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弟のラキュからの突然の質問……わはわはゆっくりと息をはいた後、声のトーンを落として答える。
「その質問の答えは……」
「変に貯めないでぱぱっと答えてよ？」
出鼻を挫かれてしまったのじゃ、ふんっ面白く無い奴め！ こう言う大切な話は引き伸ばすのが鉄則じゃろうに……全く物事の理を知らぬ奴じゃ。
まぁ、茶化さずにきちんと答えてやろう、ボケてはいけない雰囲気じゃからの。
「シルクが側におるからのぅ……寂しく無いのじゃ」
「いやいや、在り来たりな恋愛の物語じゃないんだから……」
今度は呆れてしまった、わらわは真面目に言ったんだがのぅ。
「いや本気で言ってるんじゃぞ？」
「はぁ……それで姉上は本当に良いの？」
先程から良くため息を吐く奴じゃのぅ……本当に良いに決まっておろうが。
「わらわが良いと言ってるじゃろ？それで良いではないか」
「……良くないよ」
久し振りに怒りの視線を向けられてしまった、姉の恋路など放っておけば良い物を……。
「見ていてイライラするんだよね……内心は寂しがってる癖に平気な振りして笑ってさ」
平気な振りか……ラキュにはそう見えていたんじゃな。
「何でシルク君に言わないの？」
「言わないの……か、何の事じゃ？」
わらわがそう言った時、ラキュの眉がぴくりと動いた。
「惚けないでよ、そんなの……」
ラキュはテーブルを強く叩き付け叫んだ。
「自分の名前の事に決まってるじゃないか！」
名前……か、確かにその事を言えばシルクは気付くのぅ、じゃがわらわは。
「今は言うつもりはないぞ？」
「何でさ、言ったら楽になるじゃないか！ そもそも何で初めてシルク君に会った時にセカンドネームを使ったのさ！」
わらわはラキュの言葉を聞いて目を瞑る、そうじゃな……何故じゃろうな？ あの頃は格好つけて「真の名は時が来たら言おう！」と言ってしまったからのぅ、あの時は酷く後悔した物じゃ……。
「セカンドネームはドラキュラだけが使う物なんだよ？姉上は……」
「魔人と言いたいんじゃろ？」
ラキュのその言葉は何度も聞いた、あぁ……わらわは魔人と言ったが性格に言うとドラキュラとの混血じゃ、まぁドラキュラの血は殆ど受け継いで無いから混血と言われると微妙な所じゃがな。
わらわの母は魔人、父がドラキュラで母の血を多く受け継いでわらわは魔人になった、ラキュはその逆じゃ、ちとややこしかったかの？
「分かってるなら！」
声をあらげるラキュ……騒がしい奴じゃな、あぁ因みにセカンドネームがどうのと言っておったがラキュと言う名前は真の名前じゃからな？ ややこしくなりそうだから言っておくのじゃ。
「セカンドネームは他人に言う、真の名前は家族や友人や恋人に使う、使い方は間違ってはいないじゃろ？」
初めて会った人は恋人ではなく他人じゃからのぅ……こう言ってもラキュは納得せんじゃろうな。
「そうだけどさ…心配なんだよ」
下を向いて暗い表情をしおった、何時も何時も憎まれ口を叩く可愛いげの無い弟……先程「心配」と言う言葉など言っておらんかったのに、全く可愛い弟じゃよお前は……わらわは微笑みつつ口を開く。
「ラキュ、わらわはなシルクと約束したのじゃ」
「何をさ……」
むぅ……まだ下を向いたままじゃのぅ、わらわもラキュのそんな顔は見たくないと言うに……まぁ今はそれを言うのは止そう、今すべきはラキュを納得させる事じゃからな。
「完璧な女性になるじゃ……それが達成すればわらわはシルクに全てを伝える……」
５年前シルクと約束した事……ふふっ、シルクはきちんと覚えているじゃろうか？ 因みにシルクはお金を貯めて最高の結婚式を開いてやる…じゃったな、くふふ……嬉しい事を言う奴じゃ！ シルクのそう言う所が大大大好きなのじゃ！ と、わらわは脳内でシルクの事を考えていると……ラキュがわらわを真っ直ぐ見つめてこう言った。
「完璧って何さ……」
「……ほえ？」
そんな言葉を聞いて変な言葉が出てしまった、完璧とは何……か、うむぅ……そう言われてものぅ……完璧は完璧じゃろう。
「なに呆けた顔してんのさ……」
いやそう言われてものぅ、返答に困る答えじゃし……むぅ困った。
「はぁ……」
あっ、ため息をつかれてしまった、その後ゆっくり立ち上がるラキュはわらわを呆れた表情で見つめてくる。
「セカンドネームとか過去の約束とか色々外側から仕掛けてるけどさ……」
そして淡々と語り出すラキュ、その目は何処か怒りに満ちている。
「真っ直ぐぶつかってみなよ……何時ものスキンシップみたいにさ」
「んなっ！？」
こっこのっ！ また姉をからかったなっ、またお仕置きされたいのか！ あっ……扉の方へ向かってしまったのじゃ。
「おっおいっ！まだ話は……」
「もう良いよ……姉上の気持ちは良く分かったから」
ラキュのその口調は冷たかった、わらわは口に出そうとした言葉をつい呑み込んでしまう……そうしてラキュはこの部屋から去っていた、また暇な時間がやって来た。
「なっなんだったんじゃ……訳の分からん奴じゃ」
ラキュがいなくなった後、そう呟いたわらわ、暫く考えたが検討がつかなかった……なのでわらわは。
「本でも読むか……何度も読んだ本じゃがのぅ」
そう思い本棚から適当に本を取り出した後、椅子に深く腰掛け読書にふけるのであった、そんな中でわらわは考える……本当にラキュの言った言葉は難解で答えを出すのに時間が物凄く掛かる物じゃ、いずれ答えが出ると思うが長く掛かりそうじゃな……じゃがこの答えは早めに答えを出した方が良さそうじゃな……そう思いながらわらわは読み慣れた本を読んで行く。
今回は色々とややこしくなってすみません……俺の技術では此所が限界なんです。
そんな事ないよっ、分かったよ！と言う方がいれば嬉しいです！
さて、話を変えますけども今回は軽い姉弟喧嘩だったね、家族とは仲良くしましょうね。
てな訳で今回も読んで頂きありがとうございました！
