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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
始まる変化の3日間 二日目っ
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「シルクたんっ、鎧の中は裸ですか? 裸なんですよね?」

「逆に聞くけど何で裸だと思ったんだ?」


雑貨屋の中はとても普通の店とは思えない程に賑わい過ぎていた、なんだよ鎧の中は何も着ていないんですか?って……変な妄想するんじゃない!


「たぎる……たぎるぜぇ……鎧を着る事により中に熱がこもり汗だく……それを見越してシルクたんは服を着ていない……くぅぅっ!」


いや、拳握ってる小鬼さん? 違うからな?ちゃんと服を着てるからな? こんな事やってる隣ではラキュが。


「すいませんっラキュ様ぁっ、ちょっと匂い嗅がせて貰っても良いですかぁ!」

「……失せなよ」


沢山の魔物達に群がられ、それをちぎっては投げちぎっては投げと対応している……胸に巻いたサラシを時折気にしながら無表情で魔物を殴り飛ばすのは少し怖い……。


「すんませぇん」


と、内心色々と思っているた時だ、誰かが俺を呼んだ、その方に振り替えって見ると……そこには豚と人間が同化した様な身体の大きな身体の魔物がいた、うぉ……背も高いな、そう言えば聞いた事がある……この魔物はオークだ。


「なんだ?」

「あの、おで……これに着替えて欲しいんだな」


そう言いつつ手にしていたのは際どい水着だった、いや……あれは水着なのか? 形がVだし、紐って言って良い位の細さだぞ? 激しく突っ込んでやりたいが此処は冷静に。


「お前……普通に物買えよ」


と言っておくか……するとショックを受けるオーク、がくりっ、と膝を床につける。


「そっそげな事言わんでけろぉ……」


随分となまった言葉だな……なんかエセっぽく聞こえるのは気のせいだろうか? と言うか、落ち込んでも俺は言う事は変わらないからな? 正直に言えば、そんな服は着たくない……。


「おいっそこのオーク!!」

「ん……なんだすか?」


あっ、骸骨が歩いてこっち来たぞ……なんか怒ってる様だが何でだ?


「おめぇ……何でその紐ビキニをシルクたんに着せようと思ったんだよ」


おっこの骸骨……俺の心の内を代弁してくれただと? 成る程、魔物の中にもまともな奴がいるんだな、そうだよな……そうじゃなきゃ色々とやっていけないよな?


「そでは至極簡単だべ!」


エセっぽい訛り口調を言いながら立ち上がるトロール、びしっと太い指を骸骨に向けて言い放つ。


「露出度が高いからだべ! 見えないより見える方が断然素晴らしいでげす」


……こいつを殴りたい、何だよその個人的な欲望は!ふざけんじゃないっ……と言う事は口には出さない、何故かって? 変態に正論ぶつけても意味がないからだ。


「馬鹿野郎っ!」


ここで一喝するかの様に骸骨が叫んだ、どうやら完全に怒った様だ、カタカタッーーと骨を軋ませながらオークに指差す骸骨、心なしか目がギラリっと鋭くなった様に見えたが気のせいだろう、だって骸骨に目玉なんて無いんだから……。


「なっなんだべか?」


キョドるトロールは焦る仕草を見せる、骸骨はトロールに更に歩みより大きな声でこう言った。


「見えないと言う状況を楽しまないで何が変態だ!」


ドンっ! と言う効果音が付きそうな位その言葉が響いた、響いたんだが……えーとっうんっあれだ。


「………何言ってんだこいつ?」


つい喋ってしまったその一言、いやだって何言ってるか意味不明だからだ、とその時だ……店内にいた魔物達の賑わいが静かになった、まるで誰もいないかの様に……。その様子にラキュが不思議そうに顔を眉を動かす……。


「えーと……何で静かになったの?」

「いや……分からない」


ラキュが聞いてきたので直ぐに答えた、だが答えなんて分かる筈がない。


「確かにお前の言う通り目に見えた方が萌えるさ……」

「だったらこの紐ビキニを……」


ばっ……と紐ビキニを骸骨に見せ付けるオーク、まだ話している途中なのにも関わらず骸骨が口を挟む。


「その紐ビキニの様に露出度が多い方が萌える……お前はそう言いたいんだな?」

「そっそうだべ」


つかつかとオークに背を向け歩き出す骸骨、何かが始まった……のか?


「ナンセンスだな……」

「なっなしてそげな事言うべ!」


これ、聞いてなくちゃ駄目かな?


「なぁ……」


と横にいるラキュに話し掛けてみる。


「分かってる……凄く意味不明な演説が始まるね」


だよな? あの骸骨も変態の一員だったか。


「はっ!それが分からないならお前は変態失格だなっ、それでも薄い本で数多くの主役になった一族の一員か?」


薄い本? やばい……完全に何を言ってるのか分かんなくなってきた。


「1つ聞くがお前は下着のまま外を歩けるのか?」

「んな……そげな事出来る訳……はっ!」


何か格好良く言ってる所悪いだけぞさ……何だよその会話! で、何でオークはその言葉に驚愕してるんだよ!


