431
ぐわんっ……と景色が歪んで、ラキュの部屋から一変して食堂へと来た。
「むっ、やっと来たか」
厨房で腕をくんで俺とラキュを見る鬼騎。
「待ちくたびれたですぅ」
椅子に座って、ナイフとフォークを手に持ち、テーブルをトントン叩いてるメェ。
「遅い登場ですわね、待たせてはいけませんわっ」
ぷるんっとスライムボディを震わせ、ぷくった頬を膨らませるラム。
「さぁ、お二人とも席に着いて下さい」
「…………」
優しく微笑みかけて誘導してくれるヴァーム、そして激しくラキュを睨むロア。
そんな皆に「待たせてわるいな」と言って席に座る。
座った席はロアと隣の席だ。
「皆集まったな。んじゃ、料理持ってくらぁ、ちょっと待っとけや」
鬼騎がそう言って、厨房から料理を持ってくる。
「一人では大変でしょう? 私も手伝います」
「ん? おぉ、そうか……ありがとな、助かる」
すると、ヴァームがそう言って、彼女も厨房へと向かった。
その間、俺は改めて周りを見た。
……ふむ。
この場に、フドウさんとシズハさんはいないな。
まさか迷ってるのか? それとも、まだ寝てる? それかその他の理由でまだ来てないな。
まぁ、そんな事は置いといてだ。
俺はとある人物をじぃぃっと見る、それは……アヤネだ。
「くぅ……すぴぃ……くかぁ……」
まだ寝てる。
運ばれたのに寝れるって……ある意味凄いな。
そんでもって……俺とラキュを除く皆の視線がアヤネに集中してる。
料理を配膳してる鬼騎とヴァームでさえも視線はアヤネに向いている。
そりゃそうだ、最近までいなかった奴がひょっこりいるんだもの、気になって仕方無いだろう。
そんな視線もあいまって、皆無言のまま、料理が運ばれるのを待った。
そんな雰囲気を破るかの様に、ロアが口を開いた。
「シルクよ、聞かれる事の恐らく察しはついておるが敢えて聞くぞ。なぜここにアヤネがおる? あ、別に悪いとは思っとらんぞ? ただ……のぅ、ほら、色々あったじゃろ?」
言いにくそうに言ってくるロア。
皆も頷いたり「そうだそうだ」的な事を言ってきてる。
ふむ、どのみち言うつもりだったんだ。
ここは説明しないといけないな、という訳で、こほんっと咳払いして、話すことにした。
「えと、アヤネがここにいるのは……」
少し長くなるが話した。
皆は相づちを打ったり、ほぉ……と声をあげたりして聞いてくれた。
「……と言う事があって、アヤネはここにいるんだ」
ほぉ……と声をあげて皆はアヤネを見る。
この時もアヤネは夢の中、凄く注目浴びてるのに、良く寝れるな。
「なるほど……わらわの知らん所で、話しは進んでおったんじゃな」
まぁ、そう言う事になる。
そう思いながらロアの言葉に頷いた。
「わらわ、色々考えていたのに……もう解決したんじゃな」
「そっそうか……その、ありがとな。考えてくれて」
「うっうむ……」
なんか悪い事をした気がするな。
ごめんな、ロア。
「解決……したんですね、良かったです」
コトッーー
と料理をテーブルに置く、きょうの料理は魚の塩焼き、味噌味のスープ、そしてご飯だ。
ほぉ……いつもと違って今日は、風変わりな料理だ。
美味しそうだ、早く食べたいな。
「まぁ、なにはともあれ解決したんならそれで良いじゃねぇか」
カッカッカッと笑う鬼騎も、料理を置く。
「そんじゃまぁ、食べてくれや」
鬼騎がそう言うと、皆は「いただきまぁす」と口々に言って食べ始める。
よし……じゃぁ、俺も食べるか。
いただきます。
相変わらず話がスローペースだね、ごめんね。
今回も読んで頂きありがとうございました。




