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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
幼馴染は理解する……。
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「シルクはバカ……普通こんな美人を振らない」


不意に出た文句、らっ君はそれを黙って聞いてくれた。

……よし、このままどんどん言お、側にはらっ君しかいない、遠慮せず言える。


「ずっと好きだったのに……頑張ったのに。なんでロアを……選ぶの」


私、色々したよ? 頑張ったもん……。たまに失敗もしたけど、シルク……笑ってくれた。だから、だからチャンスがあるって思った。


だけどダメだった。

というか、私……なんであそこで気を使ったの? いつも通りすれば良かった。


「強引に……連れてけば、良かった」


……あ、私のバカ、なにいってんの、そんな事したら、シルクが悲しむ。

出来ないって、さっきも思ったじゃん……。


「出来ないぃ、出来ない……よぉぉ」


シルク、すっごい格好良い顔してた。

覚悟決めてた、そんなの見たら……何も言えないよ。

だって好きなんだもん、好きだから……その人のやる事、邪魔……出来ない……もんっ。


「うぅぅぅ……ひぐっ……」


ぽたっ……ぽたっ……。

ほっぺた熱いなと感じてたら、大粒の涙が床に落ちてた。

そんなのお構いなしに私は泣き続けた。


そんな中感じる、らっ君の温もりは……とても暖かくて優しくて、それと良い匂いがした。

落ち着く……凄く落ち着くぅ。


「ごくはぐ……すれば、よかったのがなぁ……。ごどわられるのぉぉ、わがっでるげどぉぉ……すればぁ……よがっだのがなぁぁ」


もう、声はガラガラ……ちょっと何言ってるか自分でも分かんない。

でも、告白しなかったのがとっても後悔してるから、そんなの関係なかった。

シルクを困らせない為に、3回目の告白はしなかったけど……すれば良かったと強く思う。


もしかしたら? とか、うんって言ってくれるかも! だとか、そんな事あるわけ無いのに色々と考えちゃう。

だから、もう言えない、もう言えないの……。


「らっ君……思惑通り、ずずんだげどぉぉ……うれじい?」


らっ君は、ロアとシルク君の恋愛を後押ししてた。


「わだじと……つぎあわなぐでぇぇ。よかっだって……おもっでる?」


こんな事、言うのは意地悪だけど……言っちゃった。

言って後悔したけど、黙ってらっ君の答えを待った。


「……良かったとは思ってないよ。頑張った人にそんな事を言うのも思うのも失礼だしね」


……優しい顔して、キザな事言ってる。


「だから僕は……良く頑張ったアヤネは、偉いって思ってるよ」

「……バカ、偉いのは。自分でもぉぉ、わがっでるよぉぉぉぉ」


ぎゅぅぅっ……。

らっ君の服を握って顔を埋める。

優しい事言われたから、一気に感情が膨れ上がって私は……。


「うぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!!」


大声出して泣いちゃった。

そしたら、らっ君は優しく頭を撫でてくれた。


……そのあと、暫くそのまま泣いた、らっ君の胸を借りて。



……暫く経った後、私は泣き止んだ。

喉が凄くいたいけど、なんだか気持ちがだいぶ楽になった。

まだモヤモヤが少しだけあるけど、スッキリした。


だから私は……。


「ありがと、らっ君」


そう言いながら、らっ君を突き飛ばす。

そしたら「え?」って顔をして見てくる。


「だいぶ楽になった。このお返しは……後でする」


掠れた声でペコリと頭を下げると、くすっとらっ君が笑った。

むっ、笑うとこじゃ無いのに。


「くはははは、いきなり泣いたり、元に戻ったり……感情の方も騒がしいね」

「ほっといて」


いま、そんなの関係ないよ。

変な事言わないで、なんて思ってると……。


「でも、アヤネのそう言うとこ、らしくて良いと思うよ」

「ふんっ。意味分かんない」


その言葉を言った後、私はシルクが行った逆の方へ歩いてく。

いっぱい泣いたからお腹が空いた、赤鬼さんに頼んでご飯作って貰お。


そう思ったから急いで歩く。

あ、そだ……最後に言わなきゃ。


「らっ君、いつもからかってるけど……優しいところ、あるね」


振り替えってニヤニヤしながら言ってあげた。

そしたら、思いっきり苦笑いして「そんな訳ないじゃん」って呟いた。


そんな事あるよ、さっき優しくされたもん……。


「じゃね、私ご飯食べてくる」


そう言った後、らっ君に背を向けて走った。

言いたい事言い終わった、だから早く行こう! もうお腹はペコペコ、私はお腹いっぱい食べたい気分!


なので、全力疾走で食堂へと走っていった。



「くふふふ……切り替えはやいなぁ」


既に遠くへ走っていったアヤネを見て思った。

さっきまで泣いてたのに、もう笑って走っていった。


でも、まだモヤモヤは消えてないっぽいね、そんな感じがする。


「さて、このまま追い掛けようと思ったけど。やっぱり止めた。二人だけにしてあげるからさ……しっかりやんなよ、シルク」


くふふふ、と笑ったあと……僕は静かに自分の部屋に戻った。

今回も読んで頂きありがとうございました!

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