晩飯
晩飯、というサブタイトルのわりに、食事の描写が少ないです…。
アキラさんが作った晩飯は、味も量も食べ盛りの俺たちの胃袋を満足させるものだった。
「やっぱ、アキラさんのメシは美味いなー」
「そうか、そりゃよかった。一人暮らしが長いからな。……簡単なものばかりで悪いけど」
「すごく美味しいです! でも、こんなに用意していただいて申し訳ないです……」
「いや、俺が好きでやったことだから」
アキラさんはにかっと笑った。笑い方がヒロとよく似ている。
「お前ら、なんか大人びてるな。……ヒロと違って」
「ええーっ、アキラさんひどーい」
アキラさんは、ヒロをからかうのが好きらしい。いたずらっ子のような顔でヒロの反応を楽しんでいる。なんだか羨ましかった。あんな風に自然に話せていた相手と俺は今、上手く話せずにいる。
「ヒロは今日泊まってくか」
「うん。いいの?」
「……ああ、いいぞ」
ヒロが嬉しそうな顔になる。長居しても悪いし、そろそろ帰った方が良さそうだ。
「俺たち、そろそろ帰ります」
「そうか、駅まで送るな」
「ありがとうございます」
アキラさんの車に4人で乗り、駅へと向かった。助手席にヒロ、後部座席に俺と悟が座った。ヒロが振り返り、ウインクする。隣の悟を意識してどきっとしたが、悟は全く気にしていないようだった。こんな、人の車の中で何かするつもりはもちろんないが、正直ちょっと寂しい気持ちになる。もう少し、意識してくれてもいいのに。それとも、俺が意識しすぎなのだろうか。でもこんなの、俺だけが好きみたいだ。
読んでくださり、ありがとうございます。
カップルの前で、仲の良さを見せつけるようなヒロとアキラさんです。笑