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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
始まりは騒がしく甘酸っぱい、だけどやっぱり騒がしい
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シルク視点ですよ。

ちゃぽんっ……。

静かな空間、湯気が辺りに漂い何とも言えん景色が広がっている。


「はぁぁぁ……やっぱり、風呂はゆったり浸かるのが良いよなぁ」


ちょっとじじ臭い事を言って、肩まで風呂につかる俺。

ちょっと前に言ってた事をしに来たのだ。

実際、あれから数時間程経った。

案外すんなりと抜け出せて良かった、ラキュの部屋から戻った時ロアはいなかったしここに来るときに誰にも出会さなかった。

いやぁ良かった、運が良いな。


皆はどうしてるかは知らんが、俺はこっそりここにやってきたのだ。


「まだ湯が残ってて良かったぁ」


ちょうど良い温度の湯が俺を癒す、本日2度目の風呂も良いもんだ。

だが誰かが「掃除だー」とか言ってくるかも知れない。


それまでには出ていかなきゃな。

だが……ギリギリまで入っていよう、せっかく来たんだもの。


「あぁぁぁぁ……」


誰も居ないので気の抜けた声を漏らし、脚をぐぐぅっと伸ばす。

さいっこうだな、これ……今度から風呂はこの時間に来ようかな。


……うん、そう思うのが遅すぎだな、最初からそうすれば良かった。


「…………」


なんて考えつつ、ぼぉっとする。

じわぁっと額に汗が出てきた、それと指がしわしわになってきたな。


うん、そろそろ出た方が良いかも。

いや、でも……あと少しだけ入ってよう。



……結局あれからたっぷりと風呂を堪能した、お陰で身体はぽかぽかだ。


「良い湯だったなぁ」


ゆったりした表情で呟きながら歩いてる俺。

今はロアの部屋に戻ってる所だ、後はぐっすり眠って明日に備えたい。


そうしたいんだけど、そうさせて貰えるかな? ロアかアヤネのどっちがやってきてそうはならない気がする。


だがしかし、めげずに自分のやりたい事をしよう。

頑張れ俺! 自分自身で鼓舞しながら歩いてると、ふとあるものが目に入った。


「ん……扉が開いてる」


そう、開いてるのだ。

ここは薄暗い廊下、少しだけ開いてる扉から光が漏れ出てる。


……なんかこう言うの見たら気になって首を突っ込まずにはいられない。

だから早足でそこに近付く。


息を潜めて、ゆっくりとその部屋を覗くと……。

そこにはロアとヴァームがいた。

と言うことはここは、ヴァームの部屋か? ロアの部屋って事は無いな、だってあいつの部屋はここじゃない。


衣装棚や、色んな服が飾られてるのを見ると……うん、やっぱりここはヴァームの部屋だな。

なんでロアがヴァームの部屋にいるんだ? まぁ……別に良いんだが。


って、ん? なにか……やってるな、あれは……編み物、か?


薄暗い部屋、ランプの灯りを頼りにチクチク糸を編んでる。

うぉぉ……あんな細かい事、良くできるなぁ、俺には無理だ。

って、普通にこうやって覗き見てるが……良くない事だよな。

だがしかし……なんか気になる、だからここを動けない。


……ごめんなロア、暫く見たら直ぐ居なくなるから編み物頑張ってくれ。


「……うぅぅ。ほっぺた痛いぃ」


あ、喋った。

そうか、ほっぺた痛いのか。

って、おいおい……痛そうにしてるが大丈夫か?


「あらあら。なにかあったのですか? あ、良く見たら赤く腫れてますね」

「ん? 今気付いたのか……」

「はい、今気付きました」


おぅ、なんか主人と従者とは思えない会話してるな。

もっと主人を心配してやれよ、めっちゃ不満そうにふくれてるぞ。

あ、いや……ヴァームはあれで心配してるのか、多分そんな気がする。


「相変わらずの反応じゃな」

「はい、何度か見たので放っておいても大丈夫だと判断しました。何があったのかは察しがつきますよ」

「ヴァームよ、お前は……いや、良い。いつもの事じゃからな」


この従者は全く……と愚痴をこぼし、編み物に集中する。

ヴァームは何があったか分かるって言ったが俺は分からない。


「それにしてもラキュめ。あんなに強く打たなくても良いのに」


だから詳しく言ってほしいなぁ? なんて思ってたら話してくれた。

ラキュに打たれたのか、さては何か変な事言ったな? 多分それで打たれたんだ。


「ただ可愛いって言っただけだと言うのに……」


ほら当たった。

理由は間違いなくそれだ、十中八九ロアが悪いな。

ヴァームもそう思ったのか「うふふ」と笑って。


「あらあら。それは打たれても仕方ありませんね」


と言った。

うん、その通りだ、仕方ないぞ。

俺もそんな事言われたら打つぞ。


「何が仕方ないじゃ! って、あぁぁぁっ!! 編み目が絡まったぁぁっ!」

「あらら。これはここからやり直した方が良いですね」

「なっなんじゃとぉぉっ!!」


あっあはははは。

話しながらやったのか、絡まったらしいな。

えと……ロアが編んでる物、あの縦に長い感じからして、マフラーだな。


ほぼ出来てたのに、少し前からやり直し、これはキツいな。

編んだ事無いからそのキツさは分からないけどな……。


「くっそぅ、まぁたやり直しじゃ」


悔しがるロアを見た俺は、小声で「頑張れ」と呟いた。

多分声は届いてない、いや届いてたら困るから小さく言った。


その後、俺は静かに去ろうと思った。

そろそろ離れた方が良い、ここにいるのがバレたら何かと面倒そうだ。


そう思って、覗くのを止めて立ち去ろうとしたその時だった。


「なぁヴァーム、ラキュがな……わらわの幼い頃の話をしていたんじゃ」


聞き逃せない事をロアが言った。

その瞬間だった、俺はピタリと動きを止めた。

そして、また扉を覗きこんだ……バレるかも知れないのに呼吸が荒くなってくる、だが俺は気付いてない、気づく筈が無い。


だって……今まさに、ロアが過去の話をするかもしれないからだ。

ラキュから聞いた話の続きが聞けるかも知れない……そう思った俺は、話してくれるのを期待して聞き耳をたてた。

編み物したこと無いので表現色々と間違ってるかもです、間違ってたら……ごめんね。


物語は佳境へ入ります。

なんか書いててドキドキしてくるよ、それを抑えつつ頑張るよ!


今回も読んで頂きありがとうございました。

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