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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
始まりは騒がしく甘酸っぱい、だけどやっぱり騒がしい
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ラキュ、お前がした事を教えてやる!

はらわたが煮えたぎる思いで、わらわはその事を話した。

アヤネから聞いた事全てを……そしたらじゃ、奴はぽかーんとした顔すると。


「え、それ?」


とか抜かしおった。

それ……じゃと! わらわにとっては一大事だと言うのに、それじゃとぉぉっ!


「忘れたのかラキュ! その話はわらわがいずれ話すと言ってたじゃろうが!」


それを事もあろうに……と続けようと思ったのだが、突然ラキュが冷たい目でわらわを見てきて、こう言い放ってくる。


「言えてないじゃん」

「……え」


言えてない……とな?

真顔でキッパリと言ってきたラキュにきょとんとしてたら、続けて言ってきおった。


「最近、言うとか言ってたけど……言えてないじゃん」


すぅ……と目が細くなり、じりっと近付いてくる。

ラキュの気迫にビビり、わらわもじりっと後退りする。

え、おっおぅふ……なっなんか、こっ怖いのぅ。


「やる気まんまんで言うって言ってから何日も経つけど……言えてないよね? ねぇ、いつか言うって嘘なの?」

「え、あ、そっそれはぁ……嘘ではない……のじゃ」


うぅっ。

わらわが怒ってた筈が、逆に怒られてるではないか! じゃがまぁ……ラキュの言うことはもっともかもしれん。


しっしかし! 言うなと言った事を言うのはいかん。

そこの所を言ってやらんとダメじゃ!


「って! それよりもじゃ! わらわ、言うなって言ったじゃろうが! わらわ自身が言わんと意味がないのじゃ」


だんっーー

と、足を踏み鳴らして詰め寄る、それに多少ビビったラキュじゃが直ぐに立て直す。

わらわを睨む顔が一瞬にして柔らかくなる。

ん? ど、どうした? 急に雰囲気変わったのぅ。


「ま、その気持ちは分かるけどさ」

「……はぇ?」


え? なんじゃ? わらわ怒られてたのに、なんか同意してくれた? なっなんで? わらわてっきり言い返してくるかと思ってたんじゃが……言い返さないのかえ?

思ってたのとちがくて小首を傾げてた時じゃ。


ラキュはさらりとこう言った。


「姉上、ここは素直に謝るよ。ちょっとでしゃばり過ぎたね」

「……え、おっおぉ。わっ分かれば……良いんじゃ」


謝ったのぅ。

すんなりと……っ!?


「ラキュが素直に謝ったぁぁぁっ!!」

「え、そこ。そんなに驚く事?」


なっなにを言うのかと思えば謝罪じゃと! あのラキュが? あの皮肉やからかう事が生き甲斐のあのラキュが? あっ有り得ん……明日は槍でも降るのではないか?


「ねぇ……そんなに驚かなくて良いよね? それと、今失礼な事考えてない? 僕だって素直に謝れるんだからね?」

「っ!? うっうむ……そうじゃな」


こっこやつ、わらわの考えを見透かしておる。

ほんと? と言わんばかりに、わらわをじとぉっと睨み……その後がっくりと肩を落とし息をはいた。


「ま、その事は良いよ」

「いっ良いのか……」

「うん。今はそれよりも大事な事があるからさ」

「そっそうなのかえ?」

「うん、そうなんだよ」


怒ったり、謝ったり、話し変えたり……今日のラキュは可笑しいのぅ。

そんなだと、わらわ調子が狂ってしまうぞ。


「えとね……一応詳しく話しておくよ。シルク君に言った事をね」

「っ! そっそうじゃ……わらわはそれが聞きたい!」


話が変わってしまって、頭の中から消え去っていたが今思い出した!

場合によってはまた、わらわは切れてしまうかもしれん。


「はっはよう! はよう教えるのじゃ!」

「そんなに慌てなくても教えるよ」


そう言って、ラキュは思い出すかの様に話し出した……わらわはその話をしっかりと聞く。


しっかりと聞いて分かった事は……。


「なっなんじゃ。その話し、半分しか話しておらんじゃないか」


わらわが父上に話をする。

そこからは話しておらん、ここからがわらわにとっては大きな第一歩となる話し……そこを話してなくてほっとした。


「そうだね。全部話すつもりでいたんだけど……アヤネに邪魔されちゃったよ」

「くっ……この愚弟め。全部話したその時は張り飛ばすからの」

「くはははは……それは恐いね」


呑気に笑うな! わらわは本気じゃからな!

と、それにしてもじゃ……良いタイミングでアヤネが割って入ったのぅ。

本人はいないが、この場で感謝しようかの。

ありがとうアヤネ、よくやった!


「でもさ……」

「んぅ?」


でもさ、なんじゃ? なにか言い分があるのかえ? わらわ、そう言う大事な事は自分で言いたい系の魔物なんじゃぞ。

それに関してはどんな意見も聞かんからな。


「姉上だけ頑張って色々してるのにさ……向こうは何も知らないで普通に此処に暮らしてるから、少し腹が立ったんだよ」

「……へ?」

「そろそろ向こうも気付くべきなんだよ。色々アプローチしてるのに全く気付こうとしないにぶちんだけどさ」

「ら、ラキュ?」


なに突然長々と語っておる? そんなしんみりした顔で何を言っておる?

えと……あれか? 勝手に推測すると……勝手にわらわの昔話をしたのはわらわを想っての行動なのか?


え、なにそれ……きゅんとくるんじゃが。

あと、こやつにこんな可愛い一面があるなんて……と意外に思ってしまうんじゃが。


そう思ってしまったわらわは、照れ臭くなって頬を赤く染める。

くぅ……ラキュめ、可愛い奴じゃ。

そんな事を言われると照れるし、心がぽかぽかするではないか!


「ま、姉上もはっきりと話せないヘタレなんだけどね」


だがしかし、その一言を聞いた瞬間、わらわの気持ちは一気に冷めた。

なんじゃ、何時ものラキュじゃ……撤回じゃ撤回、可愛い所なんてひとっつもなかった、いつもと変わらずいけすかん愚弟じゃ。


「ラキュよ」

「……なにさ?」


そんな愚弟に対して言っておかねばならん事がある、とっても大事な事じゃ……。


正直、分かって貰えるかは分からんが……一応伝えておこう。

わらわの今の気持ち、そして、未だナハトの正体はわらわじゃと気付かぬシルクについてをの。

今回も読んで頂きありがとうございました。

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