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どうやら魔王は俺と結婚したいらしい  作者: わいず
始まりは騒がしく甘酸っぱい、だけどやっぱり騒がしい
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シュパァァンッ!!!

乾いた音と共に、淡い光が広大な緑の草原に放たれ……その光の中からロアが現れた。


「ふぅ。ここが人間界。綺麗な場所じゃな」


人間界は魔界と同じく夜だった。

しかし、魔界の大地とは違い緑が豊富……それに感動しほっこりするロア。

無事に人間界に来ることに成功した。


「あぁぁ……なぁんかあれじゃのぅ。勢いでやっておいてなんじゃが、ものっすごい後ろめたさを感じるのじゃ」


ここまで来ておいて何を言ってるのか? そう言うのであれば、今すぐに魔界に帰ることをオススメする。


「じゃがしかし、わらわはそんな事には屈せぬ。拝んでやるのじゃ、シルクの姿をのぅ」


後ろめたさを感じる、とか言ってたのにそんな事を言い放ち、一瞬で気持ちを切り替えてシルクの家へと歩いていく。

日頃の観察のお陰で家が何処にあるのか分かっている、ただ今は夜なので確実に鍵を閉めている。

さて、ロアは一体どうするのか?


「……ふむ、心地よい良い風じゃ。魔界の風とはまったく違うのぅ。やはり実際に体感するのは大切じゃな」


うんうんと頷いて、とことこ歩く。

チラリと後ろを向くと、街が見える。

シルクの家は街には無い、街の外れにポツリと建ってるだ。

だからロアはそこに向かった。


「あれ……じゃの」


何度も鏡で見た時の記憶を頼りに、シルクの家を発見する。

ごく普通の家、ここに今……シルクがいるのだ。


ごくっ……と唾をのみ込み、ふつふつと興奮し始めるロア。

それを落ち着ける様に、何度も胸をトントンと叩く。


「ふぅ……ふぅ……。落ち着け、落ち着くのじゃ」


自分自身に言い聞かせる様に家に近付くロア。

それをしている内に近くまで来た。


「めっ、目の前まで来ると……きっ、緊張するの」


ゾクッ……ゾクッ……と心臓が強く鼓動する。

緊張ってあんた、ここまで誰にも内緒で来ておいてここで緊張するなんて、変だなぁ。


「だっ、大丈夫じゃ。落ち着いて行動すれば大丈夫……落ち着け、わらわ」


ぽんっ……と胸を叩いた後、扉の方へと歩いていく。

そして、ゆっくりと手を伸ばしドアノブに手を掛ける。


が、しかし。

今は夜……当然鍵が掛かっていて開かない。

それはロアにとっては想定内、なら何故やったのか? と言うと……。


「やはり鍵はしまってるか。もしや? と思ってやってみたが……ダメじゃったな、じゃがある意味安心したの」


と言う事らしい。

どうやら、ハーベスト家は防犯の方はしっかりしているらしい。

まぁ……当たり前だが。

しっかりと防犯してるなぁ、と安心した後……ロアは次に窓の方へと歩いていく。


「……えと、確かこの窓からシルクの部屋が見れた筈じゃ」


そして、さらっと危ない事を言っている。

ストーカーと間違われても仕方ない。


「むっ。カーテンが邪魔じゃな」


おっと、どうやらカーテンがしてあって見れない。

だが、ロアにとっては何の問題も無い。


「魔法でちょちょいとやれば大丈夫じゃ」


そう、ロアには魔法がある。

だから早速「ちょえぃ」と掛け声をして使う。


すると、ふわりっ……とカーテンが靡いて、しゃらしゃらしゃら……と開いていく。


「……いた。ふむ、予想通り寝ているのぅ」


ここから見た感じ、ベットの上で安らかに眠っている。

可愛いのぅとか思いながら、ペタぁっと窓に張り付く。

端から見れば犯罪者そのものだ。


「じゃが、遠くから見るだけじゃつまらん。接近を試みるかのぅ、わらわの魔法でな」


キリッ! とまたまた犯罪発言をしてキメ顔をするロア。

全く決まってないのは、勿論ロアは知らない。


そんなロアの観察はまだ始まったばかり、これから危ない観察会が始まる。

という訳で、次回は観察回です。

あと、不法侵入は知っての通り犯罪なので決して真似をしないでください。


今回も読んで頂きありがとうございました。

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