」


 ホント、素直じゃない子。


 私は苦笑して……

 それから、心の中で、ありがとう……と、もう一度つぶやいた。

気に入って頂けたら、評価やブクマで応援をいただけると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。

※おかげさまで、日刊、ジャンル別ランキングで46位になりました! ありがとうございます。これからも、よろしくお願いします!

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