告白
いつもより少し長めになっています。
俺と悟は、家の近所の小さな公園で話をすることにした。大分暗くなった空の下、公園に人影はない。昼間の明るい雰囲気とは対照的に、夜の公園はどこか寂しげだ。
隅の方にあるベンチに腰掛けると、悟も同じように隣に座る。
「……実」
「あっ、俺、飲み物買ってくる」
咄嗟にそう言って立ち上がっていた。自分の名前を呼ぶ悟の声が、いつもより熱っぽく感じて、逃げるように自動販売機に向かう。何だか急に緊張してきた。悟がたまに飲んでいるスポーツドリンクを2缶買い、ベンチに戻って片方を悟に渡す。
「ありがと」
「これでよかった?」
「ああ、これ好きだよ」
言うなりゴクゴクと勢いよく飲んでいく。俺は少しだけ飲んで、両手の中に缶を収める。
「あ、ヒロからメッセージ入ってた」
「……何だって?」
「アキラさんに、言えたらしいよ」
「……返事は?」
悟がちょっと考えるような顔をして、画面を何度かタッチする。
「……微妙だって」
「これは、慰めはいらない感じかな」
「んー、多分」
何だかよくわからないが、もし慰めて欲しい状況ならヒロと会った時にわかるだろう。当事者でない俺たちがあまり突っ込むことでもないはずだ。とはいえ、気にしないなんて無理だから、ヒロのことは彼がいるときに話を聞くことになりそうだが。
「……俺」
スマホをしまった悟が呟く。
「実が好きだよ」
驚いて、すぐ横にある顔をじっと見つめる。しかし、すぐに逸らされてしまう。
「実は……?」
少し不安げな声に少しでも早く答えたくて、俺は手を伸ばし、愛しい恋人を抱きしめる。
「好き」
不思議な安心感が胸に広がっていく。悟と付き合い始めてから、胸の奥にはいつも不安があった。片想いをしていた時には感じることのなかった不安。せっかく手に入れた関係を壊したくなくて、悟に嫌われたくなくて、どんどん臆病になっていった。でも、悟も同じだった。俺だけじゃない。相手のことが好きすぎるのも、そのせいで不安になっていたのも。
だから、大丈夫だよって、抱きしめる腕に力を込める。不安にならなくてもいい、俺はこんなにも悟のことが大好きなんだから。こうしていると、不安な気持ちが消えていって、幸せな気持ちでいっぱいになる。悟もそうだったらいいなって思う。
「……実」
熱っぽく囁かれた自分の名前にも、今度は逃げたりなんかしない。すごくドキドキして胸が苦しくなっても、多分悟も同じようにドキドキしているだろうから。
読んでくださり、ありがとうございます。
完結に近づいてきましたが、もう少し続きます。