デートがしたい
以前投稿した「今までも、これからも。」後の悟と実の話になります。
新しく、友人ヒロ(←弘斗という名前)が登場します。
よろしくお願いします。
デートがしたい。
『デート? お家デート以外でってこと?』
『うん、どこでもいいんだけどね』
手を繋いで歩いてみたい。恋人らしいことがしたい、と前に悟は言っていたが、俺だって悟とやりたいことはたくさんある。その一つが手繋ぎデートだ。しかし、悟は興味なさげに爪を弄りながら言った。
『んー、この辺何もないしなぁ』
『……』
何となくそれ以上言えなくなって、話は関係のない方向へとずれていった。
そんなにおかしなことを言っただろうか。俺たちは恋人同士なのだから、外でデートするくらい普通だと思うのに。
「実? ……なんか元気ないじゃん。どーしたの?」
隣の席のヒロが顔を覗き込んできた。ヒロとは、夏休みにみんなで海に行く計画について話し合っている最中だった。
「あー、もしかしてサトのせいですか?」
「うー」
ヒロは俺と悟の関係を知っている。ヘラヘラしているわりに、口が堅い。それに、結構鋭いところがある。隠しておいてもいつかバレるだろうということで、ヒロには言っておくことにしたのだ。
「海に行く日までにはちゃんと解決しとけよー? そんな感じじゃあ、楽しめねーし」
「うん……」
とても解決できそうにないが、悟の態度が変わったわけではない。俺が我慢すればいいだけの話だ。俺だって、せっかくの海を台無しにはしたくない。
「ごめん、なんか決まった?」
悟が教室に戻ってきた。教科係の仕事で先生に呼ばれていたのだ。
「えーと、8月10日になった」
「あとー、行くのは俺ら3人だけな」
「ありがと。何時ぐらいからにする?」
「俺、朝弱いからー、2時希望。で、俺の家集合にしよ」
「了解!」
楽しいことを考えていると、さっきまでの嫌な気持ちは消えていくような気がした。
授業が始まっても、まだワクワクしたままだった。
読んでくださり、ありがとうございます。