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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
騒がしい夕食…食事中はお静かに!
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「どらぁっ!」

「ふっ……甘いよ、そんな攻撃僕には当たらない」


あぁ……本格的にバトり始めてしまったな、さっきから連打や魔法の嵐、ドガァァンッ! ガシャァァンッーーと派手な破壊音が盛大に響いている。


「……」


俺はと言うと自分に被害が及ばない様にするのに必死……カウンターの下に隠れ頭を押さえて(うずくま)り早くこのバトルが終わる事を願いながら隠れている。

もう物とか散乱しまくってる、でも不思議と破壊されてるのは床とか壁とかだ、不思議な物だ……あぁ、恐怖を感じすぎて呑気にこんな事を考えてしまってる……現実逃避しなきゃこの現実には耐えられない。


「吹っ飛べシスコン!」

「千切れろ脳筋!」


二人は叫び拳を降りか出す、こっこれはクロスカウンターになりそうだ、と言うかいい加減終わってくれないかな? この喧嘩を長く見ていたら疲れてまた倒れてしまう。


「止めんか馬鹿者共!」


二人の拳がお互いの身体に当たりそうになった時だった、救世主が現れてくれた!


「がはっ!」

「へぶっ!」


強烈なチョップを二人にお見舞いし沈める。


「全く……何時も何時も会ったら喧嘩しおって」


ふぅ……とため息を吐いて髪の毛を掻き分ける、あぁ救世主が来てくれた。


「ロア!」

「ん、シルクか……そんな所に隠れておったのか……怪我は無いか?」


俺は、ひょこっと姿を表してロアに駆け寄る、そして……。


「ありがとうロアっ助かった!」

「にゃにぃぬぅねのおぉっ!」


感極まって抱き付いてしまう……ロアは妙な声をあげて身体が固まってしまう。


「お前が来なかったら俺は今頃どうなっていたか……本当に助かった! 来てくれてありがとう!」

「はわわわわ……」


小刻みに震えるロアは顔を真っ赤にして俺を見つめる、此処で俺は気付く! やってしまった……俺は何て事をしてしまったんだ。


「すっすまん!」


直ぐ様ロアから離れる俺、きゅっ急に抱き付いてしまった……はっ恥ずかしい。


「べっ……べ別に謝る事は無い」


下向き加減で話しながら俺の方へと近付いてくる、その際倒れた二人を踏みつけた。


「姉上、僕は踏まれて喜ぶ人じゃないよ、早く足を退けてよ」

「わしもだ!早く足を退けんかい!」


当然の様に文句を言う二人……ロアは冷たい視線を向けながら言い放つ。


「黙れ、場を考えず喧嘩した罰じゃ」


なんだあの冷めきった視線は……超怖い。


「ごめん……姉上」

「すまんかった……」


ラキュも鬼騎も2人して素直に謝る、その様子を見たロアは軽く鼻を鳴らして此方にやって来る。


「シルクも急に抱き付いて来る事もあるんじゃな」

「っ!?」


言うなよ恥ずかしい! にやにや悪戯に笑って見てくるロア……これはさっきのお返しと言う奴だろう。


「くふふふ……顔が真っ赤じゃ」

「煩い!あの時はその……極限状態だったんだ」

「ほぉ…まぁそう言う事にしておいてやろう」


こいつ抱き付かれた時変な声をあげた癖に面白がりやがってぇ……自分の事は棚に上げるのか!


「そう言えばシルクよ、何故此処に? いや愚問だったな……此処に来たのはただ1つ、夕食を食べに来たんじゃな?」

「そっそうだ……」


おぉ……もっとからかって来るかと思ったが話を変えてくれた。


「で、愚弟と鬼の喧嘩が急に始まったと……」

「あぁ、急に何事だと思った…」


本当にあれは驚いた、寿命が3年は縮んだ気がする……ラキュと鬼騎はまだ床に倒れて頭を押さえて痛がっている、ロアのあのチョップ! どれだけの威力だったんだよ。


「あいつらの仲の悪さはあれを見て分かったじゃろ?」

「あぁ…会って速攻喧嘩になる程の仲と言うのは一目で分かった」


そう言えばラキュが鬼騎の事を「脳筋」だとか色々言ってた気がする、成る程仲が悪いから名前で呼ばないのか……納得した。


「ラキュと鬼騎の喧嘩は今に始まった事では無い、あんまり気にせん事じゃ」

「いっいや……あれ相当気にするからな!」


と言う突っ込みをいれると、ロアは苦笑して「そうじゃよな……」と呟く、会う度に一々喧嘩してたら身が持たないと思うのだが……2人はそうでもないのか? と言うか何でそんなに仲が悪いんだ?


「さて、話しは一旦止めにするかの」


そう言ってロアはお腹を(さす)る、そして俺の方を見て照れ笑いし舌を、ぺろっと出す。


「腹が空いたから飯にするのじゃ……」

「っ、そっそうか……」


ロアの仕草に俺は素直に可愛い……そう思ってしまった。


「では飯にするのじゃ、おいっ鬼騎何時まで寝ているのじゃ、早く起きんか!」

「ぐぐっ……相変わらず厳しいな、わし等の魔王様は」


苦しそうにそう言って立ち上がる鬼騎、あのチョップが相当足に来ているのかガクガク震えている。


「姉上……もう少し手加減してよ、軽く喧嘩してただけじゃないか」


軽快に語りながら立ち上がるラキュだが身体は正直だ、鬼騎同様足にダメージが来ている。


「ほぉ? どうやらこの愚弟は反省が足らないみたいじゃな?」

「……ごめん、もう勘弁して下さい」


やはりどの世界でも弟は姉には逆らえないか、そんな彼の心を知る由も無いロアはカウンター近くの丸椅子に座る。


「今宵も肉で頼むのじゃ!」

「またか……たまには野菜も食えや」


はぁ……深いため息をつきながら厨房に向かう鬼騎、俺も座ろう……そう思ってロアの隣に座る。


「しぃ坊は何を食う?」

「えと……そうだな…」


ふむ、鬼騎に聞かれるまでこれと言って食べたい物を決めてなかったな……そうだ、あれにするか。


「だったらチーズを使った料理を作ってくれるか?」

「ん、チーズ……あぁ、あの発酵食品か」


此処に来てから食べてないからな……久々に食べたいと思ってしまった。


「シルクはチーズが好きなのかえ?」

「あぁ大好物だ、と言うか発酵食品は全部好きだ」


此処に誘拐される前はお金が無いのにも関わらず美味しいチーズを買う位好きだ。

そう言えば家に置いておいた秘蔵のチーズは無事だろうか? いや、勝手に無くなる訳ないか……家に帰ったら美味しく調理して食べるとしよう。


「そうか、それがシルクの好物か……ふむふむ」


? 何かを呟くロア、何を言ってるんだ? そう思っているとラキュが俺の隣に座ってくる。


「脳筋……ミネストローネ作って」

「ふんっ、少し待っとけや」


無愛想ながらも調理を始める鬼騎、相変わらずラキュと鬼騎の間はピリピリしてるな。


「全く、仕様がない奴等じゃ」


やれやれと呟きロアは呆れる、どうやらこの夕食何かが起きてしまいそうだ、頼む……頼むから平穏のまま進んでくれ、俺は心から強く願うのであった。

楽しい?食事の始まりですっ!

あっ因みに発酵食品は割りと好きな方です。


はいっ、今回も読んで頂きありがとうございました!


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