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デート  作者: マキ将軍
7/11

告白

いつもより少し長めになっています。

俺と悟は、家の近所の小さな公園で話をすることにした。大分暗くなった空の下、公園に人影はない。昼間の明るい雰囲気とは対照的に、夜の公園はどこか寂しげだ。

隅の方にあるベンチに腰掛けると、悟も同じように隣に座る。

「……実」

「あっ、俺、飲み物買ってくる」

咄嗟にそう言って立ち上がっていた。自分の名前を呼ぶ悟の声が、いつもより熱っぽく感じて、逃げるように自動販売機に向かう。何だか急に緊張してきた。悟がたまに飲んでいるスポーツドリンクを2缶買い、ベンチに戻って片方を悟に渡す。

「ありがと」

「これでよかった?」

「ああ、これ好きだよ」

言うなりゴクゴクと勢いよく飲んでいく。俺は少しだけ飲んで、両手の中に缶を収める。

「あ、ヒロからメッセージ入ってた」

「……何だって?」

「アキラさんに、言えたらしいよ」

「……返事は?」

悟がちょっと考えるような顔をして、画面を何度かタッチする。

「……微妙だって」

「これは、慰めはいらない感じかな」

「んー、多分」

何だかよくわからないが、もし慰めて欲しい状況ならヒロと会った時にわかるだろう。当事者でない俺たちがあまり突っ込むことでもないはずだ。とはいえ、気にしないなんて無理だから、ヒロのことは彼がいるときに話を聞くことになりそうだが。

「……俺」

スマホをしまった悟が呟く。

「実が好きだよ」

驚いて、すぐ横にある顔をじっと見つめる。しかし、すぐに逸らされてしまう。

「実は……?」

少し不安げな声に少しでも早く答えたくて、俺は手を伸ばし、愛しい恋人を抱きしめる。

「好き」

不思議な安心感が胸に広がっていく。悟と付き合い始めてから、胸の奥にはいつも不安があった。片想いをしていた時には感じることのなかった不安。せっかく手に入れた関係を壊したくなくて、悟に嫌われたくなくて、どんどん臆病になっていった。でも、悟も同じだった。俺だけじゃない。相手のことが好きすぎるのも、そのせいで不安になっていたのも。

だから、大丈夫だよって、抱きしめる腕に力を込める。不安にならなくてもいい、俺はこんなにも悟のことが大好きなんだから。こうしていると、不安な気持ちが消えていって、幸せな気持ちでいっぱいになる。悟もそうだったらいいなって思う。

「……実」

熱っぽく囁かれた自分の名前にも、今度は逃げたりなんかしない。すごくドキドキして胸が苦しくなっても、多分悟も同じようにドキドキしているだろうから。


読んでくださり、ありがとうございます。


完結に近づいてきましたが、もう少し続きます。

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