表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
それは真実? 男の娘は全てを理解する
487/517

487

今日も今日とて賑やかな食事。

いつもと変わらないなぁ、そう思う裏で俺はドキドキしていた。


「…………」


どうしよ、昨夜の事があってまともにロアが見れない。

あの話し、本当なのか? ほんとだとしたら、俺は……。


「シルク?」

「っ!?」


ビックリした、急に俺を覗き込んで来るロア。

不思議そうに俺を見ている、まっ不味い……俺の態度が変だったから不審に思ったか?


「どうした? 食べもせんとぼけぇっとしおって……風邪でも引いたかえ?」

「あ、いや。大丈夫だ、なんともないぞ」


そう言って強引に笑ってパクリと食べる。

ロアは不思議がってたが「そうか」と言って、また食事を続けた。

あぁ、ダメだ……無駄に警戒してる、落ち着かないと本当にバレるぞ。


と言うか、話し掛けて来たロアも顔色が変だった。

なんか、全体的に紅かった気がする。


……うん、えと、あれだ。

食べよう、何事も無かったかのように。

俺の気のせいって事もあるだろうしな。


「んー……きょうもおいしいなぁ」


そして、何気なく料理の感想を言ってやる。

因みに今日の食事はカレー、朝からカレーかよ……なんて思ってるが、美味しく頂いている。


「……今の棒読み」

「っ!」


っ、俺のもう片方の隣に座ってるアヤネが激しく突っ込んできた! いっいや……棒読みじゃないから。

心の奥底から出た感想だから!


「なんじゃ、さっきから様子が変じゃのぅ」

「へっ、変な事あるか。俺は平常運転だぞ」


はははは、と笑いながら答えたら……やばい、疑いの眼で見てきた。

やばいなぁ……凄く緊張して汗かいてきた。


「ふぅむ、そうは言うがのぅ……汗ダラダラじゃぞ?」

「うん。汗だく」

「え!? あっ……こっこれはぁ……かっカレーが辛いからからなぁ……あははは」


そっそう、カレーが辛いから汗をかいたんだ。

見事な言い訳だ、いやぁ……焦ってはいるが上手い事言い訳出来るんだなぁ。


「ん? でもしぃ坊……お前のカレー、甘口だぞ? 辛いなんてありえるのか?」

「……え」


……っ、こんのぅ鬼騎めぇぇ! 余計な事を言ったなぁ!

とは思うが、今気付いた。

俺のカレー、甘口だわ。

今更気付くとか、俺はアホか!


「あ、えぇ……あのぅ……」


なんて、思いつつ必死に言う言葉を考える。

えぇと……あぁ……んー……よっよし! これで行くか!


「ほっ、ほんと辛いんだよ! これ甘口じゃないぞ」

「ほっほんとか! いやぁ……すまんなぁ、うっかりしとったみたいだな」


カッカッカッと豪快に笑う鬼騎。

よぅし、手応えありだ! 誤魔化しに成功したぞ、あ……でも鬼騎には悪い事したな、本当は美味しい甘口カレーなのに。


でっでも仕方ないんだ、ほんとごめんな鬼騎!


と言った感じに心の中で謝罪してると、「ふぅん」と唸るロアと「へぇ……」と唸るアヤネ。

ふっ二人も誤魔化せた……かな? 確信が持てないでいると、不意にロアが俺のカレー目掛けてスプーンを近づけて来た。


「どれ、汗かく程辛いカレー……わらわも食べて見たいのじゃ。シルクよ、一口貰うぞ」


先程の顔が赤くなったままの表情でそんな事を言い出した。

その後でアヤネも「私もぉ」と言い出した。


やっヤバイ! 流石に食べられたら嘘がバレる、こっこうなったら……っ!

俺は、ガッ! と皿を掴んで持ち上げ手に持っていたスプーンで一気にカレーを食べる。

行儀悪いが気にしてられない! 嘘がばれたら気まずくなる……それを避けるための最善策だ!


そう思いながら、カレーをかきこむ。

多分皆ぽかーんとしながら俺を見てるだろう……だが、構うことなく食べ続けた。

くぅぅ……こんなに美味しいカレー、出来ればゆっくり食べたかった!


「しっシルク! それ、辛いんじゃないのかえ!」


いいや、辛くない。

野菜の甘味が効いた美味しいカレーだ、とろみも抜群だぞ。


「すごい……どんどん食べてる」


そりゃそうだ、食べやすいんだもの。

……と、あと少しで食べ終わるな。


「……っ。ごちそうさま!」


トンっ! とカレー皿とスプーンを置いて俺は立ち上がった、皆の視線が一気に突き刺さる。

そんな視線に気圧される事なく。


「仕事いってくる!」


そう言って出ていった。

あぁぁ……嘘は張れずにすんだが、こんなの怪しさ抜群じゃないか! もっと上手く出来なかったのか。


そう、うなだれながら俺は廊下をトボトボ歩いた……。

今回も読んで頂きありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