「ようやく分かった様だな? そう……コスプレとは室内でも室外でも恥ずかしく無い様な服装にしなければならない! 着ているのが下着だけならそれはコスプレではないっ……ただの露出だ!」


その骸骨の言葉に周りにいた魔物達は「おぉ……」とざわめき始める、因みに俺とラキュはと言うと……。


「「…………」」


2人して無言、そして無表情だ、そんな俺達には気にもとめずに会話は続く。


「だが俺は断じて紐ビキニが悪いとは言っていない……それ単体で着るのは駄目だと言ってるんだ……その紐ビキニに似合う服装、それを着た時こそ、その紐ビキニはコスプレの一部になる……違うか?」


しゅば……と振り向きつつ、またトロールに歩み寄る……何で1度距離を取ったんだろう? と考えたが……まぁ、凄くどうでも良さそうなので考えるのを止めた。


「あっあんたの言う事は最もだべ……だけんぞ、女騎士(ヴァルキリー)コスなら兎も角、全身鎧は可愛くも無ければ萌えもしないべ!」

「……やはり分かってないな」


ちっちっち……と指を振る骸骨は皆に言うかの様に声を張り上げた。


「さっき1人の魔物が言った筈だ、中は何も着ていないんですか?……とな」


あぁ……確かに言っていたな、全く不快感極まりなかった。


「お前はそこに魅力を感じないのか?」

「……」


無言になるオークに向かってため息をはく骸骨……あっ、骨だけでもため息って吐けるんだな、何か新たな発見って感じだ。


「やれやれ……お前は鎧の特性を何も分かっていない」

「なっなにぃ? 鎧なんてただ重いだけで何にも利点なんてないべ!」


……オークよ、そろそろその訛りやめてくれないか? 何か引っ掛かるんだよ、まぁ人の口調をとやかくは言いたく無いんだけどさ……。


「そう鎧は重い……」


まぁ、確かに今骸骨が言った様に鎧は重いな、早く脱ぎたい……通気性が良いと言ってもやはり密室と変わらない、だから汗を掻いてしまうんだ。

現に今も汗を掻いて着ている薄着の服が透けてる位だ……ん? 透けている? ……はっ!?


「だが、通気性が悪いと言う利点がある」

「それの何処が利点だべ!」


まっ不味い……この骸骨が何を言うか予想が出来たぞ。


「どうしたのシルク君? 急に焦ってるみたいだけど……」

「重大な事に気が付いたんだ!」


ラキュが俺を気にして声を掛けてくれたので自分がピンチなのを伝える、その間にも骸骨の話しは続いていく。


「通気性が悪い……つまりは何も着ていなかった場合、全裸で汗だくと言う事になるな」

「…………っ!!?」


まさに驚愕の表情を見せるオーク、骸骨はにやにやと笑い、周りにいる魔物達は「その発想は無かったぁ!」と騒ぎ出す。


「それともう1つある……服を着ていた場合だ、これは言わなくても分かるよな?」

「……すっすけ……透けブラ!」


ブラなんて着けてない! と言おうとしたけど、ラキュと小声で話してる最中なので言えなかった。


「そう透けブラ状態だ……まさに俺の種族に相応しい状態だ、スケルトンと透けブラ……同じスケの文字が入っている以上っ、これは見過ごせないぜぇ!!」


骸骨……お前、それ受けるとでも思ったのか? まぁ、周りの魔物達には受けてるみたいだが……。


「オーク、お前は1から変態道を見直すべきだ」

「あっあんた……」


骸骨は、ぽんっ……とオークの肩に手を置き小さな声で「変態に……幸あれ」と呟いた、うん……訳わかんないな。


「おっおでが……おでが間違ってましたぁぁ!」


ぼろぼろと大粒の涙を流すトロールを優しく抱き寄せ背中をさする。


「大丈夫……分かってる、お前はエロに意識を寄せすぎたんだ……俺には分かってるよ」

「うぉぉぉおんっ」


そんな様子を見て、周りの魔物達も涙する……なんだこの異様な光景は! 2人での話が終え、その光景を見てまた無表情になる。

と……此処で多分骸骨が動いてくる筈だ。


「よしオーク君……今から鎧の素晴らしさを見せて上げよう」

「はいっ、お願いしますだ!」


ばんっとオークの肩を叩いて気合いを入れる骸骨……そんな彼を尊敬の眼差しで見つめるオークは丸太の様に太い腕で涙を拭く、骸骨は軽快な足取りで俺に向かって歩いてくる、カウンターの側まで着て足を止め、ニカッと笑いこう言ってくる。


「その鎧脱いで脇汗舐めさせてくれないか?」

「帰れ骨野郎、2度とその面みせるな……」


冷たい口調で言ってやったが骸骨には殆ど効果がない、変態に罵倒はご褒美か……そんな様子を間近で見ていたラキュは苦笑しつつ天井を見つめる。


「何だろうね、今の会話は」


まさにその通りだ……それを考えたら虚しさが止まらなくなるから考えないが……本当に不毛な時間だった、はぁ……本当に変態の相手は疲れるな。

今回は良い話?にしてみました!

こう言う話があっても良いと思うんだ。


今回も読んで頂きありがとうございました。

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